2022年8月25日 厚生労働委員会(閉会中審査)質疑「在宅でのコロナ陽性。障がい者のヘルパー派遣が止められないために」

○天畠大輔君
れいわ新選組会派の天畠大輔です。秘書が代読いたします。

代読いたします。
厚生労働委員会の皆様には、私の質疑について様々な合理的配慮をしていただき、ありがとうございます。今お見せした私のコミュニケーション方法だけでは多大な時間がかかるため、本日は秘書による代読も組み合わせて質疑いたします。ただ、質疑時間の延長についてはまだ結論が出ておりませんので、引き続き議論させていただけたら幸いです。これから国民の皆さまのために全力で頑張ってまいります。
さて、コロナ禍の今、重度障がい者にとって生きる基盤である介助サービスが脅かされていることをご存じでしょうか。新型コロナウイルス感染が広がり、既に2年半がたちました。しかし、私をはじめ、重度身体障がい者が陽性者や濃厚接触者になったときに安心して療養できる体制ができているとは言えません。本日は、自宅療養、自宅待機に絞って質問いたします。
まず、私の身に起きたことをお話しします。
つい先日、8月初旬、私の介助者の1人が感染し、私は濃厚接触者となりました。幸い感染はしませんでしたが、綱渡りのシフト調整に追われました。私は、頻繁に顎が外れ呼吸困難になるため、介助者がいなければ1分たりとも生きていけません。とても不安でしたし、今も不安です。
同じように困難に直面している当事者が、全国各地におります。そのひとつ、この7月に東京都内で起こった事例を紹介します。
在宅生活を送る重度身体障がいの当事者が、コロナ陽性になりました。この方は、食事やトイレ、入浴、外出など、日常生活全般にヘルパーを入れています。派遣事業所からは、「介助者にうつさないために陽性者のところには派遣できない。入院して」と、ヘルパーを止められてしまいます。しかし、病院の看護師は本人の身体状況をよく知りません。余計に障がいが悪化したりする懸念がありました。結局、たった1人のヘルパーが毎日介助に入ることで何とか自宅療養期間を終えたといいます。個人的善意にしか頼れなかったということです。
厚労省に伺います。
このようなヘルパー派遣停止の問題について厚労省は把握されていますか。在宅生活を送る障がい者が自宅療養や自宅待機になったとき、自治体や事業所の役割をどう考えていますか。そして、これまでどのような指導や支援を行ってきたか、明確にお答えください。

○政府参考人(辺見聡君) 
お答え申し上げます。
厚生労働省として詳しい実態調査を行っているわけではございませんが、関係団体等から利用者の感染によって訪問系サービスの利用が困難になった事例があるというお話はお伺いしているところでございます。
このため、厚生労働省といたしましては、令和2年3月及び令和3年2月に都道府県等に対しまして事務連絡を発出し、障がい福祉サービスは利用者の方々やその家族の生活を継続する上で重要なものであり、特に訪問系サービスは、利用者に発熱等の症状がある場合であっても、必要なサービスが継続的に提供されることが求められることから、支援に遺漏なきよう事業者への周知をお願いしているところでございます。
また、障がい福祉サービス等の事業者等における感染対応を支援するため、感染者等が発生した事業者、事業所等におきます消毒や清掃に係る費用ですとか、また感染防止のために追加的な業務が必要となった場合のその対償としての割増し賃金、また人材確保のための費用など、サービス提供の継続に必要な費用、さらに緊急時の応援に係るコーディネート機能の確保等に必要な経費を補助しますサービス継続支援事業を実施しているところでございます。
また、事業所におきます感染症発生に備えた業務継続計画を作成するためのガイドラインを厚生労働省として作成をいたしまして、これを現場で役立てていただくためにホームページで公表をいたしているところでございます。
 このような支援を行ってきているところでございますが、引き続き自治体や事業者において必要なサービスが提供されますよう、継続的に提供されますよう努めてまいる所存でございます。

○天畠大輔君 
分かりました。ただ、それだけでは解決にはなりません。代読お願いします。

代読いたします。
先ほどの事例の当事者は、市役所の障害福祉課にも相談したそうですが、対応が難しいと断られてしまったと聞いています。ほかにも様々な事例を聞いていますが、事務連絡や補助金を出しても、今もヘルパー派遣を断られ、命の危機にさらされている障がい者の人たちがいます。
国として共生社会の実現を掲げるのであれば、コロナ禍という緊急事態にこそ、「誰一人取り残さない」のが行政の責務ではないでしょうか。つまり、行政が最後のセーフティーネットとなり、ヘルパー派遣の調整機能を果たすことが重要です。
資料1をご覧ください。
例えば、滋賀県では令和2年5月に「新型コロナウイルス感染症にかかる在宅生活困難障害者等支援事業」を始めました。障がい者がコロナ陽性や濃厚接触者になり、ヘルパー派遣を断られるなどの緊急時に、県と各地域の自立支援協議会が支援者などを確保しています。
また、資料2をご覧ください。
東京都では新宿区が令和3年12月から同様の目的で事業を始めました。自宅療養、自宅待機中の在宅障がい者へのヘルパー派遣などを行っています。
こうした自治体の取組に対して、国は財政的支援を行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 
厚生労働省においては、訪問系サービスも含めた事業所のサービス継続に係る留意事項を周知するとともに、これは令和二年より、障がい福祉事業所等に対するサービス継続支援事業を実施をしているところであります。都道府県を通じ、障がい福祉サービス事業所等に対して必要な経費の補助を行っているところであります。
また、今、滋賀県、新宿区のお話がありましたが、内閣府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これを活用して地域の実情に応じた在宅における障がい者の支援の取組も行われていると聞いております。都道府県、市町村においては、厚生労働省の先ほど申し上げた事業のほか、必要に応じ内閣府の交付金も活用いただき、地域の状況に応じた支援、これに努めていただきたいと考えております。


○天畠大輔君 
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を厚労省と内閣府が一丸となって自治体に周知徹底していくべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。


○国務大臣(加藤勝信君)
先ほどからもお話しいただいておりますように、訪問系サービスについても、現に利用している事業所の人員の感染等によって対応できなくなる、その結果としてサービスの提供が困難になる、そういった場合においても利用者にとっては必要なサービスが継続されることが大変大事だということ、このことをしっかり認識をしていきたいと思っております。
このため、事業所自身の努力、事業所間の連携、調整に加えて、市町村や都道府県も事業所による継続的なサービス提供を支援をしていただくことが必要であります。また、こうした支援を行うために、先ほど申し上げましたが、厚生労働省のサービス継続支援事業、また内閣府の交付金、これも活用いただいて、地域の実情に応じた取組を進めていただきたいと思っております。
厚労省としても、これらの事業等の活用も含めて、先ほどの先進的な事例等も含めまして、必要な周知、これにしっかりと努めさせていただきたいと思います。

○天畠大輔君
ぜひ進めてください。
しかし、私のように個別ニーズの高い障がい者は緊急時に派遣されたヘルパーでは対応できない場合もあります。私たちにとって最も必要なのはヘルパー不足解消です。処遇改善だけでは難しいと思います。
地域にヘルパーが十分いる社会を実現していきたいと決意を述べて、質問を終わります。

滋賀県の事例
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