2023年12月5日 厚生労働委員会質疑(大麻取締法等改正案 対政府質疑)「厳罰化『ダメ。ゼッタイ。』」

〈質疑〉
○天畠大輔君 
代読します。
れいわ新選組の天畠大輔です。まず、大麻取締法等改正案の立法事実について質問します。

資料1をご覧ください。
おととし5月14日の第6回「大麻等の薬物対策のあり方検討会」の配付資料です。タイトルは「大麻合法化の影響」となっており、米国において大麻を合法化したコロラド、ワシントン、オレゴンの3州を例に挙げたうえで、「交通事故、救急搬送、違法栽培、違法販売が増加している」旨指摘されています。ところが、実は米国で大麻を合法化した全ての州を調べた調査においては、「交通事故は増えていない」という事実が明らかになっているのです。
この事実について、厚労省はどのように受け止めていますか。厚労大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(武見敬三君) 
大麻が合法化されたアメリカの全州で交通事故は増えていないとする報告は確認できてはおりませんが、大麻の合法化と交通事故の関係については様々な研究が存在していると認識をしています。そのうち、嗜好用の大麻を解禁した15州などのうち、コロラド州、それからワシントン州、オレゴン州の3州では、大麻の使用により交通事故や救急搬送、違法栽培、違法販売が増加しているという調査結果が出てきております。

○天畠大輔君 
代読します。
厚労省は、自分にとって都合の良い州だけつまみ食いしたデータでミスリードしています。使用罪創設ありきで議論の方向をゆがめ、さらに開き直っている態度は看過できません。

次に、資料2をご覧ください。
本法案で新たに創設される大麻使用罪は「7年以下の懲役」、単純所持罪も「5年以下の懲役」から「7年以下の懲役」へと一気に厳罰化が進められています。刑法上、「7年以下の懲役」が科せられる行為は、次のような行為です。「首謀者以外の騒乱罪」「非現住建造物等放火」「特別公務員暴行陵虐」「収賄」「自殺関与及び同意殺人」「不同意堕胎」「逮捕及び監禁」「人身売買」などです。
このような犯罪行為と比べ、今般の大麻使用罪創設や厳罰化はあまりにバランスを欠いていませんか。厚労大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(武見敬三君) 
今回の改正法案では、大麻と大麻草由来のTHCという有害成分について麻薬として規制をし、法定刑の上限を7年とする現行の麻薬施用罪を適用するものでございます。これは、麻薬や大麻草由来のTHCは国際的にも麻薬の1つとされていることや、化学合成されたTHCが既に麻薬として規制されていることを踏まえています。

今回の改正法案で、大麻の単純所持罪の法定刑の上限を5年から7年に引き上げることとしています。これは、近年は乱用目的で栽培される大麻に含有されるTHCの濃度が高まっていることを踏まえたものであり、化学合成されたTHCを含む麻薬の所持罪や施用罪の法定上の上限をそろえることには整合性があると考えます。なお、麻薬の施用罪や所持罪とご指摘の他の罪は各法律の保護法益が異なるため、法定刑の上限のみを比較して刑の均衡を論ずることは適当ではないと考えます。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
薬物使用は、直接傷つく被害者はいません。大臣、それでもバランスを欠いていないとお考えですか。

○国務大臣(武見敬三君) 
先ほども申し上げたとおりの考え方で、私どもとしてはバランスが取れていると考えております。

○天畠大輔君 
代読します。
次に、資料3をご覧ください。
厚労省は、「令和2年犯罪白書」を引用したうえで、覚醒剤受刑者に対して「初めに乱用した薬物は何だったか」という質問に対して複数回答を求めたところ、30歳未満の回答の1位が大麻だったことをもってゲートウェイドラッグと結論付けました。

しかし、この結論は明らかに間違っています。大麻がかろうじて1位なのは30歳未満の範疇だけです。また、この30歳未満の母数は54であり、全体母数640の8.4%にすぎません。全体で見れば、シンナー、覚醒剤が圧倒的に多いのです。そもそも、どの薬物同士が並行して初乱用されているのか、何種類なのかについても全く言及がないため、「ゲートウェイドラッグ究明」の資料になっていません。ここでもまた厚労省の「はじめに結論ありき」という姿勢が表れていると考えますが、厚労大臣の見解をお聞かせください。

○国務大臣(武見敬三君) 
令和2年の犯罪白書で示されました法務総合研究所の調査では、覚醒剤を使用した者のうち、初めて使用した薬物が大麻である者の割合が、特に大麻の乱用拡大が著しく進む若年層に近い層になるにつれて増加をしております。また、2016年度国立精神・神経医療研究センターの調査では、危険ドラッグから他の薬物に切り替えた依存症患者の3割以上が最初に使用した薬物を大麻と答えております。さらに、大麻をゲートウェイドラッグと示唆する海外の調査もございます。したがって、大麻がゲートウェイドラッグであることを支持する調査が一定数存在をしておりますので、大麻がゲートウェイドラッグの1つであるというふうに私どもは認識をしております。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
覚醒剤の検挙者数は増えるどころか減っています。大臣、大麻がゲートウェイドラッグというのは間違っていませんか。

○国務大臣(武見敬三君) 
令和2年の犯罪白書で示された法務総合研究所の調査の内容、これ調査対象者は覚醒者、受刑者699名でありますけれども、この中で、全世代、この699名では、確かにシンナーなどのものが、有機溶剤46.6%ございます。しかし、30歳未満の受刑者、54名でありますけれども、最初に乱用した薬物については大麻42.6%と、こういうふうに回答しております。したがって、全世代でも乱用した薬物について大麻が一定程度を占めているというふうに考えます。母数は少ないものの若者は大麻が最多でございますので、若者にとってのゲートウェイドラッグになっているものということは明白であって、これ、最初に結論ありきという考え方ではございません。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
納得できません。代読お願いします。

次に、資料4をご覧ください。
世界的医学雑誌「ランセット」は、2010年11月号において、薬物の有害性スコアを最大100で比較した場合、最も有害性が高いのがアルコールでスコア72なのに対し、大麻はスコア20でした。ところが、現行法体系でアルコールはもちろん合法であり、24時間入手できます。さらに、コマーシャルを含め酒類は巨大マーケットを形成し、酒税徴収の源泉となっています。「アルコールこそが最大のゲートウェイ」という専門家もいます。
このような知見に対して、厚労省は、大臣はどのように受け止めていますか。

○国務大臣(武見敬三君) 
ご指摘の分析結果がランセット誌に掲載されていることは承知しております。
アルコールこそが最大のゲートウェイという指摘については、そのような認識はしていないが、不適切な飲酒はアルコール健康障害などにつながるため、厚生労働省では、アルコール健康障害対策基本法に基づく基本計画により、関係省庁と連携して、アルコール健康障害の発生予防など、様々な取組を実際に実施をしております。また、酒類の業界においても、当該基本計画に基づき、不適切な飲酒の誘引防止の観点から、アルコール飲料の広告表示等における自主的な取組が進められております。
このような取組の推進、引き続き努めてまいりたいと思います。

○天畠大輔君 
代読します。
たとえば、アルコールや大麻に寛大な国というイメージがある米国では、実際には、公共の場における飲酒や大麻、たばこの喫煙は日本以上に厳しく規制されています。また、アルコール飲料のCMがテレビで頻繁に放映されるなどということもありません。合法化、非犯罪化するというのは、「野放しにする」ということでは全くないのです。そもそも、この法案の検討には多様な意見が反映されていません。2021年の「大麻等の薬物対策のあり方検討会」で使用罪に反対した人たちを、2022年に設置された「大麻規制検討小委員会」では委員から排除しました。

通告なしになりますが、大臣に伺います。
大臣は、この法案が多様な意見を取り入れてまとめられたものとお考えでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 
極めて多様な意見を取り入れ、かつまた麻薬と同類に扱うという、そういう罰則規定というものを設けつつも、実際にこの運用にあたっては、こうした薬物依存症の患者などに対するしっかりとした配慮をまた同時に行い、そして健康を回復するために対する支援の体制をしっかりと充実させていくというバランスの取れた考え方で、我々はこの法の改正を進めようとしているところでございます。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
当事者参画とは言えませんね。代読お願いします。

反対をした人たちは、薬物使用者の元当事者や依存症治療に携わる当事者です。その人たちが委員として主体的に発言する機会を奪い、大麻使用の厳罰化を進めた事実を、私は障がい当事者の1人として重く受け止めます。この法案が多様な意見を排除して作られたものであることに強く抗議し、次の質問に移ります。

武見大臣は、11月10日の衆議院厚生労働委員会において、4点答弁しています。
(1)刑法等に基づいて、医師等には守秘義務があること
(2)公務員として告発義務が課せられるような場合でも、職務上正当な理由があれば、告発するか否かの裁量を否定するものではないこと
(3)この取扱いは、本改正法案が成立、施行されたものでも変わるものではないこと、
(4)「治療したい」という思いで来られた患者については、捜査当局の方に通知する必要性があるかといえば、むしろ医師の守秘義務の方を重視するケースになることです。
以上の4点は、薬物使用により支援を必要とする人がSOSを出しやすい社会にするためにとても重要な情報です。厚労大臣として、大臣告示、省令などで周知徹底すべきと考えますが、大臣の見解をお答えください。

○国務大臣(武見敬三君) 
私が衆議院の厚生労働委員会で指摘した点整理していただいて、感謝を申し上げます。
実際に、薬物依存症の患者に関わるこの医師の守秘義務というものについては、これをしっかりと尊重する必要性があると、そしてまた、公務員であったとしても、医師の守秘義務というものについて、これを尊重をし、そして、それによって、薬物依存症の患者について実際にその法の運用がケース・バイ・ケースで適切に運用されることの必要性を私は指摘をいたしました。その考え方に基づいて、実際に今回の改正法についてのご賛同を得るべくお願いを申し上げているところであります。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
先ほど質問した周知についてお答えください。

○国務大臣(武見敬三君) 
失礼しました。この周知の方法をも含めて今後検討いたします。

○天畠大輔君 
代読します。
周知について是非検討をお願いします。

SOSを出しやすい社会をつくるうえで、大麻使用によるスティグマの問題も見過ごせません。ひとたび大麻など薬物関係で検挙されるや否や、被検挙者は想像を絶するバッシングにさらされます。いわゆるデジタルタトゥーなども起き、発生から長い歳月が経過しているにもかかわらず、アパートや駐車場の賃貸すら拒否されるという事例も報告されています。薬物取締りをめぐってこのような事態が起きていることについて、厚労省はどのように受け止めていますか。

○国務大臣(武見敬三君) 
検挙の際に実名公表が行われ、そして実名が報道されると、検挙された薬物依存者はいわゆるデジタルタトゥーとして長期間にわたり偏見に苦しむことになるとの指摘があることは十分に承知をしております。一方で、国民の知る権利の保障に努める報道機関の役割や報道機関の記事の信頼性の確保のためにも実名公表を行う必要があるという指摘もございます。こういった各方面からの意見も踏まえつつ、議員からいただいたご懸念は捜査機関とも共有をして、そして薬物事件の広報においてはどのような対応が可能かをも含めて慎重かつ適切に検討していきたいと思います。

○天畠大輔君 
代読します。
私は、まずはキャンペーンの方法から改めるべきだと考えます。

資料5をご覧ください。
厚労省と警察庁の共同所管でスタートした、現在の公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターが1987年以来継続しているキャンペーン、「ダメ。ゼッタイ。」です。薬物依存に陥ってしまった人々の尊厳を傷つけ、差別を助長するものです。欧米では、まさしく絶対に採用されない標語です。

また、資料6をご覧ください。
こちらは、各自治体が薬物乱用防止キャンペーンの一環で一般公募されたポスターです。「戻りたくても戻れない」「薬物乱用 後悔しても遅い。」「一度だけで人生が狂う」などの言葉とともに、より直接的に薬物依存症当事者を非人間的に扱うイラストが並べられています。

高木真理委員の午前中の質問に対して大臣は、「どのような標語であっても偏見の助長や治療の阻害があってはならない」と答弁されましたが、この「ダメ。ゼッタイ。」はまさしく偏見を助長し、治療を阻害していると考えます。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 
「ダメ。ゼッタイ。」という言葉自体が1つの大きな一次抑止効果を持っていると私には思えます。そのうえで、議員ご指摘のような事態が生じないように、薬物犯罪を犯した者に対して、報道などにより過度なバッシングとならないよう慎重に対応することは重要だろうというふうに考えます。そのうえで、薬物犯罪を犯した者が逮捕されたか否かにかかわらず、その者に対し断薬や社会資源への橋渡しなど必要な支援を行うことが重要です。このため、具体的には、保護観察の付かない執行猶予判決を受けた者も支援が受けられるよう、麻薬取締部における断薬プログラムの提供や社会資源への橋渡し等の支援を拡充することとしております。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
いやいや、大臣、入口から変えないと駄目ですよ。そう思いませんか。

○国務大臣(武見敬三君) 
これは、1つの方向からだけの議論ではなくて、一次予防としてのこうした罪を含めた抑止力というもの、抑止効果というものと、それから薬物依存症の人たちを救済するための支援策というものと組み合わせながら、社会の中で解決していくべき問題だと私には思います。

しかし、その中で、やはり今まで他の国と比べて我が国ではこういった麻薬等に関わる依存症患者の数は極端に少なくて済んできているという実態を踏まえて、この状態を維持していくためには、引き続き、一次予防としての抑止的な法的な枠組みがやはり我が国には必要だという考え方をまず基本にして組み立てていることはご理解をいただきたいと思います。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
刑事罰の上に立った回復支援は意味がないと思います。大臣、いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 
私は、両者のこうした刑事罰という形での一次予防の抑止と同様に、こうした薬物依存症の方々に対する支援、救済策というのが組み合わさって最も効果的にこの薬物依存症の問題を解決できるものと考えます。

○天畠大輔君 
引き続き、追及します。質疑を終わります。


〈大麻取締法等改正法案に対するれいわ新選組修正案趣旨説明・討論〉
○天畠大輔君 
代読いたします。
私は、ただいま議題となっております大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案に対し、れいわ新選組を代表して、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。これより、その趣旨についてご説明申し上げます。

本法律案では、大麻から製造された医薬品の施用等を禁止する規定を削除することにより、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とすることとしております。医療上の有用性が認められ、難治性てんかん等への効果が期待される医薬品もあることから、これについては支持いたします。

一方、本法律案では、これまで刑罰のなかった大麻等の不正な施用について、新たに施用罪を創設し、単純施用には最長で懲役7年という重い刑罰を科すこととしております。ある行為を犯罪行為とするとき、特に厳罰化する場合には慎重でなければならず、丁寧な議論を行わなければなりません。

本法律案の提出にあたり、厚生労働省は、令和3年の大麻等の薬物対策のあり方検討会、令和4年の大麻規制検討小委員会と2つの会議体で議論を行いましたが、この議論の中で、施用罪について、大麻等の薬物対策のあり方検討会では3名の構成員が反対の意見を表明し、その旨が報告書にも記載されています。しかし、続く大麻規制検討小委員会の構成員には、大麻等の薬物対策のあり方検討会で反対の意見を表明した構成員が1人も選ばれませんでした。そのような状況で議論が行われた大麻規制検討小委員会の報告書に反対意見は見られず、全員が施用罪の創設に賛成の立場を取りました。賛成、反対双方の意見を踏まえた丁寧な議論は行われず、施用罪の創設ありきで議論を行ったとの疑いが持たれます。

また、日本では、「ダメ。ゼッタイ。」の標語とともに、大麻の有害性が強く印象付けられています。しかし、実際には、大麻の有害性について、アルコールやたばこよりも低いことを示す論文も発表されています。さらに、大麻は、より効果の強い薬物の使用に移行していくおそれが高いゲートウェイドラッグであると指摘されています。そうであるならば、大麻事犯の検挙人員の増加に伴って他の薬物事犯の検挙人員も増加が見られるはずですが、実際には、覚醒剤事犯の検挙人員はここ10年で約半減しており、令和4年の薬物事犯全体の検挙人員も前年から減少しています。仮にも厳罰化を推進するのであれば、それに足る立法事実が必要です。しかし、十分な事実のないまま、恣意的な進め方により厳罰化を行おうとすることは認められません。このような観点から、本修正案を提出いたしました。

修正の要旨は、第1に、麻薬及び向精神薬取締法の麻薬の施用罪及びその前提となる禁止規定の対象から、大麻等を除くこととすること。第2に、大麻等の不正な所持、譲渡し、譲受け、輸入等に係る罰則について現行の大麻取締法の法定刑を維持すること、その他の罰則規定の整備を行うことであります。
何とぞ委員各位のご賛同をお願い申し上げます。

○委員長(比嘉奈津美君) 
これより原案及び修正案について討論に入ります。ご意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○倉林明子君 
日本共産党の倉林明子です。
会派を代表して、大麻取締法等改正案に反対、れいわ新選組提出の修正案に賛成の立場で討論を行います。

本法案は、大麻由来薬品の施用を可能とするための規定の整備と大麻施用罪の新設と重罰化という、趣旨、目的が異なる改正を抱き合わせた法案となっています。医療用ニーズへの対応は薬の認可を待っている患者の皆さんの強い要望があり、必要な法整備を進めることには賛成するものです。

しかし、本法案のもう1つの柱は、大麻施用罪を新設し、単純所持などの懲役上限も5年から7年に引き上げるなど、重罰化するものです。これは、当事者、家族へのスティグマ、偏見、差別を広め、社会的孤立を一層強め、必要なケアから遠ざけることになりかねません。大麻規制については、国際的には少量所持、使用は非犯罪化、非刑罰化することが1つの流れになっています。それは、問題使用により苦しむ人を減らすことができるのは、刑事罰ではなく教育、福祉、社会保障であることが科学的根拠、実践をもって明らかになっているからです。

大麻使用等の重罰化については、多くの法律関係者、支援、当事者団体等から懸念、批判の声が上がっています。刑法学研究者の声明は、法制審議会への諮問もなく、法務省内での本格的な検討がないことを批判し、法務委員会での慎重審議をすべきと指摘しております。こうした意見を真摯に受け止めるべきです。参考人質疑でも、薬物が生活に支障を来しているのではなく、刑事司法の介入がその人の生活を奪っているとの指摘がありました。この法案により、取締りが強化され、社会的排除に拍車が掛かることはあってはなりません。国連人権高等弁務官事務所の声明にあるように、処罰を支援に置き換え、人権を尊重、保護する政策を推進する、このことを強く求め、討論といたします。

○天畠大輔君 
れいわ新選組の天畠大輔です。
大麻取締法等改正法案に断固反対、修正案に賛成の立場から討論します。代読お願いします。

大麻取締法等改正法案反対理由の第1は、そもそも「使用罪創設」や「厳罰化」の立法事実が存在しないからです。政府は、若年層を中心に大麻事犯が近年増加傾向にあり、なおかつ大麻が他の薬物への入口、すなわちゲートウェイドラッグになっている旨主張しますが、覚醒剤の検挙件数が年々減少していることからもその根拠は全くありません。

反対理由の第2は、こうした処罰強化が世界の薬物対策とは真逆なものだからです。世界の潮流は非犯罪化、非刑罰化です。薬物問題への対応として、刑罰による対応では効果が出ないということが科学的に明らかになっています。その際、キーワードとなるのがハームリダクションという考え方です。「合法、違法にかかわらず、その薬物の使用を中止することが本人にとって不可能である場合、たとえ使用量の減少に結び付かないとしても薬物使用によって生じる健康的、社会的悪影響を減らすための政策」を指します。日本の薬物対策に決定的に欠如している思想です。

反対理由の第3は、本法案が大麻成分の医薬品への利活用という評価すべき改正と使用罪創設、厳罰化という大改悪との抱き合わせ法案になっているという点です。この2つのテーマは全くの別物であり、1つの法案に束ねるのは間違いです。毒薬と特効薬とを調合して、「これが今一番効くクスリだ」と喧伝するようなものです。

反対理由の第4は、このような態度に象徴される独断専行とも言えるやり方です。厚労省は、あり方検において、「使用罪創設」に反対した3人の委員を完全に排除して小委員会を編成して本法案を完成させました。初めから「使用罪創設」ありき、「厳罰化」ありきで法案を作り上げたのです。

次に、修正案に対する賛成理由を述べます。
修正案においては、閣法における2つの大改悪、「使用罪創設」と「厳罰化」を撤回する修正を行いました。他方、大麻成分の医薬品への利活用については維持いたしました。大麻由来医薬品を切望する患者さんたちの願いを人質にして、薬物使用者というレッテルを貼られ、社会的孤立に追い込まれる人々をこれ以上増やしてはなりません。修正案がその歯止めの第一歩となることを確信いたします。

最後に、薬物をめぐる様々な困難を抱え、苦しんでいる方々に心から申し上げます。
人間をやめる必要など全くありません。何人も「人間をやめろ」などと言う権利はありません。この法案の成否にかかわらず、支援の手を差し伸べる人間は必ずいます。れいわ新選組もまたその一員であり続けることを強く訴え、討論を終わります。

〈配付資料〉


〈 大麻取締法等改正案に対するれいわ新選組修正案趣旨説明についての参考資料〉
参議院法制局ホームページ 第212国会 参法・修正案一覧
「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案」(提出者:天畠大輔)
修正案
要綱