「第65回全国矯正展」に伺いました(2025年12月7日)

2025年12月7日、東京国際フォーラムで開催された「第65回全国矯正展」に足を運びました。
全国矯正展は、全国の刑務所で受刑者の方々が製作した家具や日用品を展示・販売するイベントです。会場には各地の刑務所ブースが所狭しと並び、家具、小物、バッグ、靴、アウトドア用品など、創意工夫にあふれた製品が並んでいました。会場は多くの来場者で賑わい、関心の高さを感じました。
主催者の方に案内していただきながら、改めて「罪を償うとは何か」、そして「刑期を終えた後の社会復帰を社会全体でどう支えていくか」について考えさせられました。
以前から累犯障害者の課題に関心を寄せてきましたが、現在の受刑者には、高齢者や障害のある方々が少なくないとのこと。再犯防止には、出所後、適切な支援や制度へとしっかりつながれる環境が必要であり、その実現に向けて多くの現場の方々が知恵を尽くしていることを知りました。
国が民間に委託した4つの官民協同運営刑務所のひとつ「あさひ島根社会復帰促進センター」ではTC(セラピューティック・コミュニティ=治療のための共同体)というプログラムが取り組まれています。
半年から1年半程度、生活や作業 を共にしながら週3日2時間半程度のプログラムを受ける中で、共同体の中で相互に支えあう経験を通じて新たな価値観や生き方を身につけ、人間的成長を促す、というものです。欧米において再犯率の低下が実証されている更生プログラムです。
あらゆる犯罪や違法行為が社会の内側から出て来るものである以上、共同体と個人との間で互いに支え合う信頼感、お互いに命や権利を大切にし合うことの肯定感を高めていくことはとても大切だと思います。そしてそのことを通じて、世の中は少しずつかもしれませんが、より優しく生きやすい方向へ向かうのではないでしょうか。
また、刑務作業の対価として支払われる「作業報奨金」が、平均して月額数千円程度であることも伺いました。これは出所後、社会復帰を始めるための貴重な資金となります。物価高が続く今、その水準が妥当なのか、見直しの余地があるのではないかと感じています。
「全国矯正展」で目にした品々の一つひとつが目を見張るばかりに素晴らしく、受刑者の皆さんの真摯な人間性に触れる思いでした。その労苦に対してきちんとした対価で報い、出所後の再出発の糧としていただくことはとても大事だと思います。「あなたを決して見捨てていませんよ」「再スタートを心から応援します」という力強いメッセージでもあります。
再犯を防ぐために必要なのは、「ひとりにしないこと」。刑務所にしか居場所がないために、刑務所に戻るために罪を重ねることはあってはなりません。孤立させず、社会とつながれる仕組みづくりが必要です。私自身、このテーマに向き合い続け、できることを模索していこうという思いを新たにしました。

