「滝山病院問題を終わらせない」都庁前行動に参加しました(3月1日)

都庁前の道路で130人の参加者に囲まれて話す天畠と介助者の後ろ姿と、手話通訳者の後ろ姿

3月1日、「滝山病院問題を終わらせない」都庁前行動に参加しました。精神障がいの当事者、家族会関係者、社会福祉関係者、議員など参加者は130人。現場で配布されたビラより、趣旨を紹介します。

暴行・虐待事件から1 年

2023 年2 月、東京都八王子市の精神科・滝山病院の看護師による患者への暴行・虐待事件が明らかになりました。その後、複数の看護師らが次々と逮捕、略式起訴されました。NHK ドキュメンタリー「ルポ死亡退院」(2023 年2 月25 日放映)では、滝山病院の経営者が、過去にも虐待、診療報酬不正請求事件を起こした朝倉病院の経営者と同一人物である事実、暴力・虐待の場面を記録した映像、また過剰診療の強い疑いが示されました。

事件から1 年。今年1 月31 日、滝山病院は理事長や院長が辞任するなどとした改善計画書を都に提出、都が受領したことで、事件は収束したように見えます。

退院希望しながら入院中の方が25 人

しかし、滝山病院問題は終わっていません。東京都は昨年5 月から希望する患者さん達への退院支援をしていますが、その時に退院希望したのにまだ残る人が25 人います(今年1 月末時点)。退院希望が叶わないうちに亡くなった方もいます。

精神科病院で虐待事件があっても、そこに残る患者さん達はいつも置き去りです。虐待を受けたり、見たり聞いたりした患者一人ひとりに対する謝罪、回復ケア、そして事件直後の緊急的な転退院支援などの被害回復を定めた仕組みは、まだどこにもありません。

だから私たちは、退院希望叶わず亡くなった方を追悼し、精神科病院の長期入院者、虐待を受けた人たち、違法な身体拘束を受けている人たちへの連帯を示すことで、「滝山病院問題を終わらせない」ことを求めています。

夜間の都庁前でプラカードを掲げて立つ女性3人が並ぶ。プラカードには「虐待のある病院に入りたくない」「滝山病院事件は終わっていない」「死が待つ収容所滝山病院を閉じよう」と書かれている。

「仕方がない」で片付けてしまって本当に良いのでしょうか?

19時から1時間半ほど、呼びかけ団体の方々、また発言希望者を会場から募り、リレースピーチを行いました。天畠も以下のとおり発言しました。

参議院議員の天畠大輔です。患者さんの人権回復が第一です。

私は14歳のときの医療ミスが原因で、重度身体障がい者になりました。四肢麻痺、発話障がい、嚥下障がい、視覚障がいがあります。自分で話すことはできませんが、今見ていただいた、あかさたな話法、という方法でコミュニケーションをとることができます。一昨年からは、国会議員として働いています。

しかし、最初から今のように介助を受けながら自由に外出し活動できるような生活は送っていませんでした。私は10代の約2年間を施設で過ごしました。ベッドから車イスへの移乗には2人の介助者が必要となるため、職員が交代する午前4時半に行われたり、トイレの時間を指定されたりしました。日々、自分が「無力化されている」という思いで生きていました。滝山病院の入院患者さんたちに思いを寄せる時、私はいつもその頃の自分を思い出します。彼ら彼女らもまた、日常的暴行・虐待の中で「当事者性」無き者として扱われています。この奪われた当事者性を、絶対に回復しなければなりません。

また、滝山病院の患者さんには生活保護の方も多くいます。彼らの置かれた状況について「可哀想だが行き場がないので仕方ない」と他人事のように言う人もいます。でも「仕方がない」で片付けてしまって本当に良いのでしょうか?他人事のように言っているあなたも、そして私も、誰もが当事者になり得る問題なんです。

精神科病院の中で虐待などを受けた状態に置かれている人々を置き去りにしている社会は、間違っています。滝山病院の問題は、今私たちが生きている冷え切った、冷徹な社会の縮図です。滝山病院問題の解決は、誰もが生きやすい社会の実現には不可欠なんです。

どうか入院患者さんたちの声に耳を傾けてください。この病院の中にいる仲間たちが、奪われた当事者性を取り戻す日まで、私たちは何度でも言い続けます。みなさん頑張りましょう。

左端にあかさたな話法で読みとる介助者、左から2番目に天畠、左から3番目に身体介助を行う介助者。後ろ側にプラカードを掲げる参加者。

当日都庁前に来られなかった人は「#滝山病院1年」のSNS投稿で参加されました。