① 障がい者の社会参加を保障する公的ヘルパー制度の実現

介助を必要とする障がい者の就労や就学などを制限する理不尽なルールを変える

「学びたい」「働きたい」
健常者であれば当たり前の願いが、私たち重度障がい者にとっては一筋縄ではいかない現実があります。
私のように、トイレや食事、入浴など、日常生活全般に介助が必要な障がい者は、ヘルパーがいなければ学ぶことも、働くこともできません。
しかし、現在の障がい福祉制度(重度訪問介護・同行援護・行動援護)では、就学や就労など、生きていく上で誰もが当たり前にする社会参加にはヘルパーをつけられないルールになっています。
この理不尽なルールによって、介助を必要とする障がい者の社会参加が阻まれています。

就労については、雇用主が行政に申請すれば、通勤や就労中の介助費用に対する補助金(職場介助者助成金)があります。
ただ、全額補助ではないので、雇用主側の費用負担はなくなりませんし、申請にかかる事務負担もあります。
障がい者は雇用主に「お願い」するしかない、弱い立場に置かれているのです。

国は、「重度障害者大学等修学支援事業」や「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」をつくり、就学・就労中の介助保障をしていると言います。

しかし、就学・就労を希望する障がい者がこれらの事業を使えるかどうかは、各市区町村の判断に委ねられており、「重度訪問介護利用者の大学修学支援事業」は実施市町村 18 自治体、利用者数 23 人(令和2年度事業実績)、「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」は実施市町村 11 自治体、利用者数 27 人(令和4年 1 月 1 日時点)にとどまります。
さらに、大学や企業側の費用負担や申請にかかる事務負担は依然としてあり、重度訪問介護等の国の制度にくらべて、ヘルパー派遣事業所の収入も減ってしまいます。
障がい者の就学や就労が当たり前に受け入れられる社会にはほど遠い現状なのです。

こうした障がい者の社会参加を阻むルールが、障害者総合支援法における告示523号に記されています。
この告示を改正し、障がい者が学ぶときも、働くときも、どんな場面でも介助を付けられる制度を確立することが、私の最も実現したい政策のひとつです。

ヘルパー不足の解消

私たち重度障がい者は、ヘルパーがいなければ生きていけません。その命綱のヘルパーの人手不足が深刻な状況です。この人手不足の問題は、コロナ禍でさらに浮き彫りになっています。国は処遇改善加算で賃金アップを図っていますが、資格や職種など一定の条件を満たした事業者しか対象になりませんし、手続きが煩雑で申請を控える事業者もあります。

特に、地域で介助者を入れて在宅生活を送るための訪問介護の制度は、介護保険と比べても単価が低く、在宅障がい者に介助者を派遣する事業者は多くありません。地方では、重度訪問介護等の事業所がほとんどない自治体すらあります。

また、障がい者の介助は一人一人異なり、個別性が高いため、資格の有無は介助の質に大きな影響を与えません。実際、私の介助も私自身がヘルパーに教え、介助スキルを習得してもらいます。しかし、公的ヘルパー制度を利用するとき、ヘルパーには資格の取得が求められるため、地域に身近にいる人が気軽に介助に関われる仕組みにはなっていません。

このような問題を解決するために、報酬単価の抜本的な見直し、人材確保のための事業者への補助金の拡充、無資格でも介助に携われるような柔軟な制度運用など、当事者の訴えを国に届け、地域にヘルパーが十分いる社会を目指して取り組んでいきます。

② バリアのないインクルーシブな街づくり

「移動の権利」を保障する交通バリアフリー

長年の障がい者運動によって、現在では私たち車いす利用者がバスや電車に乗りやすくなっています。

しかし、UD(ユニバーサルデザイン)タクシーは電動車いすや大型の車いすでは利用しづらく、飛行機は自分の身体の一部である車いすから離れて、座席に移乗しなければなりません。路線バスのスロープ化は進んでいる一方、観光バスや長距離バスはリフト付きのものがまだまだ少なく、車いすでは乗ることができません。また、電車のホームドアの設置が進んでいない路線がまだたくさんあり、視覚障害者や車椅子ユーザーの人たちが安心して電車に乗れません。

バリアフリー法ができても、障がい者が健常者と同じように安心して交通機関を利用できる状況には至っていません。これまで障がい当事者として、様々な交通機関を利用し困難にぶつかった経験を基に、今後も積極的な視察を重ねながら、国や事業者への働きかけを行い、交通機関のバリアを取り除くために取り組んでいきます。

投票のバリアフリー

障がい者の人たちはハード・ソフト両面のバリアによって、誰に投票するか選ぶための情報保障がなかったり、移動が困難で投票所にすら行けなかったり、投票所に行っても投票するための環境が整っていなかったりと、投票する権利が十分に保障されていません。

投票所のハード面のバリアフリー化はもちろんのこと、外出が困難な障がい者の郵便等投票の対象拡大、施設にいる障がい者のための不在者投票制度の充実、視覚障害者や聴覚障害者、知的障害者の人たちにもわかりやすい選挙公報、介助者による代筆投票など、障がい者の投票する権利を保障するため、公平・公正性を担保しながら様々な合理的配慮が実現されるよう、法改正や制度の改善に向けた国への提言をしていきます。

③ 未来を見据えた若手研究者支援

博士人材の効果的な活用

「ポストがない」
学術研究をしたことがある人なら、必ず一度は聞いた嘆きだと思います。 1990年代に国が進めた「大学院重点化」で、大学院生の数、また博士号取得者の数は大幅に増えた一方で、国立大の基盤を支える「運営費交付金」は2000年代を通じて減り続け、大学教員のポストは増えていません。

大学は「運営費交付金」の代わりに、応募して獲得する「競争的資金」が頼りになったため、期限付きの非正規の教員や、非常勤講師が増えました。所得も低く、身分も安定しない中で、学術研究を続けなければいけないのです。私自身、研究者コミュニティに身を置く中で、疲労や焦りの声を仲間たちからたくさん聞いてきました。

落ち着いて研究に取り組めるよう、文科省は若手研究者を採用した研究機関に資金を補助する事業を続けていますが、大半は理系で、人文社会科学系での採用はほんの少しです。

学術研究は、数年ですぐ成果が出るものばかりではありません。未来を見据える視点から、大学政策のあり方を見直す必要があります。また、博士人材が大学以外でも働く選択肢を増やす取り組みも必要です。企業や大学以外の研究機関の他、とくにNPO/NGOなどの非営利組織や、公益財団などの市民活動を支援する中間支援組織などで、調査や実務に取り組む博士人材が活躍するのは、社会にとって大きなプラスになると考えています。

奨学金徳政令

れいわ新選組が掲げる「奨学金徳政令」、つまり返済を免除することは、経済が低迷する中で、奨学金返済義務を負ったまま社会に出て苦しむ人たちの負担を軽くするだけでなく、若手研究者の下支えにもつながると考えています。

まず、奨学金返済問題は、一部の若者だけの問題ではありません。大学・短大進学率は58.9%(過去最高)と多くの人が高等教育機関に進学しています。その中でも、大学学部生(昼間)の半数(令和2年度は49.6%)が何らかの奨学金を利用しています。奨学金を利用する理由は、もちろん個人によってさまざまですが、学費の上昇と親の低所得化は見逃せない社会背景です。

しかも、奨学金利用の大半は「貸与型」。つまり、のちのち返済しないといけないものです。より詳しく言うと、大学生の奨学金利用の大部分を占めるのは文部科学省所管の独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)による貸与型(無利子/有利子)なのです。日本の高等教育機関で学ぶ学生348万人(令和元年度)のうち、JASSOの貸与奨学金を受けているのは127万人(36.5%)。つまり学生の約3に1人(令和元年度)です。JASSOには給付奨学金もありますが、利用者は数万人程度にとどまり、対象者が非常に狭いなどの問題も指摘されています。

大学等を卒業しても十分な所得がない、安定した職に就けないなどの理由から、返済が滞ることもあります。JASSOの奨学金貸与者のうち、延滞者(3か月以上延滞している者)の割合は3.56%、15万2000人。延滞理由は、「本人の低所得」が62.7%で最も高くなっています。

しかし、返済困難な奨学金を公的機関が全額補填するような救済策はありません。JASSOの返済猶予や減免制度は多くの問題点が指摘されています。無理な取り立てによる被害も報告されています。

返済義務を負って社会人になった人たちはもちろん、若手研究者も返済に苦しんでいます。そして、生活困窮や将来の見通しが立たないことを苦に、若手研究者が自殺で亡くなった、痛ましい事件もあります。若手研究者支援という意味でも、奨学金徳政令は行うべき政策だと考えています。また奨学金は貸与型でなく、給付型にすべきです。