虐待事件があった精神科・滝山病院前での市民活動に参加しました(10月3日)

八王子市の精神科病院「滝山病院」における暴行・虐待事件は、精神医療・保健・福祉関係者のみならず、社会全体に大きな衝撃を与えました。同時に、精神科病院における虐待の問題が指摘されてきたにもかかわらず、放置されてきた現実が明らかになりました。現在、東京都が中心となって、滝山病院に入院する患者への退院・転院希望の意向調査を行い、患者の家族や関係各所との調整が行われていますが、残念ながら十分とは言えません。

そこで10月3日、長年、地域生活や権利擁護活動を担ってきた障がい当事者や、支援者、ご家族の皆さん30名が賛同し、滝山病院への要望書の提出が行われました。国会議員では、天畠と木村英子参議院議員(れいわ新選組)が賛同しました。要望書の内容は以下の通りです。

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要望書

私たちは、精神病・精神障害がある時も、普通に地域社会でその人らしく暮らしていくことを切に願うものです。その実現をめざして、速やかに、丁寧に支援されて、現在滝山病院入院中の患者さん全員が退院できるように以下のことを滝山病院へ要望いたします。

  1. 東京都全都的な取り組みに、積極的に協力してください。

2. ひとり一人の患者さんの意向を尊重して、退院支援をおこなうために、東京都、各市区町村等自治体、東京PSW協会の  みならず、民間の相談支援事業所や退院支援・地域生活定着支援を行うことができる団体・事業所を受け入れて活動させて下さい。

3. 2についてですが、例えば高幡法律事務所の相原啓介弁護士と立川市にある特定非営利活動法人トモニは、いちはやく滝山病院入院中の患者さんからの要請を受けて、退院支援に取り組んできております。今後も同団体・事業所が円滑に活動できるように、受け入れて下さい。

4. 令和5年度内に、滝山病院に入院している患者さん全員が安心・安全なところへ退院できるように、私たちはできるうる限りの協力・応援をさせて頂きたいと思っております。そのために話しあいの場を持って頂くことを要望いたします。

                  2023年10月3日

特定非営利活動法人こらーるたいとう 代表 加藤眞規子

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天畠は3日に滝山病院現地に行き、賛同者の方々とともに、要望書提出とスピーチをしました。スピーチの内容は以下のとおりです。

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参議院議員・天畠大輔です。入院患者の皆さんに、心を寄せています。私は14歳のとき、医療ミスにより四肢麻痺、発話障がい、嚥下障がい、視覚障がいを負いました。障がいがあることで、人生の選択肢は本当に狭かったです。幸運なことに、昨年7月からは、参議院議員として、国会で仕事をさせていただいています。

この滝山病院で虐待事件が発覚してから、半年以上がたちました。私自身は、退院・転院・地域生活を望む方たちのために、社会福祉分野のコーディネートはできません。しかし、入院患者の皆さんに心を寄せ、議員として私なりの方法で貢献することはできます。

今年3月20日の予算委員会質疑で、滝山病院のことを取り上げました。その際には、「精神科病院問題を議論するときに、人権擁護の観点が足りていない」点を重視しました。もちろん、虐待防止・発見の仕組み、診療報酬不正請求の追及、生活保護行政として適正だったか、などの検証と改善は必要です。

しかし、より急ぎ、重視されるべきは、虐待を受けた方、間近で見た方、今も病院内に残っている退院・転院・地域移行希望者の回復、新しい生活のための支援ではないでしょうか。「当事者性の回復」、つまり自らが直面する困難がどのようなものかを自覚し、病院をはじめ社会全体に訴えていけるようになっていくこと、そのような当事者の回復過程を病院内外の支援者が支えていく仕組みが必要です。今年8月には、市民団体の皆さんと一緒に、滝山病院問題を考える、市民と議員の連絡会議を立ち上げました。本日時点で、280もの個人・団体から賛同をいただいています。

今日、滝山病院に要望書を持参されたのは、長年、地域生活や権利擁護活動を担ってきた障がい当事者や、支援者の皆さんです。虐待事件とその後の入院患者さん達の処遇を気にかける市民が、こんなにもいらっしゃいます。適切な医療、適切な地域生活支援を受けながら、どんな障がいがあっても自分らしく暮らせるようにしたい。病院側の皆さんには、この要望書に、少しでも歩み寄っていただきたいと願っています。みなさま、ともに声を上げていきましょう!!

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