滝山病院問題の解決を進める10.10行動に参加しました(10月10日)

滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議による、10.10行動に参加しました。厚労省、東京都、八王子市、そして精神科・滝山病院。虐待事件を受けて、被害者への謝罪や、希望者の転退院、このような事件を二度と繰り返さないための生活保護、虐待防止の施策。それぞれが役割を持っているのに、それぞれが少しずつよそ任せの姿勢をすることで、結果的に当事者の尊厳、人生、命までもが奪われる。そんな現実を皆さんに伝え、少しでも現実を動かすために、1日の強行軍ですべての関係行政機関での要請活動、そして都庁での記者会見を行い、天畠はすべてに参加しました。

厚労省へ要請書手交

厚生労働省は精神保健福祉法を所管しています。精神科病院で虐待が起こったときの被害者への謝罪や、虐待を受けた方、間近で見た方、今も病院内に残っている退院・転院・地域移行希望者の回復、新しい生活のための支援については、現時点で特に定めはありません。戦後、幾度となく精神科病院での暴行・虐待が繰り返されてきたのに、これらの施策が何もないのは、当事者の人権擁護の観点が薄いと言わざるを得ません。天畠は要請書手交にあたり、「精神科病院における暴行・虐待が一向に無くならないのは、厚労省の怠慢ではないですか」とコメントしました。

参加人数は18人。うち市民7人、国会議員7人、都議会議員1人、市区町村議会議員3人でした。立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組と政党を超えた国会議員や自治体議員に集まっていただき、市民と同列に並んだ様子は迫力がありました。

2023年10月10日

厚生労働大臣 武見敬三様
滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議


滝山病院問題に関する要請書

私たちは「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」と申します。滝山病院において発生した、入院患者に対する虐待・暴行事件に心をいためる自治体議員、国会議員、市民団体、個人によって結成された連絡会議です。現在、280の団体・個人が加入しております。

本年2月の事件発覚以来、約7カ月が経過しましたが、事件の真相解明、入院患者(被害者)の退院・転院、地域移行などの救済はほとんど実施されていません。

精神科病院における虐待・暴行は、身体拘束とあいまって日本の医療現場の構造的暗闇という批判が長年続いているにもかかわらず、抜本的改善がなされないことに関して、医療政策を所管する厚労省は怠慢のそしりを免れません。以下、要請します。

要請内容に対する文書回答を、10月17日(火)17時までに、下記メールアドレスあてに送信願います。
 
要請内容

1.	精神科病院における虐待・暴行が無くならない理由について、厚労省はどう考えているか。
2.	精神科病院における虐待・暴行の根絶に向けた、厚労省の方策いかん。
3.	本件発覚以来、今日までの厚労省の取り組みを具体的に明らかにされたい。
4.	厚労省の取り組みの進捗状況、今後の方針などについて明らかにされたい。
5.	精神科病院において虐待事件が起きた場合の被害者救済の政策立案に向けて、精神科病院入院患者の支援に携わってきた当事者団体、家族会、支援団体、弁護士団体と早急に話し合いの場を設けられたい。
6.	精神科病院で働く職員が虐待に関する通報をしやすくするため、新たな大臣告示など具体的な方策を講じられたい。
以上

文書回答送付先:
滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議事務局(参議院議員天畠大輔事務所)
〒100-8962 東京都千代田永田町2-1-1 参議院議員会館316号室
電話:03-6550-0316、FAX:03-6551-0316
メールアドレス:nakajima@daisuke-tenbata.jp

八王子市に要請書手交

会場を永田町から八王子市役所へ移し、市側への要請書手交も行いました。八王子市は中核市として、生活保護指定医療機関の指定権限を持っています。滝山病院は生活保護指定医療機関であり、入院者の約半数が生活保護受給者です(2022年6月精神保健福祉資料より)。暴行・虐待事件は、その方々に対して「著しく不当な行為」にあたるのでは?という提言です。

参加人数は18人。うち市民5人、八王子市議会議員3人、都議会議員4人、市区町村議会議員3人、国会議員3人でした。森よしひこ八王子市議が、要請を読み上げてくださいました。

2023年10月10日

八王子市長 石森孝志様
滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議

滝山病院問題に関する要請及び質問書
 
私たちは「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」と申します。滝山病院において発生した、入院患者に対する虐待・暴行事件に心をいためる自治体議員、国会議員、市民団体、個人によって結成された連絡会議です。現在280団体・個人が加入しております。
 
本年2月の事件発覚以来、約7カ月が経過しましたが、事件の真相解明、入院患者(被害者)の退院・転院、地域移行などの救済はほとんど実施されていません。
 
さて、生活保護法は中核市の市長の権限として、指定医療機関が生活保護法第51条第2項各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる旨規定しています。

【生活保護法第51条第2項各号】
一 指定医療機関が、第四十九条の二第二項第一号から第三号まで又は第九号のいずれかに該当するに至つたとき。
二 指定医療機関が、第四十九条の二第三項各号のいずれかに該当するに至つたとき。
三 指定医療機関が、第五十条又は次条の規定に違反したとき。
四 指定医療機関の診療報酬の請求に関し不正があつたとき。
五 指定医療機関が、第五十四条第一項の規定により報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は虚偽の報告をしたとき。
六 指定医療機関の開設者又は従業者が、第五十四条第一項の規定により出頭を求められてこれに応ぜず、同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。ただし、当該指定医療機関の従業者がその行為をした場合において、その行為を防止するため、当該指定医療機関の開設者が相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。
七 指定医療機関が、不正の手段により第四十九条の指定を受けたとき。
八 前各号に掲げる場合のほか、指定医療機関が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
九 前各号に掲げる場合のほか、指定医療機関が、被保護者の医療に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。
十 指定医療機関の管理者が指定の取消し又は指定の全部若しくは一部の効力の停止をしようとするとき前五年以内に被保護者の医療に関し不正又は著しく不当な行為をした者であるとき。
【第51条第2項各号おわり】
そこで、以下の要請及び質問事項に関する文書回答を、10月17日(火)17時までに下記メールアドレスあてに送信願います。


要請・質問事項

1.	八王子市が本件を認識したのはいつ、どのような情報によってでしたか。
2.	その後、八王子市はどのような対応を取られましたか。
3.	厚労省は現在、国民健康保険法に規定されている診療報酬の不正請求という観点から調査を行っておりますが、一方で中核市である八王子市は上記生活保護法上の権限を有する主体として、厚労省とは違う独自性を是非発揮していただきたいと思います。その意味で、今般、虐待・暴行事件が発生した滝山病院は、上記第51条第2項第9号をはじめとする諸項目に該当すると思われますが、いかがですか。
4.	同じく同条同項に照らし、八王子市は滝山病院に対して速やかに指定医療機関の取り消しを行うべきと考えますが、いかがですか。
5.	滝山病院では不適切かつ過剰な薬品投与が強く疑われています。八王子市は厚労省等と連携してこの事実の把握に努めていらっしゃいますか。
6.	本件に対する八王子市の今後の対応方針についてご教示ください。
7.	報道によると、八王子市は8月31日に厚労省や東京都と共同で滝山病院に指導に入りました。この指導を通して明らかになった事柄に関して、当連絡会議、八王子市議との間で、意見交換のための場を是非設定願います。
以上

文書回答送付先:
滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議事務局(参議院議員天畠大輔事務所)
〒100-8962 東京都千代田永田町2-1-1 参議院議員会館316号室
電話:03-6550-0316、FAX:03-6551-0316
メールアドレス:nakajima@daisuke-tenbata.jp

滝山病院視察申し入れ

虐待防止委員会や第三者委員会が検討を進めている最中とはいえ、住民の代表である議員への説明や意見交換には応じるべきとの思いから、事前に滝山病院に文書で視察を申し込みましたが、FAXと郵送文書で理由を告げずに拒否をされました。さらに当日、国会議員5人を含む議員17人が訪れて視察受け入れを促す申入書を渡そうにも、誰にも受け取っていただけませんでした。仕方なく議員団で代表電話にかけたところ、名前も所属も言わない事務職員が最後まで電話口で「お答えできません」と繰り返していました。民間とはいえ、人の命を預かり、国から診療報酬も受け取る病院は「公共」の存在です。その病院が取るべき対応ではありませんでした。 集まった報道の皆さんに対し、天畠は以下のコメントを述べました。

*****

(あかさたな)納得できません。視察を受け入れるべきです。

(代読)「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」は本日、滝山病院に対して視察を申し入れました。市民・住民の代表として、自治体、国会の現職議員による視察を要求しましたが、滝山病院はこれを拒否しました。とても大きな怒りと悲しみを覚えます。

病院は本来、病いを得た人が治療を受け、社会に戻っていくための場所です。社会に対して開かれていなければならないことは当然です。ましてや暴行や虐待が行われていいはずがありません。

滝山病院は今なお重く暗い扉を閉ざしたままです。どうかその扉を開いてください。入院患者たちの声に耳を傾け、謝罪し、同じ人として向き合ってください。この病院の中にいる仲間たちが、奪われた当事者性を取り戻す日まで、私たちは何度でもここに来ます。重く暗い扉をたたき続けます。

*****

参加人数は22人。うち市民5人、国会議員5人、県議会議員1人、東京都議会議員4人、八王子市市議3人、市区町村議会議員4人でした。

東京都へ要望書手交

滝山病院への指導、改善命令を出すなど、直接の指導権限を持つのが東京都です。希望する入院患者の転退院支援も都の努力で行われていますが、緊急性の高さに比してスピードが遅いのが主な問題です。施策改善を求めて、要望書を提出しました。五十嵐えり都議が、要望書を読み上げてくださいました。参加人数は約30人。うち都議会議員6人、国会議員4人、市区町村議会議員4人でした。

2023年10月10日

東京都知事 小池百合子 様

滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議



滝山病院問題に関する要望書
 

私たちは「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」と申します。滝山病院において発生した、入院患者に対する虐待・暴行事件に心を痛める自治体議員、国会議員、市民団体、個人によって結成された連絡会議です。現在、280の団体・個人が加入しております。
 東京都は本年5月以降、一般社団法人東京精神保健福祉士協会の協力の下、滝山病院の入院患者の転退院の意向調査と支援を行っていますが、9月末時点において転退院を希望した約35名のうち転院をしたのは未だ5名のみです。
私たちとしては、患者自ら声をあげることが難しいことから、外部からの積極的な支援が重要であるにも関わらず、未だ遅々として進まない状況を非常に危惧しています。つきましては、東京都に対して以下の通り要望します。
 

要望内容

1.	転院・退院(地域定着支援含む)を希望する患者のうち、未だ滝山病院に留まる患者に対しては、早急に、本人の希望に沿うよう、現在協力を要請している東京精神保健福祉士協会のみならず他の地域福祉関係者からの協力も得ながら転退院を進めることを求めます。

2.	転院・退院(地域定着支援含む)支援については、地域事業者等から各入院患者への相談を積極的に病院が受け入れる等、開かれた支援体制を構築するよう求めます。特に、すでに具体的に転院・退院(地域定着支援含む)を希望される方については、地域の福祉関係者や司法関係者の側からの面会要請に対しては、各患者の意思に反しない限りこれに応じるよう滝山病院に対して指導するよう求めます。

3.	滝山病院の暴行・虐待事件について、滝山病院自身による内部調査に頼ることなく、東京都として、独自に真相究明を徹底し再発防止に務めるよう強く求めます。
4.	東京都が行う転退院意向調査対象者のうち、転退院者数(死亡含む)を適宜公開するよう求めます。

5.	転退院意向調査にあたり、転退院希望/入院継続希望といった「線引き」が安易に行われる危険性についても、私たちは危惧します。「転退院すれば医療費が滝山病院よりも増えてしまう」「家族にさらなる負担をかけるわけにいかない」などの理由によって意向が歪められたり、意思表示自体が断念されたりすることがないよう、残された入院患者に対して十分かつ包括的な支援や手当てが施されるよう、強く求めます。

都庁での記者会見

連絡会議の趣旨と、10.10行動の報告のため、都庁記者クラブで会見を開きました。報道機関は12社が集まり、連絡会議側からは10人(上田令子都議、石川大我参議院議員、相原啓介弁護士、小幡恭弘みんなねっと事務局長、天畠大輔参議院議員、加藤眞規子こらーるたいとう代表、五十嵐えり都議、高木あきなり小金井市議、漢人あきこ都議、青柳有希子都議)が発言。天畠からは厚労省への要請書手交の報告と、滝山病院問題にかかわる思いをお話ししました。

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(あかさたな) 滝山病院の患者の皆さんに思いを寄せる時、私はかつての自分を思い出します。代読をお願います。

(代読)厚労省への要望書は、お手元の通りです。私は本日、厚労省に対して次のように訴えました。「精神科病院における暴行・虐待が一向に無くならないのは、厚労省の怠慢そのものです」

以下、滝山病院問題に対する私の思いの一端を述べます。私は14歳の時、若年性急性糖尿病で救急搬送された際の処置のミスによる後遺症で重度障害を負いました。四肢まひで発話困難、視覚障害、嚥下障害があり24時間介助が必要です。私は10代の約2年間を施設で過ごしました。

ベッドから車イスへの移乗には2人の介助者が必要となるため、職員が交代する午前4時半に行われたり、トイレの時間を指定されたりしました。日々、自分が「無力化されている」という思いで生きていました。

滝山病院の入院患者もまた、日常的暴行・虐待の中で「当事者性」無き者として扱われています。この奪われた当事者性を、絶対に回復しなければなりません。精神科病院の中でこのような状態に置かれている人々を置き去りにしたままにしている社会は、間違っています。みんなで力を合わせて正していきたいです。

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