2023年3月30日 厚生労働委員会質疑「在日米軍基地従業員に労基法適用を」
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。代読お願いします。
本日は、「戦没者の妻特別給付金支給法」と「駐留軍離職者・漁業離職者臨時措置法」に関連して質問します。
加藤大臣は、3月15日の衆議院厚労委員会で、駐留軍等労働者、つまり在日米軍基地従業員についてこのように答弁しています。
「駐留軍等労働者の労働条件については、日米地位協定第12条第5項の規定で、雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、別段の合意をする場合を除き、国内法令で定めるところによらなければならないとされており、駐留軍労働者についても我が国の労働基準法が適用されるものと承知をしております。」
資料1が日米地位協定第12条5の条文です。
「別段の合意」とは具体的に何ですか。外務省、お答えください。
○政府参考人(宮本新吾君)
お答え申し上げます。
駐留軍等労働者の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件等については、日米地位協定第12条5において、「別段の合意」をする場合を除くほか、日本国の法令で定めるところによらなければならない旨規定されております。
我が国としては、日米地位協定第12条5に言う「別段の合意」は、現状においては第12条6のいわゆる保安解雇に関する規定のみであり、駐留軍等労働者の労働条件等は我が国の労働関係法令の定めるところによるものと考えております。
○天畠大輔君
代読します。
では、一方で、米国側はこの「別段の合意」についてどのように解釈をしていますか。外務省、お答えください。
○政府参考人(宮本新吾君)
お答え申し上げます。
米側は、日米間で締結している駐留軍等労働者の労務提供契約がこの「別段の合意」に当たるという解釈を取っていると承知しております。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
日米間で解釈が全然違っていますね。代読お願いします。
日米間で締結している労務提供契約とは、在日米軍労働者の全ての労働契約を意味します。つまり、米国の主張によれば、日本の労働法令は全く適用されないということになってしまいます。米国の主張はめちゃくちゃだと政府はなぜ抗議しないのですか。防衛省、お答えください。
○政府参考人(田中利則君)
お答えを申し上げます。
日米地位協定第12条5に係る日米双方の解釈につきましては、先ほど外務省からご答弁させていただいたとおりでございます。
その上で、防衛省としましては、日米地位協定上、駐留軍等労働者に対して労働関係法令が適用されるとの考えの下、従来から、米側に対して労働関係法令等の趣旨を踏まえた所要の措置を講ずることについて申入れをしてきているところでございます。
引き続き、このような日本側の考え方を、日米合同委員会の下の労務分科委員会などにおきまして、米側に対して主張してまいりたいと考えております。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
それは植民地そのものです。代読お願いします。
在日米軍基地従業員の労務費は日本側が負担しているにもかかわらず、180度違う解釈が日米地位協定締結後60年以上放置されているのは、植民地そのものです。
厚労省は、駐留軍労働者の労働環境を法的に安定、向上させるためにも、防衛省、外務省に強く働きかけ、日米合同委員会労務分科委員会などの場において、日米間の認識、解釈の食い違いを解消するように要請すべきと考えますが、加藤大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君)
今お話がありました日米合同委員会労務分科委員会は、議題に応じて、日本側の代表である防衛省地方協力局労務管理課長より関係省庁に出席が依頼されるものと承知をしております。今後も厚労省に対して出席依頼があった場合には、雇用や労働を所管する立場から適切に対応していきたいと考えております。
また、今日米地位協定のお話がありましたが、これについて直接お答えする立場ではありませんが、駐留軍等労働者の労働条件は、一部我が国の法令に合致していない事項はあります。これらについては、駐留軍等労働者の雇用主として米側と労務提供契約の締結などを行っている防衛省において、米側と調整が続けられるものと承知をしております。
厚生労働省としても、駐留軍等労働者の労働条件が我が国の法令に合致するものとなるよう、労務提供契約の改定に必要な情報の提供など、防衛省に対して必要な支援を引き続き行ってまいります。
○天畠大輔君
代読します。
厚労省と連携し、日米合同委員会労務分科委員会などの場において、労働法令の未適用分野の改善のために米国への説得にむけて最大の努力を行うべきではありませんか。防衛省、お願いします。
○政府参考人(田中利則君)
お答えを申し上げます。
防衛省といたしましては、駐留軍等労働者の皆様が適切な労働環境の下で勤務できる状態を確保することは極めて重要であると考えております。駐留軍等労働者の方々に関する様々な事項につきまして、これまで、日米合同委員会の下の労務分科委員会やそのほかの日米協議の場において米側と鋭意調整を行ってきております。
引き続き、労務分科委員会の場も含めて日本側の考えを米側に伝えるとともに、厚生労働省とも連携しつつ、我が国の関係法令に合致していないものが解消されるよう努力してまいりたいと考えております。
○天畠大輔君
代読します。
資料2をご覧ください。
日本と同じく米軍が駐留しているドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス、オーストラリア、フィリピンでは、被駐留国の国内法が原則適用となっています。日本だけがなぜ国内法が適用されないのですか。外務省、お願いします。
○政府参考人(宮本新吾君)
お答え申し上げます。
各国における米軍による施設・区域の使用のあり方につきましては、各国における米軍駐留のあり方、実際の運用、安全保障環境等の背景などの事情を踏まえたものでございまして、単純に比較することが適当とは考えておりません。
その上で申し上げれば、在日米軍の施設・区域は日本の領域でございまして、労働法令を含む我が国の法令が属地的に適用されます。一方、その執行に当たっては、日米地位協定第3条に基づく管理権との調整が必要となる、こういったことでございます。
いずれにしましても、日米、すみません、失礼いたしました、在日米軍従業員の労働環境等に関しましては、日米合同委員会の下に設置されている労務分科委員会等の場を活用しまして、日米でよく連携して対応することが重要と考えております。
○天畠大輔君
代読します。
米軍基地といえども自国領域内における自国法適用が基本です。自国民保護、自国民の権利保護を最優先にするのが主権国家の当然の権利と義務です。
次に行きます。
日本と同じ敗戦国であるドイツやイタリアでは、一般市民の戦争被害に対しても補償が行われています。厚労大臣、日本では行われていない理由を簡潔に述べてください。
○国務大臣(加藤勝信君)
さきの大戦では、全ての国民が何らかの戦争の犠牲を被り、一般市民の中にも筆舌に尽くし難い労苦を経験された、労苦を体験された方が多数おられます。戦争の犠牲を被った方に国としてどのような措置を講ずべきか、その国の歴史的な事情等によって異なるものと考えております。我が国においては、政府として、これまでも一般戦災者に対して、一般の社会保障施策の充実などを図る中でその福祉の向上を努めてきたところでございます。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
答えになっていませんね。代読お願いします。
社会保障政策は、福祉国家として当然に行われるべきものです。私が質問しているのは、国家が起こした戦争によって被害を被った一般市民への補償についてです。空襲被害者を始めとする一般市民と旧軍人軍属、その遺族との間で慰藉や補償などに関して差別があるというのは不当ではありませんか。厚労大臣、お願いします。
○国務大臣(加藤勝信君)
軍人軍属など国と雇用関係又は雇用類似の関係にあった方が公務等による傷病により障がいの状態になった又は死亡した場合には、国が国家補償の精神に基づき使用者の立場から補償を行っているところであります。
同じことになりますが、政府としては、これまで一般戦災者に対して、一般の社会保障施策の充実などを図る中でその福祉の向上を努めてきたところでございます。
また、厚労省としては、社会保障施策の実施に取り組むほか、全国戦没者追悼式を開催し、一般戦災死没者の遺族代表を招待するなどの措置もとってきているところでございます。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
一刻も早い空襲被害者への補償を求めます。代読お願いいたします。
さて、戦争を始め、社会に余力がなくなったとき、真っ先に切り捨てられるのは弱者です。脳性小児まひの娘を抱えて満州から山口県に引き揚げてきた母親は、日本兵から「障害のある子供は有事のときに邪魔になるから殺せ」と青酸カリを渡されました。
優生思想に根差した殺人、命の選別を起こさないために今が大事な局面ですので、次に優生保護法問題をめぐる国家賠償訴訟について伺います。まず、3月16日の札幌高裁判決に対して、本日、国が上告したこと、非常に残念です。取下げを求めます。
さて、先週23日、大阪高裁で画期的な判決がありました。現時点で全ての被害者に対し救済の道を開くものです。優生条項を憲法違反と国が認めたとき、又は最高裁判決で憲法違反と確定したときのうち、いずれか早い方から6か月経過するまでは除斥期間の経過による効果は発生しないという初めての判断を下しました。大臣は、今回の判決をどう受け止めていますか。
○国務大臣(加藤勝信君)
今お話がありました令和5年3月23日の大阪高裁判決の判決内容は承知をしているところでございます。旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障がいを理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、また、心身に多大な苦痛を受けてこられたこと、これに対して政府として真摯に反省し、深くおわびを申し上げているわけでありますし、その姿勢は全く変わるものではありません。
その上で、大阪高裁判決は、これまでに国の損害賠償責任の一部が認められた判決と同様、優生保護法に係る本件事案にとどまらない法律上の重大な問題を含んでおり、また、東京高裁判決などと除斥期間の適用を制限する根拠と範囲に大きな違いがございます。
このため、除斥期間の法律上の解釈、適用に関する同様の論点を含んでいることから、適切に対応を検討していきたいと考えております。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。天畠委員に申し上げます。時間が過ぎておりますので、簡潔に質問をおまとめください。
○天畠大輔君
原告の方は高齢です。残された時間はありません。既に司法の判断は固まっています。今決断すべきは政治です。総理、厚労大臣が被害者と面会すべきです。
これで質疑を終わります。