2025年12月3日 厚生労働委員会質疑(医療法改正案審議 参考人質疑)「参考人に伺います」
○天畠大輔君 代読します。れいわ新選組の天畠大輔です。
参考人の皆様、本日は貴重なお話をありがとうございます。まず、三名の参考人に、医療計画、地域医療構想策定段階での当事者参画についてお伺いします。
城守参考人の資料には、日本医師会の江澤和彦常任理事が「地域医療構想の到達点と課題 日本医師会の立場から」という論文の中で、地域のことは地域の関係者が最もよく理解していると述べておられます。全く同感です。
障がい当事者の立場からは、医療計画、地域医療構想において医療と介護の連携を考える上で、生活の実態や困り事を最も理解している当事者の視点を計画段階から反映させることがニーズの把握を正確にし、制度の実効性を高めることにつながると考えています。
医療計画、地域医療構想の策定段階において患者、障がい者、高齢者など当事者の制度的参画を位置付けることについて、三名の参考人の先生方はどのようにお考えでしょうか。城守参考人から順番にお願いいたします。
○参考人(城守国斗君) 御質問ありがとうございます。
今の御質問でございますが、現在の医療計画においても、例えばワーキンググループにおいてその当事者の方々の参加というものも必要があれば推奨するというような記載がたしかあったとございます。
今回、新たな地域医療構想、これは、従来の入院だけではなくて、外来、そして在宅、介護というところまで全てを包括した概念ということになります。ですので、今お話しになられたように、この外来であるとか在宅、介護という話合いの点においては、やはり今後、当事者の方々の御参加の要請等が私らは増えてくるのであろうというふうに思っておりますので、そのような形で地域の住民の方々のお声を反映できるようになるんではないかなと期待してございます。以上です。
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
まず事実関係から申し上げますと、前回の地域医療構想の策定ガイドラインの方で、当事者、患者の参加が必要であるという規定は入っています。なので、そこは厚生労働省も一定程度考慮しているんだろうと思います。それから、都道府県の検討過程も、どれぐらい患者が参加しているのかと調べたことがあるんですけど、かなりの都道府県は考慮しています。
その意味では、事実関係としては天畠委員がおっしゃっていただいたとおりなことが起きていると思うんですけれども、やはり、専門用語が理解できないとか、分かりにくいというのはやっぱりあると思います。なので、例えば、患者、市民団体に少し資料を早めに出してあげるとか、ワークショップを丁寧に開催するとか、委員が単に参加するだけじゃなくて、もう少しその住民が参加しやすい場をつくっていく、あるいは議事録、資料を公開していく、こういうことは不可欠かなと思っているところであります。
○参考人(中尾一久君) 先ほど、地域医療構想が上位概念になったという話とちょっと関係するんでございますが、やはり地域のことは地域の人たちしか分からないと思います。
これ、例えば、県の行政の方々が地域の細部まで立ち入って見ることもないし、分からないんですね。ですから、地域のことは地域で決めるということがまず基本にないと駄目だと思います。要は、その地域の、じゃ、地域をどうしたいのか、あるいは地域を、どういう町づくりをしたいのか、こういったことをある程度もう地域から発信して、そのためにいろんなリクエストを県に、あるいは国に持っていくという、やはり自発的な意見の集約というのが絶対必要だろうと思います。
そのためには、もっと国民とか地域の方々に今のこの現状を理解してもらうことから始めないと話は始まらないような気がするんですね。以上です。
○委員長(小川克巳君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君 ありがとうございます。三原参考人に伺います。当事者参画を進めるに当たって、国と自治体の裁量の線引きについてどうお考えでしょうか。
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
国が強制することというのはなかなか難しいと思うんですね。運用はやはり自治体になってきますので、自治体がそこは考慮しなきゃいけないんだろうと思います。ただ、国がある程度方向性を示すことは大事だと思います。
○天畠大輔君 代読します。三原参考人、ありがとうございました。
次に、城守参考人、中尾参考人に、障がい者が入院する際のヘルパーの付添いについて伺います。
中尾参考人が資料の中でもお示しになっているキュアだけでなくケア、生活の視点が必要という考え方に強く共感しております。本日は日々の暮らしに医療を入れる観点ということが中心だったかと思いますが、逆の観点で、すなわち在宅生活を続ける重度障がい者や高齢者が入院した場合に生活をどう切らさずに医療につなぐかという視点も重要と考えております。重度障がい者が入院する際、ふだんのヘルパーが病棟に入れず、一人一人異なるコミュニケーション支援や身体介助が途切れることで、安全な治療を受けられなかったり、退院が遅れたり、そもそも入院を避けざるを得ない場合がございます。私自身も通訳をしてくれるヘルパーの付添いがなければ、医療者とのコミュニケーションが成立しないという課題がございます。
入院中のヘルパーの付添いは、制度上は可能な場合もあるのですが、完全看護や感染対策を理由に現場運用で断られるケースがまだ多いのが実情です。一方で、医療者が生活全般の支援まで担うことは困難であり、ヘルパーを活用することは医療者側の負担軽減にもつながると考えています。
こうした医療の中に介護が入らざるを得ない場面において、医療機関の理解と受入れ体制をどのように整えていくべきか、患者の安全確保と現場負担の両面からお二人の御意見を伺いたいと思っておりますが、中尾参考人、城守参考人の順番でお願いいたします。
○参考人(中尾一久君) 障がい者の方の入院に関してヘルパーが入るというのは、私は非常にいいことだと思います。
やはり、患者様にとって、そのときにいた看護師、介護士というのは初対面なんですよね。それよりも身近な方のヘルパーの方が一緒に横にいるということは、すごくやっぱり安心して入院生活も続けられるということになりますので、私は大賛成ですし、私どもの医療機関では、そういう申出があったら、どうぞって多分言います。それは、法に触れるのか、経済的なもの、何らかのことに抵触するのか分かりませんけど、私はどうぞって言います。以上です。
○参考人(城守国斗君) 御質問ありがとうございます。大変重要な点であろうというふうに思います。
現在、今御質問の中で御案内があったとおり、制度として一部認められている部分もございますが、一定、在宅で非常に重度な介護ケアが必要な方に対しての制度に隙間が確かにあろうと思いますので、これに関しては、今後、国の検討会等で、その辺りに関しての、何といいますか、制度上それが許可されるような議論をやはりしていくべきであろうと思いますし、今、我々としてもそのような要望を国の方に伝えていきたいと、伝えていければというように思います。以上でございます。
○天畠大輔君 代読します。ありがとうございます。
次に、三原参考人に伺います。医療需要の中心が、現在、治す医療から治し支える医療へと大きく転換しているかと思います。また、三原参考人は、地域ごとに制度裁量を広げていく必要性も指摘されているかと存じます。一方で、精神科病床の長期入院の約三割は、医療的必要性ではなく、地域に住まいや支援が整っていないため退院できないケースです。つまり、医療制度だけで語れず、住宅、介護、福祉、就労が欠けると入院が続いてしまう構造です。
例えば海外では、ベルギーなどのように、病床削減と地域移行、支援人材の再配置、財政支援を一体で進める制度によって、医療から介護、生活支援へ社会的リソースを移し替える仕組みを設けています。
日本でもこうした制度設計へ移行する余地あるいは必要性についてどうお考えでしょうか、御意見をお聞かせ願います。
○委員長(小川克巳君) 時間が参っておりますので、簡潔に答弁お願いします。
○参考人(三原岳君) 御質問ありがとうございます。
私も全く同じ意見です。イタリアがたしか精神病床を廃止したのは一九八〇年代だったと、七〇年代か八〇年代だったと思いますけれども、病床削減とその受入れ体制の整備、これを一体的にやっていかなきゃいけない、それはまさに私もおっしゃるとおりだと理解しています。
○天畠大輔君 終わります。ありがとうございます。


