2023年5月11日 厚生労働委員会質疑(全世代型社会保障法案審議)「障がい者が安心できる医療のために提案します!」
〈質疑〉
○天畠大輔君
代読します。
れいわ新選組の天畠大輔です。かかりつけ医における障がい者への配慮について質問します。
先日の参考人質疑では、障がい者がかかりつけ医を選ぶ際に必要となる、情報提供項目について伺いました。そのなかで、医療機関のバリアフリー状況や情報保障の有無など、障がい者への情報提供の重要性や法案成立後の検討において、当事者のニーズを把握する必要性についてご意見をいただきました。
現在、医療機能情報提供制度には、障がい者に対する配慮や車椅子等利用者に対する配慮が含まれてはいます。たとえば、手話や音声による情報保障があるか、点字ブロックが設置されているか、車椅子に対応しているか、多機能トイレがあるかなどです。一方、聴覚障がい者の方には、手話だけでなく筆談での対応も欠かせませんし、診察や窓口への呼出しに振動式呼出し機の要望も多いと伺っています。そして、先日から提起していますように、私を含めて、介助者の付添い可否が医療を受ける際の「生命線」になる障がい者もいます。
障害者差別解消法の改正により、来年度には民間の医療機関に対しても、合理的配慮の提供が義務づけられます。まず、障がい者が安心して医療を受けられるように、医療機能情報提供制度において、どのような項目を入れるべきか再検討するときです。検討の際には、障がい当事者へのヒアリングはもちろんのこと、検討のメンバーに当事者を参画させることが必要不可欠です。そして、かかりつけ医機能の情報提供項目の検討においても、当事者参画の下で、障がい者への配慮について議論する必要があると考えます。
以上2点について、加藤大臣の考えをお聞かせください。
○国務大臣(加藤勝信君)
本法案では、国民、患者がそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を選択できるよう、医療機能情報提供制度を刷新することとしております。法案が成立すれば、有識者の皆さん、などの皆さんの意見を聞きながら、かかりつけ医機能に関する情報提供項目を、医療機関の選択に資する分かりやすいものに見直すこととしております。
この点、今般の改正についてご議論いただいた社会保障審議会医療部会の意見の中でも、医療機能情報提供制度の情報提供項目のイメージとして、高齢者、障がい者、こどもなどの対象者別に項目を整理することについて提案をいただいているところでございます。
情報提供項目の見直しに関する検討の場や、有識者の詳細について現時点で定まって、決めているものではありませんが、情報提供項目の意味合いが障がい者を含む全ての国民の医療機関の選択に資するよう、様々な立場の有識者や学識経験者などのご意見をしっかりと踏まえながら、具体的な内容等を検討してまいりたいと考えております。
○天畠大輔君
代読します。
当事者参画については約束していただけませんでした。検討メンバーに当事者を必ず参画させてください。また、検討する際には、各都道府県の医療情報ネットの改善も必要です。医療機能情報提供制度の導入により、診療科目、診療日、診療時間や対応可能な疾患、治療内容等の医療機関の詳細がわかるウェブサイトが各都道府県で運用されています。つまり、実際にかかりつけ医を選ぶ際の情報源にもなります。
東京都が運営している、運用しているサイト「ひまわり」では、車いす対応か否か、視覚障がい者や聴覚障がい者への配慮有無などの情報は閲覧でき、キーワード検索でもある程度障がい者への配慮があるか確認ができます。しかし、ほかの都道府県のサイトでは、全ては確認できていませんが、検索では障がい者への配慮があるか確認ができなかったり、そもそも障がい者への配慮に関する項目の表示がないところもありました。
情報提供項目の中身はもちろんのこと、その情報をわかりやすく確実に提供できる仕組みについても、各都道府県の運用状況を把握した上で、当事者参画の下で検討し、各都道府県にひな形を示すべきだと考えます。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君)
まず、情報提供システムのお話がありました。これまで都道府県がそれぞれ独自に構築、運用している住民や患者さんなど向けの医療機能情報提供システムについては、公表形式を統一するとともに、県境を越えた検索も容易にするため、来年度、令和6年度を目指して全国統一的な検索サイトを構築することとしております。
情報提供項目だけではなくて、こうした情報提供の方法についても、障がい者を含む全ての国民にとって分かりやすい情報提供を実現できるように進めていかなければなりません。やり方についてはまだ、先ほど申し上げましたように、詳細固めているわけではありませんけれども、様々な方の立場がしっかりと反映していけるようにこの検討を進めていきたいというふうに考えております。
○天畠大輔君
代読します。
こちらについても、必ず当事者を参画させ、ウェブアクセシビリティも含めてしっかり検討してください。
一方で、障がい者への配慮は極めて個別性が高く、情報提供項目の中だけで整理することには限界があります。最終的には各医療機関の柔軟な対応が必要となりますので、厚労省からの周知啓発、指導をお願いしたいと思いますが、大臣の考えを簡潔にお聞かせください。
○国務大臣(加藤勝信君)
ご指摘の点は、いわゆる今回障害者差別解消法がいよいよ来年度から、の改正で来年度から合理的な配慮が義務付けられることとなります。これは医療関係者だけではなくて事業者全般でありますが、厚生労働省としては、これまでに、障害者差別解消法に基づき障害者差別解消法医療関係従事者向けガイドラインを策定をし、医療分野において事業者が障がい者に対して不当な差別的取扱いをしないこと、また必要かつ合理的な配慮を行うために必要な考え方をお示しをしております。
具体的には、障がい者の性別、年齢、状態などに十分配慮することが必要であるとし、医療機関における合理的配慮として、障がいの特性に応じて施設のルール、慣行を柔軟に変更するなどの基準、手順の柔軟な変更、施設内の段差にスロープを設置するなどの物理的環境への配慮などの対応を例示しているところでございます。
来年度からの改正法の施行にむけて、現在、障がい者団体のご意見も伺いながら当該ガイドラインの改正作業を進めているところであります。こうしたガイドラインをそうした皆さんのご意見も反映する形で作成するとともに、策定後において、医療機関に対してそうした内容の周知徹底を図っていきたいと考えております。
○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。
○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。
○天畠大輔君
積極的に周知、指導をしてください。
続いて、自見政務官に伺います。
まず、通告なしですが、現場を知る医師として、医療機関で合理的配慮を行うときにどのような課題があるとお考えですか。また、民間の義務化に向けて内閣府としてどう取り組まれますか。
○大臣政務官(自見はなこ君)
お答えいたします。
障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供等の社会全体での取組を進めるためには、事業者によります合理的配慮の提供の義務化等を内容とする改正障害者差別解消法の円滑な施行に向けた取組を推進することがまず重要であると考えております。
改正法の円滑な施行のためには、相談体制の充実や事業者等が適切に対応を判断するための指針、また、参考にできる事例の収集、提供、改正法の周知啓発等が非常に重要であるということから、内閣府では、厚労省を含めまして各省庁に対し、事業分野ごとのきめ細やかな対応ができるよう、先般お示しした基本方針を踏まえた各省庁ごとにおける対応方針の改定や、また事業分野ごとの相談窓口の明確化を今現在働きかけております。
また、内閣府といたしましても、障がい者や事業者、また地方公共団体からの相談に対しまして、これは当然、医療機関を受診しておられる、あるいは受診する障がい者の方も当然含みます、法令の説明や適切な相談窓口につなぐ役割を担う相談窓口の試行事業の実施、また参考となる事例の概要等を分かりやすく整理したデータベースの公表、これは既に四月から始まっておりまして、たとえば患者様で医療機関を受診した方の事例ということももちろん含むということでございます。
そういった改正法の理解、取組をしながら、改正法の理解促進を図るための説明会なども、我々としては、現在開催をし、取組を進めているところでございます。加藤大臣からも、ガイドラインの策定など、今後の進め方についても先ほど言及があったとおりでございまして、内閣府におきましても、しっかりと現場のお声を拝聴いたしまして、今後も、各省庁や地方公共団体と連携協力し、改正法を円滑に施行できますように準備を進めてまいりたいと思います。
○天畠大輔君
確実に進めてください。質疑を終わります。
〈反対討論〉
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。
悪質な法案への反対討論を行います。代読お願いします。
私は、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度構築のための健康保険法改正法案」に反対の立場から討論を行います。
反対理由の第1は、本法案が「全世代対応」ではまったくなく、むしろその真逆の「世代間対立あおり法案」だからです。本法案では、出産育児支援一時金を増額するにあたり、その財源の一部を後期高齢者からも徴収するとしています。これは、少子化対策を利用した高齢者いじめにほかなりません。少子化対策に対する正しい政策は、安定雇用、保育士の大幅な処遇改善など、安心してこどもを育てられる環境整備であるにもかかわらず、政府は少子化を脱却できない自らの責任を、後期高齢者に押し付けようとしているのです。政府は、「後期高齢者医療制度開始の2008年以降、高齢者1人当たり保険料負担が1.2倍になったのに比べ、現役世代の一人当たり支援金は1.7倍になった。両者の負担の伸びが同じになるように見直した」と言いますが、無責任極まりない態度です。特定の世代や階層の負担を単純に比較してその差をならすというのはあまりにも安直です。そればかりか、まったく無意味な世代間対立を増幅しています。
反対理由の第2は、本法案が「持続不可能」法案だからです。麻生太郎当時の財務大臣は、2016年、「90になって老後が心配と言っている人がテレビに出ていたけど、おまえ、いつまで生きているつもりだ」と発言しました。その麻生氏もあと7年で90歳を迎えられます。ご自分はともかく、老後の蓄えがない高齢者は早く死ね、ということなのでしょうか。人は誰しも年を取ります。高齢者を「早く死んだ方が世の中のためだ」と蔑む社会は持続可能でしょうか。優生思想とは、人間を社会にとって価値のある人とそうでない人とに分け、後者を排除する考え方です。政府は、旧優生保護法下で強制不妊手術を行った責任に頬かむりして、敗訴判決を不服として上訴しています。このような誤った政治は直ちに正されるべきです。真の意味で全世代、すべての人々がその尊厳を尊重され、持続可能な社会をつくり上げるためにも、本法案は否決されるべきです。
以上をもって、反対討論を終わります。