【2024年通常国会ハイライト①】ハンセン病問題、医療的ケア児者支援など、超党派での政策議論に積極的に参加しました
国会内には、党派を超えた議員が集まり、ヒアリングや視察、議論を行っている組織が多数あります。今国会で天畠は新たに、「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」などに入会し、障がい当事者の立場から積極的に発言しました。
ハンセン病療養所「定員削減」に反対
ハンセン病は戦後、プロミンという薬が開発され治療可能となり、また今の日本は栄養状態や衛生環境が良好であることに加え、感染源となる患者がいないためほぼ発症しない病気となりましたが、日本は患者の強制隔離を定めた「らい予防法」を1996年まで廃止せず、元患者や家族らへの激しい差別が続きました。らい予防法廃止後は、国立ハンセン病療養所(全国に13園)の入所者ら元患者、国賠訴訟の原告団、弁護団らと連携し、議員立法により解決に向けたいくつもの法整備、政策の策定が進んできています。
今国会では「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律」(ハンセン病家族補償法)の改正がありました。この法律は、患者だけでなくその家族も、患者の強制隔離に伴う家族離散、家族関係形成の阻害など、筆舌に尽くしがたい差別や人権侵害を受けてきたことを踏まえ、2019年に成立した法律です。補償金の請求期限を5年と定めていましたが、想定と比べて申請数が少ないため、より徹底した広報や申請しやすい環境づくりを前提に、請求期限を5年延長しました。
この改正に先立ち、天畠は「ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会」に入会。家族補償法請求期限延長の法改正に賛成しました。一方で政府は、「定員合理化計画」(=定員削減計画)を閣議決定し、各省庁はそれにしたがって定員を削減していきます。ハンセン病療養所も国立のため、現状ではこの削減計画の対象になっています。療養所入所者の方々は、国の強制隔離政策によって長期間にわたって社会から隔絶された生活を送ってきて、家族や地域との関係が断絶し療養所を終の棲家とすることを余儀なくされている方々です。安心して尊厳ある生活ができるよう、定員削減の対象外にすべきだと、6月11日の参議院厚生労働委員会質疑、議懇内に設けられたプロジェクトチーム(PT)で意見を述べました。
6月11日の参議院厚生労働委員会の質疑でも触れましたが、療養所では室内清掃が週2回、入浴回数が週3回のところもある。夜間勤務が組めないために、新たな入居棟の建設と全員の転居がすでに進んでいる。視覚障がいのある人は夜間トイレに行きたいときは職員を呼ぶが、いなければおむつで辛抱する。やむを得ない異性介助がある。など、私は十分な人員配置とは言い難いと思い、療養所は定員合理化計画の対象外にすべきと考えております。議懇の意思として厚労省と内閣人事局に働きかけるのはいかがでしょうか。
6月13日議懇PT内での発言
また医師確保については、厚労省の取り組みは承知しております。ただ13の療養所のうち3園で副園長が不在と聞いています。所長・副所長などの管理職の医師待遇を、重点的に改善する取組みが重要ではないでしょうか。
定員合理化問題について、議懇PTでは厚労省に「もう一押し」を要求し、今後議連としての活動は座長(橋本岳衆議院議員)に一任となりました。今後の経緯を注視していきます。
ハンセン病療養所の今後も視野に
議懇PTの議論や国会質疑に先立ち、5月11日には国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)と、国立ハンセン病療養所多摩全生園を訪れました。また2回にわたり、全国ハンセン病療養所入所者協議会の屋猛司会長や弁護団の方々から、オンラインでヒアリングをしました。
全生園内の食堂では、「全生園の明日をともに考える市民の会」代表の藤崎美智子さんに偶然お会いできました。食堂は近隣の障がい当事者たちの集まる場にもなっている、地域に開かれた場だと分かりました。全国の療養所入所者の平均年齢は88歳と高齢化しています。療養所をどのような場としていくか「将来構想」も必要ですが、根拠となる法令はなく、今後の課題です。
6月20日には、らい予防法による被害者名誉回復及び追悼の日式典に参列しました。ハンセン病問題について今後も関係者の方々とともに、障がい当事者の立場から尽力していきます。
▼6月20日の式典を報じる記事はこちら
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1087349.html
介助付き就労実現へ、議員間議論に期待
5月8日、超党派医療的ケア児者支援議員連盟に入会し、設立総会に参加しました。常時医療的ケアを必要とする子ども「医療的ケア児」については、「永田町こども未来会議」という国会議員や関係者の団体の尽力で、医療的ケア児支援法が2021年に議員立法として施行されました。
今回の議員連盟は、この法律の3年後めど見直しを見据えたものです。総会では、医療的ケア児が成長し、就労の段階になると福祉や医療の公的サービスが受けられなくなる問題や、一型糖尿病についても今後議論したいといった提起がありました。この問題に積極的に取り組んでこられ、このたび議連副会長に就いたれいわ新選組の舩後靖彦参議院議員とともに、積極的に発言していきます。
健常者中心の議論に待った!
この他、現在は下記の議員連盟に入会しています。4月に設立したヘルプマーク普及・促進議員連盟では、副会長に就任しました。議員の集まりに障がい当事者議員が出席しているだけで、健常者中心になりがちな議論に新たな視点が加わります。今後とも、積極的に国会内で発言していきます。
・障害者の安定雇用・安心就労の促進を目指す議員連盟(インクルーシブ雇用議連)
・身体障害者補助犬を推進する議員の会
・国連障害者の権利条約推進議員連盟
・ヘルプマーク普及・促進議員連盟
・えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟
・超党派花粉症対策議員連盟
(文責:秘書 篠田恵)