「滝山病院事件の第三者委員会調査やり直しを求める声明」を東京都に渡しました(2月14日)

2月14日、滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議が「滝山病院事件の第三者委員会調査やり直しを求める声明」を発出しました。天畠は事務局として同日、五十嵐えり東京都議会議員と、東京都にこの声明を手渡しました。声明は厚労省と滝山病院にも送付されました。声明の内容は以下のとおりです。

滝山病院事件の第三者委員会調査やり直しを求める声明


昨年12月18日、「滝山病院第三者委員会」は報告書を公表した。

NHKが昨年2月に 「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」を放映し、多くの人々が同病院における虐待・暴行に深いショックを受ける中、報告書がどのような事実認定と評価を行うのか注目されていた。

しかし、今回の報告の内容については強い失望の念を禁じ得ない。

そもそも、第三者委員会のメンバーは弁護士のみである。近年、患者への虐待事件が発覚した兵庫県の神出病院が設置した第三者委員会は弁護士、精神医療関係者、学識経験者を含んでいた。この例だけを見ても、滝山病院の第三者委員会構成は偏っており、複眼的な調査ができるとは言い難い。

委員の人選も、滝山病院が直接選任した弁護士が委員長となり他の人選を行っているうえ、その委員長も滝山病院と利害関係のある弁護士を介して依頼を受けたのではないか、などの指摘もあることから、委員の「公正性」「第三者性」について大きな疑問がある。

また、本来調査すべき事項は、現場職員の虐待についてのみならず、院長ら自身の虐待への関与、診療報酬の不正請求、過剰診療・ネグレクト等による死亡退院、カルテ等の改ざん、違法な強制入院、面会や通信妨害、病室でがん手術といった院長自身による信じがたい違法行為の有無等々、極めて多岐にわたるはずである。しかし、滝山病院からの退院支援に深く関わってきた相原啓介弁護士によると、その一切を調査対象としないよう病院側から指示を受け、その指示をもとに、現場職員らによる虐待のみを対象とした調査として始まっている。病院側から調査の内容について干渉を受けない「独立性」が担保された委員会ということも到底できない。

もとより、医療機関において入院患者に対して医療関係者による虐待・暴行が恒常的に行われるなど、決して許されないことである。さらには、本件は、朝倉病院事件のいわば再犯ともいうべき事件であり、そのような事態に至った原因については徹底した調査をすべきなのは言うまでもない。

しかし本報告書からはそのような努力は全く読み取ることができない。むしろ、上記の通り報告書には「役員らは、あえていわゆる性善説的な見地に立っていたようで、病院内では虐待行為など違法な事態は生じ得ないものと現場職員らを安易に信頼していた」(同報告書78ページ)などと、そもそも虐待への院長らの直接の関与さえもが強く疑われる中で、その関与については一切の調査がなされないまま、院長らは虐待等については一切知らなかったことが、当然の前提として全ての結論が書かれている。このことに象徴されるように、報
告書は初めから院長らの責任を極めて小さく評価することを意図して作成されたお手盛りの産物に過ぎない、との批判を免れられない。

また、被害者が現実に発生している事案に関しては、被害者の安全の確保や権利擁護、被害回復等の観点から被害者救済策の有無・内容等に踏み込んだ評価が不可欠であるが、それらについて言及の必要があるという発想すらも見られず、とてもではないが人々の権利擁護を第一の使命とする弁護士のみで構成された委員会の報告書とは思われない。

このように事実関係の調査等については非常にずさんなものとなっている一方、第三者委員会は、同病院の存続と再出発についてはきわめて安易に前提にしている。しかし、提言の大半は法令を遵守して一般的な取り組みを行えば病院は改善するといった一般論の域を出るものではなく、このような異常事態に即した具体的な指針を示すものではない。むしろ、このような安易な提言をもとに病院存続を前提とする報告書は、滝山病院に対する「免罪符」としての機能を果たしかねない。

これでは到底事件の原因の解明や同じ惨劇を繰り返さないための足がかりとすることはできない。1月31日、滝山病院は、理事長や院長が辞任するなどとする改善計画書を東京都に提出した。徹底的な原因究明のないままの幕引きは、あってはならない。滝山病院事件はまだ終わっていない。あらためて委員会の構成メンバーを滝山病院が関与しない形でゼロから選び直したうえで、今回の事件を根本から調査し直すべきである。


2024年2月14日
滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議