第3回核兵器禁止条約締約国会議などに参加(2025年3月3日~4日)

今年3月、れいわ新選組 を代表し、ニューヨークの国連本部で行われた 核兵器禁止条約の第3回締約国会議の傍聴や関連行事への出席をしてきました。出張の日程は以下のとおりでした。

国会議員会議

核兵器禁止条約を批准していない国の国会議員らで開く「国会議員会議」では、以下の通り発言しました。

私は自分の口で話すことができないため、特殊なコミュニケーション方法を使います。ご覧の通り、介助者が私の腕をとり、50の音から成り立つ日本語のアルファベットを読み上げ、私は伝えたい文字のところで介助者の手を引くことで、文字を確定し、文章を作ります。介助者は何文字か読み取ると、単語や文章の語尾を予測し、私にその予測が合っているか確認しながら、言葉を補います。

重度障害者の国会議員として日本から来ました天畠大輔です。

私は、日本で最もプログレッシブな政党であるれいわ新選組を代表し、そして、ひとたび戦争が起きれば真っ先に犠牲となる障害者を代表し、この第3回締約国会議に参加しました。

私の両親は広島県出身で、父方の祖母は被爆者です。祖母は被爆の影響により、ガンで早くに亡くなりました。被爆体験を詳しく聞けなかったことが悔やまれますが、障害者の国会議員としてだけではなく、被爆3世の立場からも核兵器廃絶に向けて取り組む所存です。

さて、少し自己紹介をさせてください。私は14歳のとき、病院での医療ミスによって、四肢麻痺、嚥下障害、視覚障害、発話障害を負いました。現在は24時間公的な介護サービスを受けて、介助者と暮らしています。そして2022年7月から参議院議員として、障害者の立場から社会保障の充実を訴えています。

ヒロシマ・ナガサキがそうであったように、核兵器と戦争は切り離せません。そして、ひとたび戦争が起きれば、障害者や高齢者をはじめ、誰もが安心して生きられるための福祉の予算は真っ先に削られるでしょう。私のような介助者のサポートによって生活が成り立っている重度障がい者は、命の危機に陥ります。

日本政府はGDP比2%を目指して防衛費を増額し続けています。しかし、国民の危機感を煽って軍拡へ向かうのではなく、戦争によって弱い立場に置かれるであろう人に目を向けるべきです。今、世界一の長寿国である日本は超高齢社会でもあります。医療や介護、年金などの社会保障費こそ充実させるべきです。


れいわ新選組は、核兵器を廃絶し、戦争のない世界の実現を目指す立場から、第1回目のウィーン会議から継続して参加してきました。核兵器禁止条約が発効されて4年、条約成立にご尽力されてきた皆さまに心から敬意を申し上げるとともに、被爆80年の節目に「核なき世界」に向けて一緒に力を合わせられることに心より感謝を申し上げます。

昨年の被団協のノーベル平和賞受賞は、被爆者の長年の闘いによって、被爆の実相と核兵器の非人道性が世界に発信された歴史的な機会となりました。日本は唯一の戦争被爆国として、この流れを加速させ、各国の指導者にむけて「核抑止力に依存しない安全保障政策への転換」を促していく責任があると考えます。

れいわ新選組は、被爆80年にあたり、何度も、国会質疑のなかで日本政府のオブザーバー参加を求めてきましたが、今回も政府は参加を見送りました。失望の念を禁じえません。

日本で長らく政権を担ってきた自由民主党以外、すべての政党が日本のオブザーバー参加には賛成しており、国民の6割以上が核兵器禁止条約に参加すべきと回答しています。今、日本の民主主義が問われています。

石破総理はトランプ大統領との首脳会談で「核の傘の強化」を約束してきました。しかし、安全保障のジレンマに陥り、東アジアはかえって核戦争リスクが高まることを強く懸念しています。

今こそ、核兵器禁止条約締約国の政治宣言にもある「核抑止論から脱却し、核に依存しない安全保障政策の議論を始める」ときです。被爆80年、唯一の戦争被爆国としての役割は、「核の非人道性」の認識を現実の安全保障政策に反映させることです。

そのためにはまず、われわれ日本を含む北東アジア非核地帯の構築を急がねばなりません。「核の傘」から「非核の傘」へ、中期的に北東アジアの非核化を実現するという共通の目標を持った協議体の設置が急務です。

私は障害者として、健常者とともに生きていくために、「対話」を通してお互いの理解を深め、共通点を見出し、共に生きやすい関係を築いてきました。安全保障も「対話」がキーワードです。日本政府には条約への早期批准を求めるとともに、東アジアの核リスクを回避するための「対話」をリードしていくよう、引き続き国会と政府に呼びかけてまいります。

核兵器のない世界は、誰もが生きやすい社会につながります。ありがとうございました。

サイドイベント「朝鮮半島と北東アジアの核危機を克服するための行動」

サイドイベントとして市民団体が開いた「朝鮮半島と北東アジアの核危機を克服するための行動」には、韓国、モンゴル、日本の市民や国会議員らが参加しました。

れいわ新選組は 日本を含む北東アジア非核地帯の構築を政策に掲げています。核兵器の製造、実験、取得、保有などをしないと約束する非核地帯宣言した国や地域には国連決議にもとづき 核保有国が核攻撃しない 威嚇しない保障が与えられます。


サイドイベント内で、一国非核地帯であるモンゴルの元国連大使エン・サイハン氏は「核兵器保有国との交渉には約30年かかった 簡単ではないが たとえ小国でも 正当性と戦略的な努力によって 他国と信頼関係を築き影響を与えられると証明した 私たちには経験があり それを共有する準備ができている」と発言。

韓国の市民団体「平和と統一を開く人々」のコ・ヨンデ氏は「朝鮮半島の平和協定は 北東アジア非核地帯の確立 そして世界的な核武装化への呼び水となる」と発言。日本被団協の濱住氏は 1984年の原爆被害者の基本要求で アジア太平洋非核地帯実現への努力を求めていることを紹介しました。東アジア諸国での非核地帯化の気運の高まりを感じました。天畠も日本の国会議員として発言し、「対話」の呼びかけに会場は大きな拍手に包まれました。

サイドイベント「朝鮮半島と北東アジアの核危機を克服するための行動」

日本被団協の濱住さんと

中満泉国連事務次長と面談

核廃絶を進める国際NGO・ICANのメリッサ・パーク事務局長と