2023年11月30日 厚生労働委員会質疑(大麻取締法等改正案 参考人質疑 )「『使用罪』ホントに必要?」
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。
参考人の皆様、ありがとうございます。代読お願いします。
はじめに、丸山参考人と岡﨑参考人のお2人に伺います。
もしお2人が薬物問題に関する政策責任者だとしたら、日本の薬物政策のどの部分をどのように変革なさいますか。たとえば、当事者参画、非犯罪化、回復プログラム、司法制度、支援組織に対する支援策などについてお考えをお聞かせください。丸山参考人からお願いいたします。
○参考人(丸山泰弘君)
ご質問ありがとうございます。
僕がもしも薬物政策を決定するような部署にいたらどうするかという質問かと思うんですけれども、基本的には、まず厚労省が主体となって人が生きることを支援するということですよね。何か厚労省が取締りをするというか、いろんなその罰則を与えるというようなこと自体が少し僕は疑問がありまして、そうではなくて、生きづらさを抱えて薬物使用に至っている人は一定程度いますので、その人に対するサポートは重要であろうと。
先ほど質問の中、さっきの方の中にもドラッグコートがなぜという、取り上げたかというところでいきますと、刑事司法の中に、逸脱行動が表には出ていますけど、その背景にはいろんな事情があるわけですね。たとえば、その薬物を使うということに関しても、虐待があったからやっている、もしくはご両親からずっとアルコール依存の問題が引き継がれているとか、その人その人に個別に問題がありますので、そこの生きづらさを解消することで逸脱行動を減らしていくとか、刑事司法に関わらなくても、薬物の問題を抱えている人はその薬物使用に至っている背景の問題を解決する、こういったことからいろんな問題使用に至るものを減らしていくというのが大事ですので、もし私がその薬物政策を決定するようなところにいるんでしたら、その人がどうやって生きていけるか、その人をどうやってサポートしていくか、薬物、違法な薬物が止まった瞬間に処方箋に依存して運ばれたら意味はないですし、自殺されても意味はないわけです。僕としては、まず生きていただいて、その次に、じゃ、そういう問題使用を減らすかということを考えられるような政策をしていく方がいいんじゃないかというふうに考えています。
○参考人(岡﨑重人君)
ありがとうございます。
そうですね、自分が政策を考える立場であったらばというのでは、やはり、今日ここに呼んでいただいてお話をさせていただけたことを本当に感謝しているとともに、そういった当事者の声だったり、家族の方の声、現場でこれを支援をされている方の声というのが反映されることというのがとても大切だなというふうには感じています。
大麻についても、もちろん医薬品に関して、私もてんかんを持病として持っている知り合いがいて、その人がすごく困っていて、やっぱり大麻を頼りたいというような形で話を聞いたこともありましたし、より良く生きていけるために、治療が必要な人にはその治療が提供されるべきだと思うんで、依存症対策とかそういった部分に関してはもっと議論を、話合いをする、対話をしていくという場を始めていける何か機会として、こういう、今回呼んでもらえてすごくうれしいなというふうに思っています。
以上です。
○天畠大輔君
代読いたします。
同じく、丸山参考人と岡﨑参考人のお2人に日大アメフト部の問題について伺います。
当初、警察への通報を控えた大学当局の対応について、また、この対応を非難する一部世論の反応について、どう思われますか。
丸山参考人から順にお願いいたします。
○参考人(丸山泰弘君)
非常に答えづらい、大学教員としては答えづらいところなんですけれども、ただ、ここはちょっと立場を、その所属は置いておいて、自分の率直な意見を述べさせていただきますけれども、教育機関ができることというのはやっぱりありまして、いかに学生を守って、学生の社会復帰をどう支援していくかということが大事だと考えていますし、そもそも、いろんなハードなスポーツをされる方に大麻というのが結構相性がいいことがよくあります。
アメリカでも、アメフトやNBAもメジャーリーグベースボールも、いろんなところがそのドーピングの検査のところから大麻を外すというような方向に行っていますし、選手団たちがそういうふうな大麻の使用をする権利というのを訴えていっています。皆さんの記憶に新しいところでいくと、たとえば東京オリンピックのときに陸上の選手が、有望な陸上選手が、大麻が関連したことによって、出てきたので、日本でその競技に出れないということがあったんですけど、その後、アメリカのオリンピック協会は、そういった大麻に関するところでそういう規制をしないということの方向を進めていっています。さらに言うと、NCAAという大学のスポーツをサポートする団体がアメリカにはありますけど、ここも、より、大麻を使用していくということは緩やかに緩和していくという方向性を示していますので、明らかにこの日本の厳罰的な対応とは違った方向に進んでいるということです。
ですので、一方的に、もちろん使用してはいけないという前提がある中でやったというところの規範違反に対する何かはあるのかもしれませんが、それで彼らの人生が奪われたりとか、そもそも存続をどうだというような話になっていくものと、明らかに世界の流れとは反対の流れになっているのではないかと考えています。
○参考人(岡﨑重人君)
とてもかわいそうだなというふうには感じます。
大麻に限って言えば、大麻で逮捕されて、罪を受けて、起訴されて、罪や罰を受ける以上に社会的な制裁というか、周囲からの目だったり、家族が周りに対して話をするとかという部分においても、その人の周りにいる人たちにもすごく大きなダメージというのが残るものだろうなというふうには感じております。
以上です。
○委員長(比嘉奈津美君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君
岡﨑参考人に伺います。
依存症者だったときに今以上に厳罰化がもしされていたら、今のように回復されていたと思われますか。
○参考人(岡﨑重人君)
それは、今ここにいないからちょっと分からないというのも現状です、厳罰だったかどうかというのは。厳罰、今から20年前も特に変わらなかったかなというふうに思います、その法的には。ないし、昔よりも依存症ということに対しての情報だったり、そういうものは20年たった今は出ているので、ちょっとそのときがどうだったかというのは私は、あのときがあったから今の自分がいるので。すみません、申し訳ないです。
○天畠大輔君
代読いたします。
再び丸山参考人に伺います。
丸山参考人はご著書の結びの中で、刑事司法における薬物依存治療プログラムの意義に関して、「強靱な市民社会」という表現をされています。この「強靱な市民社会」の具体的イメージについてご教示いただきたいと思います。
○参考人(丸山泰弘君)
ありがとうございます。
著書の結びのところかと思うんですけれども、基本的にはいろんな、犯罪学の考え方として、マジョリティーが望む行動を取らないマイノリティーに対して、それを犯罪という位置付けにして、それの行動を変えることを刑罰と呼んだり矯正と呼んだりするということが社会学で指摘されたりしているということが前提にありまして、とすると、薬物というのは、その国、その文化によって規制したり規制しなかったりというのは、そのときのマジョリティーがどうするかというふうに使われがちなんです。
となると、統制の道具として使われるようになってくると、それが、言うことを聞かない人に対して刑事司法で刑罰として扱うか、もしくは困った病人だから病人として医療で管理するかというような、大体こういうふうな2択になっていくわけです。刑事司法で統制するか、医療で統制するか。
そういうことではなくて、私は、一市民、市民が自分たちの生き方を決定していって、自分がこういうふうに生きたいんだということを自分で決めれる社会こそが大事であろうということを結びに書いたということです。
○委員長(比嘉奈津美君)
時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○天畠大輔君
法案の問題点を再認識できました。ありがとうございました。