2022年11月9日 倫理選挙特別委員会質疑「重度障がい者の政治参加は後回し?!・杉田水脈政務官の「生産性」発言を問う」
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。
国会から発話障がいを持つ人への合理的配慮を社会に広げていきたいです。代読お願いします。
今日の質疑では、予定外の発言が必要になったときには、配慮として速記を止めていただきます。その間、私の持ち時間は減りません。ただ、皆さんに訴えたいのは、速記を止めるのはあくまで委員長の権限だということです。こうした配慮には感謝していますが、発言の権利がいつでも保障される仕組みは整っていません。私はまだ健常者議員と同じ土俵には立っていないのです。そして、速記を止めている間はインターネット中継の音声は止まります。
資料1をご覧ください。
テロップも「速記中止」の趣旨が示されるだけで、視聴者は何が起きているか分かりません。まさに、私が力を振り絞って意思表明している事実がなかったことにされている。私自身、あとから映像を見ると、深い水の中に潜っているような感覚になります。世の中から存在が消されたような、と言えば伝わりやすいでしょうか。
先日、障がい当事者からメールをいただきました。「障がい者を隔離し、見ないように蓋をしてきた社会」と速記止めの映像が重なり、差別を浴びせられた気持ちになったということでした。
国民は見ています。代読お願いします。
国会が変わることで発話障がいを持つ人への合理的配慮が社会に広がることを期待しています。引き続き、私の質疑方法について対話をしていきたいと考えています。
続いて、在外国民審査の法案に関連して質疑します。
在外国民審査にあたり、障がい当事者としては投票のバリアフリーが確保されるのかが気掛かりです。今回の法改正にあたってはどのような措置がとられているか、総務省、簡潔にお答えください。
○政府参考人(森源二君)
お答えいたします。
障がいのある方が円滑に投票できる環境を整備していくことは大変重要なことと考えております。在外公館においては、これまでも国内の投票所と同様に、たとえば段差がある場合には職員が人的な介助を行うことなど、障がいのある方の視点に立って必要な措置を講じているところです。
また、国内の投票所と同様に、在外公館投票でも代理投票が可能であり、心身の故障などにより自ら記載することができない有権者が代理投票を希望された場合、投票所の事務従事者が有権者の方の意思を確認し、有権者に代わって投票用紙に記入をすることとなります。この代理投票の際は、投票を補助する事務従事者以外の者に投票内容が知られないよう、投票の秘密に配慮した意思確認を行っているところです。
在外公館においても、国内と同様、障がいのある方が円滑に投票できるよう、外務省と連携し、必要な取組を推進してまいります。
以上です。
○天畠大輔君
それでよしとはできません。代読お願いします。
在外国民審査でも国内と同じ投票のバリアフリーが確保されるということでした。しかし、それでよしとは思えません。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、投票の機会を奪われる人に対して、この間、様々な工夫が行われました。たとえば、新型コロナの患者も郵便投票できるよう、特例法ができました。また、海外では、ロックダウンがあったため、在外選挙人名簿登録申請では、本人確認にビデオ通話を利用できるようになりました。
しかし、従来の郵便投票制度には、高齢者や重度障がい者が対象にもかかわらず、工夫が見られなかったのは残念です。
総務省、郵便投票制度の概要と、対象者を簡潔に教えてください。
○政府参考人(森源二君)
お答えいたします。
郵便等投票制度は、疾病等のため歩行が著しく困難な方の投票機会を確保するために昭和22年に導入されましたが、選挙人が病気と偽って制度を利用するなどの不正の横行を背景に昭和27年に一旦廃止をされ、その後、昭和49年に両下肢、体幹、移動機能の障害等級が1級から2級など、身体障害者手帳における一定以上の重度障がい者等に対象を限定した上で再び導入をされ、さらに平成15年の議員立法により、介護保険の要介護5の方を対象として現在に至っております。
この国内の郵便等投票の仕組みですが、身体に重度の障がいがある方や要介護5の方などの一定の要件に該当する対象者の方が、名簿登録地の市町村選挙管理委員会にあらかじめ郵便等投票証明書の交付を申請し、選挙の際には、名簿登録地選挙管理委員会に交付を受けた証明書を添付して投票用紙を請求し、その交付を受け、自宅等現在する場所において投票用紙に記載をし、郵便等で送付する投票方法でございます。
このほか、ご指摘のとおり、昨年の議員立法により、新型コロナウイルス感染症の患者等による郵便等投票についても可能となっております。
以上です。
○天畠大輔君
代読します。
ありがとうございます。
ただ、現在の投票バリアフリーでは障がい者の政治参加の権利が保障されていないことは従来から指摘されてきました。
昨年度の参議院改革協議会では、木村英子議員が、このように問題提起しています。
「投票所の段差や手話通訳者の不在、コミュニケーション支援の点では、代筆、代読ができず、投票できずに帰される方もいる。障がい者施設にいる方には投票の機会があるとのことだが、総務省の通知では原則50人以上の障がい者施設に限定されているので、必ずしも投票する権利が保障されているわけではなく、多くの貴重な一票が奪われている。」
郵便投票制度に限っても、様々な課題があります。たとえば、平成29年、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会は、「要介護3全体について郵便等投票の対象となるひとつの範囲として捉えることが適切」と提言しています。
私自身、新型コロナ感染を避けるために郵便投票をしました。しかし、証明書の交付申請にあたり障害者手帳の原本郵送を求められ、尻込みしてしまいました。郵便で原本を送ると紛失のリスクがあるためです。障害福祉サービスを受けるために必要な大事な手帳を手放すことは、日常ではほとんどありません。同じ理由で、投票を諦めた当事者もいると聞いています。
大臣、先ほどの研究会後も郵便投票について政策の進展がないのはなぜですか。
○国務大臣(寺田稔君)
ご指摘の障がい者の方々、またその他投票について困難が生ずる方々の投票環境の改善は重要な課題であると考えております。
今委員ご指摘の総務省の研究会におきましては、郵便等投票について議論がなされまして、平成29年6月に「要介護4及び3の方を郵便等投票の対象とすべき」との提言がなされております。
そのことを受けて、今現在、各党各会派におかれて、これをどう受け止めるか、今後の対応についてご議論を今現在いただいております。
郵便等投票の拡大については、昨年、議員立法によりまして新型コロナウイルス感染症患者による郵便等投票が可能となったところでありますが、このような過去の経緯、また先ほどの研究会の提言、また選挙の公正確保の観点も含め、各党各会派におかれて十分ご議論をいただきたいと考えております。
○委員長(古川俊治君)
速記を止めてください。
○委員長(古川俊治君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
障がい者は後回しにされがちです。郵便投票の研究会を当事者を含めて再開すべきです。国会議員の皆さんにも議論を呼びかけます。代読お願いします。
最後に、杉田政務官の過去の発言に対して、重度障がい当事者の立場から質疑します。
資料2をご覧ください。
杉田政務官は、2018年、『新潮45』へ「LGBTへの支援の度が過ぎる」を寄稿し、「彼ら、彼女らは子供をつくらない、つまり生産性がないのです」と言い切りました。「生産性」のないものは、行政の支援に値しないと断ずる発言に、私は重度障がいを持つ当事者として、恐怖を覚えました。今、あなたと対面することにすら恐怖を感じます。
資料3をご覧ください。
この寄稿に対し、当時、障がい者や難病患者らが抗議の声明を出しました。私も仲間とともに杉田政務官の国会事務所まで抗議に行きました。
私たち障がい者は、「健常者に合わせられない存在は社会のお荷物だ」という価値観の下で、社会から切り捨てられる怖さを日々感じています。そのひとつが2016年のやまゆり園事件です。人の価値を「生産性」で評価する杉田政務官の発言の根底には、事件を起こした植松聖氏の考えと同じものを感じます。
あなたの発言は、多くの障がい者とLGBTQの当事者に恐怖を与え、深く傷つけたのです。その認識はありますか。認識があるなら、撤回と謝罪をしてください。
○大臣政務官(杉田水脈君)
ご指摘の寄稿において、不用意に「生産性」という表現を用いるなど、拙い表現によって傷つかれた方がいらっしゃることを重く受け止めております。
雑誌の寄稿につきましては、当事者、そして障がいを持つ方々の人権を否定するつもりも、偏見を持って差別する意図も一切ございませんでした。また、寄稿内において障がい者や高齢者、難病の方、子どもを持っておられない方々を差別するような表現や言及は一切しておりません。
○委員長(古川俊治君)
速記止めてください。
○委員長(古川俊治君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
あなたがかつて発した言葉がこれからも当事者に恐怖を与え続けます。
先ほど石川理事がおっしゃったように、重く受け止めることと撤回、謝罪は違います。撤回、謝罪が必要です。
○大臣政務官(杉田水脈君)
私は、その論文の中にも、中ででも、そしてその論文を書く以前、それから書いた後も、一切、障がい者や、先ほども申し上げました障がいを持つ方々や高齢者や難病の方、子どもを持っておられない方々を差別するような言及は一切しておりませんし、そういう考えも一切持っておりません。また、論文の中にもそういった内容は一切書いておりません。
むしろ私は、障がいを持つ方の福祉のために、議員になる前からずっと頑張ってきておりまして、もっとそういう方々のために税金をしっかり使っていって、そして人材もしっかり割いていくということに今まで力を尽くしてまいりました。
先ほどありましたみたいに、植松死刑囚と私が同じだという意見を持つ方がいらっしゃることは私自身も非常に残念に思っておりますが、これからも障がいを持つ方々にしっかりと寄り添って、皆さんがしっかり生活をできる社会の実現のために頑張ってまいりたいというふうに心から思っております。
まだまだ努力が足りていません。これからもしっかり頑張ってまいります。
○委員長(古川俊治君)
速記を止めてください。
○委員長(古川俊治君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
口だけにならないようにしてください。質疑を終わります。