2024年4月18日 厚生労働委員会質疑「テーマいろいろいきます!令和6年度報酬改定を再チェック! 精神科での虐待発見に最低限すべきこと ヘルパー派遣拒否、政府の対応は!?」
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。令和6年度の障がい福祉サービス等報酬改定について伺います。代読お願いいたします。
まず、介護保険優先原則の問題です。
2023年6月30日に、介護保険優先原則に関する適切な運用を自治体に周知するため、新しい事務連絡が発出されました。私は、昨年5月の厚生労働委員会において、重度訪問介護と介護保険の明確な違いは「日常生活に生じるさまざまな介護の事態に対応するための見守り」であると、自治体にきちんと周知するよう厚労省に求めました。
重度訪問介護における見守りは、介護保険の訪問介護の支給対象とならないと考えて差し支えないか、事務連絡を引用しながら、明確にご答弁ください。
○政府参考人(辺見聡君)
議員ご指摘の事務連絡は、令和5年6月30日の障害者総合支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度の適用関係等に係る留意事項等に関するものと認識をしております。
この事務連絡は、我が国の社会保障制度においては、まずは社会保険制度によるサービスを利用するという原則に基づき、障がい福祉サービス及び介護保険サービスのいずれも利用できる場合には介護保険制度をご利用いただくこととしている一方、個々の特性によっては必要なサービスであっても介護保険サービスの支給対象とならないケースなどもあることから、令和5年6月に留意事項等を事務連絡としてお示しをしたものでございます。
本事務連絡には、具体的には、重度訪問介護を利用する障がい者について、個々の障がい特性を考慮したときに介護保険の訪問介護の支給対象とならない支援内容として、たとえば日常生活に生じるさまざまな介護の実態に対応するための見守りなどが必要と認められる場合には、介護保険の訪問介護の支給とは別に重度訪問介護の利用を認める旨を明記しているところでございます。
○天畠大輔君
代読します。
重度訪問介護と訪問介護の違いは少し明確になりましたが、理念の異なる2つのサービスの併用が前提となっている点が非常に問題です。
障害者総合支援法は、障がい者の人権保障に重きを置いた法律です。たとえば、介護保険の訪問介護は、食事や入浴などの短時間だけヘルパーが来ますが、重度訪問介護は、介助者が常に付き添い、食事や入浴の時間も本人が自由に決められます。つまり、重度訪問介護を利用する障がい者が介護保険に移行してもニーズを満たせないため、重度訪問介護は障がい福祉サービス固有のものであると解釈の変更を強く求めます
また、資料1をご覧ください。
今回の報酬改定では、重度訪問介護の国庫負担基準について、介護保険対象者の区分を細分化し、最重度かつ大部分を占める区分6の単位を引き上げています。
一見すると改善ではありますが、介護保険対象者の国庫負担基準が依然として低く設定されていることに変わりはなく、自治体が高齢者に対する障がい福祉の支援を削減する原因は解消されていません。国庫負担基準における介護保険優先原則規定を廃止すべきと強く訴えまして、次に行きます。
こちらも以前から訴えているグループホームにおける個人ヘルパーの利用について質問します。現在、グループホームに住む重度の障がい者は、一定の条件の下で、世話人や生活支援員とは別に、個人単位でヘルパーを利用できます。個人ヘルパーの存在は、当事者が必要なときに必要なことをする普通の暮らしを支えるためにあります。独り暮らしにむけてヘルパーを使いたい人などさまざまなニーズに即した支援をグループホームにいながら受けられます。しかし、個人ヘルパーの利用は特例扱いのまま、何と平成18年から3年ごとに措置が延長され続けて今に至ります。
今回の報酬改定でも個人ヘルパー利用の恒久化は盛り込まれず、経過措置が引き続き延長されました。その理由は何だったのでしょうか。団体ヒアリングの結果も踏まえてお答えください。
○政府参考人(辺見聡君)
お答え申し上げます。
障がい福祉サービス事業者は、事業者自らの責任において当該障がい福祉サービスを利用者に提供することが基本であると考えております。障がい者のグループホームにおいて、居住する事業者が当該グループホームの事業者以外の外部のヘルパーも利用することについては、各サービスを提供する事業所の責任の所在が不明確であることなどから、これまで3年間の特例措置とした上で、ご指摘のとおり、随時延長を行ってきたところでございまして、今般、昨年末までとなっていた延長期間を令和8年度末まで延長をしたところでございます。
今回の令和6年度障がい福祉サービス等報酬改定について検討を行いました報酬改定検討チームにおきましては、団体等からの意見や重度障がい者の受入れ体制の確保の観点なども踏まえまして総合的に勘案をし、特例措置を令和8年度末まで延長するとともに、共同生活援助、グループホームを利用する重度の障がい者が個人単位で居宅介護等を利用することについて、引き続きそのあり方を検討するとの取りまとめが行われたところでございまして、そのあり方について引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
当事者から要望があったのにもかかわらず、20年近くも恒久化が先延ばしになっているのはおかしくないですか。大臣、いかがですか。
○政府参考人(辺見聡君)
経緯をちょっと再度確認させていただきますが、障がい福祉サービス事業者につきましては、事業者自らの責任において障がい福祉サービスを利用者に提供するという責任があるということが基本であると考えております。
こうした原則に照らして、障がい者のグループホームにおいて、居住する障がい者が外部のヘルパーも利用するということについては、各サービスを提供する事業所の責任、いわゆるそのサービスの質に関する責任の所在が不明確になるということについての検討が必要であるという観点があり、こうした観点からの検討が更に必要であるということでございます。
○国務大臣(武見敬三君)
この報酬改定検討チームの中で、団体等から、意見や重度障がい者の受入れ体制確保の観点も踏まえて総合的に勘案をして、特例措置を令和8年度末まで延長するということを決めております。
それから、共同生活援助を利用する重度の障がい者が個人単位で居宅介護等を利用することについては、引き続きそのあり方検討するということになっており、その取りまとめが行われたところでございまして、そのあり方については引き続き検討を進めていきたいと思います。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
地域で暮らすための選択肢を広げるためには恒久化すべきです。もっと議論してください。大臣、もう一度聞きます。いかがでしょうか。
○国務大臣(武見敬三君)
この点については、先ほども申し上げたとおり、引き続きしっかりと検討をさせていただきたいと思っております。
○天畠大輔君
代読します。次に行きます。
東京都八王子、精神科、滝山病院での暴行・虐待事件発覚から1年以上がたちました。虐待を受けたり、見たり聞いたりした患者1人ひとりに対する謝罪、回復ケア、そして事件直後の緊急的な転退院支援などの被害回復を定めた仕組みづくりはいまだ取り組まれず、ほかにも課題が山積ですが、本日は、政府が最低限すべきと考えることを伺います。
平成10年の厚労省通知「精神科病院に対する指導監督等の徹底について」があります。この中で、「法律上適正を欠く等の疑いのある精神科病院に対する実地指導」はこう定められています。
「最長でも1週間から10日間の予告期間をもって行うこととするが、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等については予告期間なしに実施できる」
つまり、「予告期間なしでの実地指導」をしない余地を残した書き方です。滝山病院事件では、東京都は発覚の1年ほど前には虐待疑いの知らせを受け取っており、定期検査以外の聞き取りもしたと伺っています。しかし、すぐには見つかりませんでした。これまでも同様に精神科病院での虐待が見逃されがちでした。
虐待や違法な身体拘束など、入院患者への違法な加害行為が疑われる場合には、「予告期間なしに実地指導をしなければならない」などと文言を変更すべきではないでしょうか。これで必ず虐待が見つかるわけではありませんが、最低限の対応として厚労省ができるのではないでしょうか。転院などにより、患者の安全が確実に確保されていることが明らかな場合などもあるかもしれません。その場合には、たとえば「1週間から10日間の予告期間をもって実施することができる」といった付記をしておけばいいのではないでしょうか。厚労大臣の見解をお願いします。
○国務大臣(武見敬三君)
この都道府県等による精神科医療機関に対するこの実地指導について、緊急性が高い場合などには予告期間なしに実施できることは、これまでも通知を行ってまいりました。
あわせて、精神科病院における虐待通報制度が今年4月に施行されるにあたり、より適切な実地指導につながるよう、昨年11月に通知を改めて発出したところでございます。その中で、通報時点で虐待が強く疑われ、緊急性が高い場合などとして、外傷やあざがあり、殴る、蹴るなどの暴力行為がある、食事が十分に提供されず、著しく体重が減少しているなどの具体例をお示しをし、これらの場合に予告期間なしに実地指導を行うことができる旨もお示ししているところでございます。
今後とも、都道府県等と連携をして、精神科病院の虐待防止措置に係る取組をしっかりと進め、虐待の防止、早期の発見、再発防止を徹底して行っていきたいと思います。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
やはり、原則と例外は入れ替えるべきです。代読お願いします。
今、答弁にあった昨年11月の通知では、「殴る、蹴る、つねるなどの暴力行為が行われている」などの項目に該当する場合、「予告期間なしに実地指導を行うことを検討すること」と書かれています。「予告期間なし実地指導」はあくまで「検討」であり、平成10年通知の原則・例外は維持されています。やはり、緊急性が高い場合を原則として、「予告期間なし実地指導」を行うのがよいのではと考えます。
次に、国の関与についてです。
実地指導について、先ほどの通知では、「法律上極めて適正を欠く等の疑いのある精神科病院に対しては、国が直接実地指導を実施することもあり得ること」と定められています。先ほどと同じように、国が直接実地指導をしない余地を残しています。過去には、精神保健福祉法に基づいて国も入った事例があります。末尾を、「国が直接実地指導を実施すること」といった書き方に改めるべきではないでしょうか。厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武見敬三君)
この精神科病院に対する実地指導につきましては、精神保健福祉法上、都道府県及び指定都市並びに国に権限がございます。この虐待対応窓口を設置をし、その状況等をよく把握をしている都道府県や指定都市が実地指導を行うことが、やはり原則としては適当だと考えます。
あわせて、都道府県等において実地指導が適切に実施されるよう、昨年11月に、虐待が強く疑われ緊急性が高い場合などとして、虐待行為の具体例もお示しをしたところであります。
今後とも、精神科病院の虐待防止措置に係る取組はしっかりと進めて、虐待の防止、早期発見、再発防止の徹底を行います。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
では、国が入る場合の類型化をしておくのはいかがですか。通告なしですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(武見敬三君)
それぞれの個別の内容によって国がそれぞれ直接介入をする場合も当然ございます。しかし、それはあくまでも個別のケースによって異なると思いますので、その点に関するご理解はいただきたいと思います。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
国は何もしないように聞こえます。昨年11月の通知より、より踏み込んだ内容の具体策を検討すべきではないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武見敬三君)
法律上極めて適正を欠くなどの疑いのある精神科病院に対しては、国が直接実地指導を実施することもあり得るということは明確にしてあります。その上で、個々のケースに対応して、それぞれまずは原則としては各都道府県、指定都市というところで対応していただいて、そして、その個々のケースに応じて国が直接介入するという考え方を取っていることを改めて申し上げたいと思います。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
滝山病院事件は通知に当てはまる状況ではないのですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(武見敬三君)
この滝山病院のケースの場合には東京都が指導を行っておりまして、この東京都との連携で厚生労働省としての取組を進めていきたいと考えています。
○天畠大輔君
代読します。引き続き、具体的な対応について追及していきます。
次に、午前中に高木委員も質問されていましたが、化学物質過敏症についてお伺いします。
昨年11月の厚生労働委員会において、化学物質過敏症の利用者に対するヘルパー派遣の拒否を防げるよう、自治体や事業者への周知徹底を徹底するように大臣に求めました。その後、どのように対応されたのか、大臣の方からご説明ください。
○国務大臣(武見敬三君)
昨年11月、天畠議員から厚生労働委員会におきましてご質問いただいた際にもお答えしたとおり、障がい福祉サービスの指定基準において、指定事業者は、正当な理由がなくサービスの提供を拒んではならないと定められておりまして、これは化学物質過敏症の方への対応にも該当するものであります。
このため、本年1月に自治体に対し事務連絡を発出するとともに、さらに、本年3月の主管課長会議においても、訪問系サービス等の事業者に対して、化学物質過敏症である利用者に配慮したサービス提供に努めるよう求めたところでございます。
引き続き、障がい福祉現場に対し、香りへの配慮についての周知を行っていきたいと思います。
○天畠大輔君
代読します。まとめます。
資料2は先ほどの答弁にあった主管課長会議資料の抜粋です。周知徹底を是非図ってください。今現状でもヘルパー派遣を断る事業所が多く、自治体も、行政では何もできませんという対応が続いているようです。
また、先ほどの答弁にあった啓発ポスターが実際には掲示されているところを見たことがない、国民への周知啓発に寄与しているのかと疑問の声も寄せられています。
○委員長(比嘉奈津美君)
時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○天畠大輔君
はい。資料3のとおり、高知県、青森市では、医療・介護従事者に特化した啓発チラシも作成していますので、厚労省の方でもこのチラシの作成について検討をお願いします。引き続き、追及していきます。
質疑を終わります。
〈配付資料〉