2024年6月18日 政治改革特別委員会質疑(政治資金規正法改正案審議)「これでは政治資金寄生法 茶番はやめて真相究明を」
〇天畠大輔君
代読いたします。れいわ新選組の天畠大輔です。
自民党の裏金問題がまったく不問に付される中で、「法律を変えましょう」という議論をのうのうと続けています。これでよいわけがありません。自民党議員の4分の1が裏金議員です。彼らは、その違反を認めているにもかかわらず、自ら辞職することも自首することもなく、裏金を還付金と欺き、逃げ切ろうとしている。
「裏金は政治資金ではない。納税しないのか」と政治倫理審査会で問われた塩谷立元文科大臣は、「納税するつもりはない」と強弁しました。これに対し、物価高の中、日々の暮らしに苦しむ納税者の怒りが今年の確定申告の時期に爆発したのは記憶に新しいところです。
また、5月27日に行われた衆議院の参考人質疑では、平野貞夫元参議院議員から次のような指摘がありました。「自民党の国会議員の80人以上が関わった集団犯罪の疑いがある、自由民主党という政党の存在そのものに関わる問題、この本質を理解し、究明しなければ本格的な政策、立法体制はつくれない、その本質が政治家の皆さんの前段で止まっているんじゃないか、だから、そういう中途半端な状況の中で果たして適切な立案、立法ができるか。」平野氏のこの厳しい批判をきちんと受け止めるべきです。
問題の発端は、自民党の裏金です。本来ならば、裏金システムがそもそもどのように始まったのかなど、真相究明や裏金議員全員の真摯な説明が不可欠だったはずです。にもかかわらず、話はすぐに政治資金規正法改正のための修正協議になってしまったではありませんか。総理、徹底した真相究明なしに議論される改正法案は無意味です。一旦廃案にし、裏金問題の真相究明に力を注ぎませんか。
〇内閣総理大臣(岸田文雄君)
真相解明、要は事実の確認について不十分だというご指摘でありますが、これ、事実関係については、まずこれは検察による厳正な捜査が法と証拠に基づいて行われました。その上で、自民党におけるこの外部の弁護士を交えた聞き取り調査も行われました。当然のことながら、当事者自身による会見での説明、これもそれぞれ行われました。そして、国会でのこの議論も行われたわけであります。これによって事実関係の整理が一定程度進むとともに、政治資金規正法改正につながる具体的な制度的な課題、これも明らかになったところでありますし、こうした取組を通じて明らかになった点を勘案して、この政治的な責任についても明らかにした、こういったことであります。
捜査権がない中でも可能な限りの取組を進めてきたと認識しておりますが、いずれにせよ、可能な限りの事実関係の把握、これは引き続き重要であると認識をしています。今、公判も続けられています。今後の公判の状況も注視してまいりたいと思っておりますが、自民党としては、我が党が一連の事案の当事者であるからこそ、実態解明の課題、過程で把握された具体的な制度的課題について、責任を持って具体的な再発防止策、改革案、これをお示ししなければならないと考えています。是非、この法案のこの意義についても思いを巡らせていただき、この成立に向けて審議を進めていただきたいと考えております。
〇委員長(豊田俊郎君)
計測を止めてください。天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
茶番です。犯罪者集団が作る法律とまで言われていますよ。総理、どんな気持ちですか。
〇内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、こうした一連の事案によって深刻な政治不信を招いたこと、これは真摯に反省しなければならないと思います。その上で、事実の把握については、先ほど申し上げたように、この再発防止の具体的な制度課題についても明らかにしなければならない、こうしたことで事実解明に努めてきたところであります。この一連の事案の当事者であるからこそ、これ実態解明の過程で把握された具体的な制度的課題、これに責任を持って応えなければならない、実効的な再発防止策、改定案を示さなければならない、こういった思いで法律を提出させていただきました。是非、この法案の意義について多くの皆様方にご理解をいただきたいと考えております。
〇天畠大輔君
代読いたします。6億円の裏金がまかり通る中、飢えに苦しむ庶民が万引きで捕まっています。
資料1をご覧ください。警視庁が2019年10月に発表した「万引きに関する調査研究報告書」は、「小学生、高齢者の万引きの増加」を指摘しています。子供と高齢者を取り巻く貧困がその背景にあるのは明らかです。そして、そんな社会をつくってしまった責任は私たち政治家にあります。
「週刊女性プライム」2020年6月19日配信は、80点もの商品を万引きした小学4年生の男子のことを報じています。彼は8人兄弟の末っ子で、両親は共働き、お小遣いもおやつもなく、文房具すら買えない状態でした。盗んだものは兄弟に配っていました。
また、法務省の「平成20年版 犯罪白書」には、所持金を使い果たして路上生活を送っていた76歳の男性が缶コーヒー1本を万引きして逮捕されたという事案が報告されています。
資料2をご覧ください。その一方で、自民党議員88人が100万円から5,154万円の裏金を動かしていたにもかかわらず、逮捕されたのは池田佳隆衆議院議員ただひとり。あまりに不公平です。
ここで紹介した万引きに追い込まれた小学生や高齢者は、生活保護制度などの社会福祉政策から見捨てられた被害者ではないですか。ここにおられる全自民党議員に伺いたい。あなたたちは、「缶コーヒー1本といえども万引きは駄目です」と胸を張って言えますか。総理、自民党総裁としてお答えください。
〇内閣総理大臣(岸田文雄君)
まず、先ほども申し上げましたが、こうした政治不信を招いたことについて、自民党として真摯に反省しなければならないと思っております。その上で、今回の事案につきましては、まず、検察において、法と証拠に基づいて、厳正なこの刑事責任、法律上の責任、これが明らかとされました。そして、その上で、この各議員の関係者の説明責任が問われ、そして党としても、刑事責任はそれぞれ問われたものの、政治家であるからして、政治的な責任もこれしっかりと明らかにしなければならないということでこの処分等も行った、こういったことであります。
こうしたこの関係者の処分等について、これは法律に従ってこの処分が行われ、そして、それぞれの対応が行われている、こうしたことであると認識しておりますが、こうした事態を受けて、法改正、もちろん大事であります。しかし、法改正と併せて、この政治家の特権意識あるいはおごり、こういったものがなかったか、こういった点についての反省もこれをしっかりと行わなければなりません。
まずは、再発防止に向けて、法的な制度についてしっかりと議論を行うとともに、今後とも、政治家の特権意識あるいはおごり、こういったことがなかったか、こういったことについても真摯に反省するとともに、国民の皆さんに課せられた様々な政策課題について一つ一つ結論を出していく、こうした努力を積み重ねていくことによって、この政治の信頼回復への道を一歩一歩積み重ねていきたいと考えております。
〇委員長(豊田俊郎君)
計測を止めてください。ただいま天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
日本は、総理大臣が万引きをとがめられない国になっているということがよく分かりました。代読お願いします。
住まいもコーヒー代もない高齢者や子供に文房具を買えない世帯には、社会福祉政策の手が差し伸べられるべきです。
岸田総理、もう一つ、政府・与党が「人間の尊厳」を大きく傷つけているのが、旧優生保護法下における強制不妊手術問題です。7月3日には、最高裁が5件の訴訟について判決を出します。私も大いに注目しています。総理、あなたは、被害当事者に会う、会い方について検討をすると昨年3月、5月、11月に3回も……
〇委員長(豊田俊郎君)
時間を過ぎておりますので、おまとめください。
〇天畠大輔君
国会で私の質問に対して同じ答弁を繰り返していますが、いまだにその約束を果たしていません。総理、その後検討はどうなっていますか。
〇委員長(豊田俊郎君)
時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
〇内閣総理大臣(岸田文雄君)
ご指摘の関係者のお話を聞くということの重要性について、私自身も答弁の中でお会いする方法等について検討するということを申し上げてきました。この具体的な方法について、検討を行います。
〇天畠大輔君
終わります。
〈反対討論〉
〇天畠大輔君
国民の政治不信が更に高まること必至です。代読お願いします。
れいわ新選組の天畠大輔です。会派を代表し、自民案、維新・教育提出の修正案の双方に反対の立場で討論いたします。
今回の政治資金規正法改正の審議にあたっては、最後の最後まで迷走が繰り返されています。反対の最大理由は、何よりもこの衆参の「政治改革特別委員会」の進め方に大きな疑義があるためです。政治改革特別委員会は、もともと設置されていた「政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会」(倫選特)を自民党の裏金問題の発覚を受けて「委員会の名前を変える」ことから始まりました。名称変更後、野党第1党は与党が提出した法案審議に大きな抵抗もないまま応じ、こんにちを迎えています。
しかし、十分な調査もないまま、裏金当事者である自民党も含めた与野党の提出法案を粛々と審議するなどあり得ません。真相究明しないまま「出口」だけを議論するというのは、「茶番劇」以外の何物でもありません。れいわ新選組は、断じてあなたたちの「裏金維持法」の共犯者になるわけにはいきません。
結局、衆議院ででき上がったのは、自民党が維新の会を抱き込み、脱法行為にすぎなかった「政策活動費」を合法化するという前代未聞の「使途不明金存続法」でした。我が党の高井崇志幹事長がNHK番組で評したように、「泥棒が泥棒を捕まえる法律を作ったらこうなります、というざる法」です。
また、我が党の木村英子議員は、本委員会で、「主権者である国民が置き去りにされることなく、市民や有識者などの外部の方の参加を含めた議論の場をつくることが必要。衆議院、参議院、超党派で政治資金について参考人質疑なども行い、法案を白紙に戻した上で新たに改正案を作るべきだ」と訴えました。しかし、その声はこんにちまで無視されたままです。
90年代の政治改革議論に若手議員として参加した与野党の重鎮議員が、「国民を巻き込んだ大議論になっていない。国民運動的に政治を変えようという意識が欠けている」と嘆いたと6月3日付け朝日新聞は報じています。このような真相究明もなく、悪法をこそこそと修正して早期に採決するようでは、国民の政治不信は更に高まることでしょう。
以上の理由から、「裏金維持法案」にほかならない自民案、維新・教育の修正案の双方に反対します。その上で、熱気ある令和の政治改革を大きな国民的議論として行うべきです。仮に、政府・与党が政権への支持率再浮上を本当に願うのであれば、議論をゼロからやり直すことが不可欠であると申し上げ、反対討論といたします。
〈配布資料〉