【2023年通常国会ハイライト②】国会のバリアフリーは温情主義で進めたものではないと答弁を取りました

国会のバリアフリー、合理的配慮を滞らせないために

4月11日の内閣委員会で、国会議事堂のバリアフリーと、障がい当事者議員への合理的配慮について質疑しました。令和5年度予算案の本会議採決時に、れいわ新選組の木村英子議員が本会議場の壇上で発言したところ、自民党の西田昌司議員がご自身の動画で誹謗中傷を行ったことが、この質疑の直接のきっかけです。

西田議員は動画で「参議院のバリアフリー工事等に対して感謝の念もなく、弱者を振りかざして意見を通そうとしている」という趣旨の発言をしていました。予算案採決時に、れいわ新選組の議員が「牛歩」したことを批判する文脈でしたが、牛歩の是非と、参議院のバリアフリーや合理的配慮は本来、まったく別の問題です。論点をすり替えての誹謗中傷を放置してはならないと考えたのは、一般の事業者にも合理的配慮を義務化する改正障害者差別解消法の施行が1年後に迫る中で、合理的配慮に対する国民の関心を高めなければ、障がい当事者の地域生活が尊厳あるものにならない、との危機感があったからです。

質疑では、参議院のバリアフリー整備や障害者議員への合理的配慮は、議員らの善意や温情で行われたのではなく、障害者差別解消法やバリアフリー法の理念にのっとって行われてきたとの政府答弁を確定させました。

天畠「今、参議院にご答弁いただいた国会でのバリアフリー改修は、障害者差別解消法上、どのように位置づけられるでしょうか」

 自見はなこ内閣府大臣政務官「(前略)政府といたしましては、国会における取組について申し上げる立場にはございませんが、障害者差別解消法の趣旨を踏まえた自主的な取組として、国会においても実態に即した対応等が行われているものと認識をしております」 

天畠「法の理念にのっとれば、国会のバリアフリー化は不可欠だったということです。そして、バリアフリー化という環境の整備をしたうえで、それぞれの障がいに合わせた様々な合理的配慮もしていただき、私たちはこうして質疑に立つことができています。(中略)しかし、先日、自民党の西田昌司議員がご自身の動画で私の同僚議員に対し、「参議院のバリアフリー工事等に対して感謝の念もなく、弱者を振りかざして意見を通そうとしている」という趣旨の誹謗中傷をしていました。法の趣旨にのっとり、不可欠な対応として行っていただいていた参議院のバリアフリーに対して、感謝がないなら主張するなと言わんばかりの発言は、極めて温情的かつ抑圧的、国会における対話の継続を阻害するものだと考えます」

2023年4月11日 内閣委員会質疑(新型インフル特措法改正案審議)「障がい者はいつも配慮に“感謝”しなきゃだめ?!」

合理的配慮は対話でつくられる

2023年4月11日参議院内閣委員会質疑の様子。左側の答弁者は自見政務官。

合理的配慮と言うと、支援を「受ける側」としての障がい者が、「配慮をしてもらう」場を想像する人が多いかもしれません。しかし、内閣府のリーフレットに明記されているように、対話がとても重要です。

● 障害のある人は、社会の中にあるバリアによって生活しづらい場合があります。

● 障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が示されたときには、負担が重すぎない範囲で対応することが求められます。

●「合理的配慮の提供」に当たっては、障害のある人と事業者が話し合い、お互いに理解し合いながら共に対応案を検討することが重要です。

リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」

来年合理的配慮が義務化される「事業者」にはもちろん、民間企業や公的機関といった働く場も含まれます。障がい者と健常者は、同じ場で力を合わせて働いたり、活動したりすることがほとんど想定されていないのが現状ですから、そのための措置が正当だと感じられず、今回の誹謗中傷のような事態が今後も起こるかもしれません。しかし天畠の毎回の質疑はまさに、国会との対話の中で作られた合理的配慮によって実現している仕事です。障がい者と健常者が「ともに働く」可能性も、今回の質疑をきっかけに皆さんに知っていただきたいと思います。(文責:秘書 篠田恵)