「杳かなる」の院内上映会に参加しました(2025年1月29日)
1月29日、「杳かなる」(はるかなる)の院内上映会に参加しました。難病ALSに罹患し、社会からの孤立感をおぼえながら、ALSの先行者や支える人びとと出会い、ふたたび社会とのつながりを求めて歩き出すひとりの女性の姿を、3年半にわたって記録した映画です。
尊厳死法制化を求める声も聞こえる中、この映画を超党派の議員が観てどのように「生きる」を支えるのか感じ取ってもらうため、天畠自身やALS当事者の舩後靖彦議員が様々な議員を訪問などして、お誘いしました。
結果、与野党の議員が約20人来場。メッセージや秘書さんの代理参加も含めると、30人以上の議員が関心を示してくださいました。一般参加は135名、車椅子や人工呼吸器の利用者もたくさんいらっしゃいました。
議員と一般参加者が一緒に映画を鑑賞したあとは、感想など次々発言しました。
当日の発言の中から、宍戸監督と天畠の挨拶をご紹介します。
今日は映画、「杳かなる」をご覧くださいまして、ありがとうございました。
監督をしました宍戸大裕と申します。
今日の院内上映会を準備してくださった皆さん、お忙しいなかご覧いただいた議員の方、ご来場いただきました皆さんに、改めて感謝申し上げます。
映画をつくり始めたきっかけは、2019年、京都でALSの患者さんが、医師に薬物を処方され亡くなった事件でした。嘱託殺人事件は、今も裁判が続いています。
あの当時、ネット上などいろいろなところで言われたコメントを覚えている方もいらっしゃると思います。こんな状態になったら死んだほうがいいとか、安楽死の法制化が必要ではないかなど、ネガティブな言葉があふれていました。
いかに死ねる道を整えていくか、そっちが大事という話があふれ、僕はそれにすごく恐ろしさを感じました。京都で亡くなった女性が、どんな風景を見ていたのか、どんな生活をしていて、何が好きで嫌いだったのかという話が全く出てこなくて。「そんな状態になったら」と、表面的なものだけを見て、決められていく、死の道が整えられていくことが本当に恐ろしかったです。
今日この場で、これからいろんな人が話されると思いますが、どうやったら生きていけるのか、みていただいた風景の中で、岡部さんが、例えば佐藤裕美さんを乗馬に誘ったり、家を訪ねてきたときにおにぎりを用意したり、そういう日常のちょっとした、ささいなことで、人はホッとしたり、明日の約束が今日を生きる道になることを、僕らは経験的に知っていると思います。
どうしたら生きられるかを皆で考えられる場になればと思います。
今日は、どうも、ありがとうございました。
「楽しい日本」より、まずは生きたいと思う日本を作りましょう。
れいわ新選組参議院議員の天畠大輔です。
石破総理は施政方針で、「楽しい日本」を目指す、と語りました。いやいや総理、事態はもっと深刻です。まずは、生きたい日本を作らなければ、と総理の現状認識の違いを思いました。
私もかつては「死にたい」という言葉を、今皆さんの前でやっている、あ、か、さ、た、な話法で何度か話しています。14歳で重度障がい者となった私は、職員や見舞に来た親に何度も「死にたい」、外国に行って安楽死したいと伝えていました。自分の当時のつらさを表現する言葉は、当時の私にとって「死にたい」という言葉しかなかったのです。
「死にたい」は「生きたい」という叫びです。障がいや疾病を問わず、人は誰しも困難な状況を前にしたとき、時にこの言葉を口に出します。そしてそれは多くの場合、生きたい、という願いが閉ざされそうなときの命の叫びではないでしょうか。ある瞬間の、ある時期のある言葉を切り取って、死にたいと言っている、本人の意思が死にたい、と言っている、尊重する、と言うのはあまりに乱暴です。
かつて死にたいと思った自分を恥じましたが、それは生きたいと思えない社会だったのです。重度障がいがあったり、医療的ケアが必要な場合、生きるための選択肢が少なかった結果選ばざるをえなかった死は、本当に国が講ずべき権利保障なのか、疑問に思います。
死ぬ権利より生きる権利を保障する政策こそ、大事だと思います。生きる権利の保障は未だ足りないと言わざるを得ません。死を支えるのではなく、生きたいと思える社会に、皆さん力を合わせていきましょう。以上です。
会場には、以下の議員が来場しました(順不同)。
宮路拓馬衆議院議員(自民)、佐原若子衆議院議員(れいわ)、福田玄衆議院議員(国民民主)、阿部知子衆議院議員(立憲)、松下玲子衆議院議員(立憲)、野田聖子衆議院議員(自民)、横沢 高徳参議院議員(立憲)、石田 昌宏参議院議員(自民)、自見はなこ参議院議員(自民)、山本博司参議院議員(公明)、八幡愛衆議院議員(れいわ)、木村英子参議院議員(れいわ)、舩後靖彦参議院議員(れいわ)、天畠大輔参議院議員(れいわ)、梅村みずほ参議院議員(維新)、高木真理参議院議員(立憲)、岩渕友参議院議員(共産)、山川仁衆議院議員(れいわ)、倉林明子参議院議員(共産)、五十嵐えり衆議院議員(立憲)
メッセージを寄せてくださったのは以下の議員でした(順不同)。
山井和則衆議院議員(立憲)、寺田静参議院議員(無所属)、加藤勝信財務大臣・衆議院議員(自民)、大椿ゆうこ参議院議員(社民)、今井絵理子参議院議員(自民)、松野明美参議院議員(維新)
以下の議員は秘書さんが代理出席してくださいました(順不同)。
石井 準一参議院議員(自民)、芳賀道也参議院議員(無所属)、大石あきこ衆議院議員(れいわ)、たがや亮衆議院議員(れいわ)、宮口治子参議院議員(無所属)、鈴木宗男参議院議員(新党大地)、福田かおる衆議院議員(自民)
「杳かなる」は2月8日からの新宿K’s cinemaを皮切りに、各地で上映予定です。ぜひ足をお運びください。
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