日本財団「就労支援フォーラムNIPPON 2023」政治家セッションに登壇しました(12月17日)

12月17日、日本財団「就労支援フォーラムNIPPON 2023」の政治家セッションに、宮路拓馬衆議院議員(自民党)、横沢高徳参議院議員(立憲民主党)、金村龍那衆議院議員(日本維新の会)とともに登壇しました。天畠の基調発言は以下の通りです。

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皆さま初めまして。れいわ新選組の天畠大輔です。今日は基本的に、一般就労を念頭に置いてお話します。今の障がい者就労支援施策からは、重度の人が抜け落ちがちです。具体的には、私のような重度障がい者が必要とする「介助付き就労」が実質的に不可能な仕組みになっています。

「介助付き就労」とは、食事やトイレ、移動といった生活動作、また資料読み上げやパソコン操作といった業務補助のための介助を受けながら、重度の障がい者が働くことです。実は、私の造語です。

なぜこれが今出来ないのか、まず簡単にお話します。「重度訪問介護」という、スポットではなく長時間でヘルパーを派遣する制度があります。障害者総合支援法の厚労大臣告示523号という規定で、この重度訪問介護を使ってはいけないケースを定めています。どういうケースかというと、スライドに出ているように、「通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出」です。

この文言を根拠に、仕事中の介助費用は支給されません。視覚障がいの方が対象の同行援護と、知的・精神障がいの方が対象の行動援護にも、この告示が適用されます。

介助付き就労が出来ないことで、どのくらいの人が困っているか、お話します。重度障がい者が仕事をする前提として、介助体制の安定がないといけません。現状ではそれすら難しいので、「働きたいけど働けない人が何人いる」とピンポイントで言うのは難しいのですが、先ほどの告示523号が適用される重度訪問介護、同行援護、行動援護の利用者合わせて約5万3000人ほどが、実質的に働けない状態にあります。

一方で、重度訪問介護利用者約1万2000人のうち、少なくとも800人程度が就労している、と試算できます。私もその一人ですが、国会で働く時間の介助費用は、特例的に参議院が負担してくれています。でも、それは私が国会議員という特権階級だからです。800人の方たちは、介助費用を自己負担したり、介助が使えないからトイレを我慢して体調を崩したりしながら、働いています。仕事で介助が使えるようになればすべてが解決するわけではありませんが、まず制度の壁を取り除くことが大前提だと考えています。

私の目標は、次の報酬改定までの「介助付き就労」の実現です。「介助付き就労」を実現する具体的な方法をお話します。実はすでに、「就労支援特別事業」という補助制度があります。政府は、介助付き就労を実現するために、この制度を改善していく方針です。

しかし私は、そもそもの告示523号を見直すなどして、重度訪問介護を仕事中にも使えるようにすることを、提案しています。理由は主に2つです。

一つ目は、本人と事業所の事務負担が非常に重いことです。就労支援特別事業では、JEEDと市町村の2箇所へ介助費用を請求します。なぜかというと、雇用主への補助金給付である「雇用施策」と、生活介助のための「福祉施策」を組み合わせる、という制度設計だからです。この事業を使う当事者や事業所にヒアリングをしてきましたが、2か所への請求、という制度の根本が原因となって、事務負担が重いのです。制度改善では解決しないと思います。さらに、事業所は収入が減る場合が多く、現状、事業所の善意によって成り立っているとも言えるのです。

二つ目は、自治体間の格差を生み出すからです。制度が始まって3年が経ちますが、今年7月末時点で約1700ある全国の自治体のうち、54しか導入していません。様々な理由がありますが、自治体にも財政負担が生じるので、なかなか踏み出せません。約1700の自治体ごとに、個別で就労支援特別事業を導入するよりも、すでにある重度訪問介護を仕事に使えるようにした方が、全国一律で公平なサービスを担保できるだけでなく、行政コスト的にも合理的だと考えています。

最後に、介助付き就労は、障がい者就労全体の底上げにもなるとお伝えします。就労支援関係の方々からは、いくら訓練や支援をして、その人の中にある働きにくさを取り除いて、一般就労を目指したとしても、「出口」である職場の方が変わらなければ、障がい者就労は進まない、といった悩みや課題を聞きます。

介助付き就労は、一例でも実現したら、周りを変える力は大きいはずです。私はこれまで事例研究をしてきましたが、重度障がい者は個別性が高いので、会社側が一方的に支援するのでなく、本人ときちんと相談するコミュニケーションが生まれ、結果的に会社全体の風通しも良くなります。超短時間勤務や、リモート勤務などが出来た結果、障がい者だけでなくいろいろな事情を抱える人が働きやすくなります。そうやって一般の職場自体が徐々に変わることで、就労支援の「出口」も広がると考えています。

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