2024年3月22日 厚生労働委員会質疑(委嘱審査)「在宅の危機!令和6年度報酬改定を当事者議員がチェックします」

○天畠大輔君 
れいわ新選組の天畠大輔です。
訪問介護の基本報酬引下げは言語道断です。代読お願いします。

今回の介護報酬改定で、政府は「訪問介護事業所の利益率が高い」と数字だけを捉えて、高齢者の在宅生活を支える訪問介護の基本報酬を引き下げました。しかし、これは現場の実態とは合いません。
高齢者が一棟のマンションなどに集住し、利益率が高いと言われる「サービス付き高齢者向け住宅」、これも訪問介護に分類されます。一方で、高齢者の自宅にヘルパーが赴くタイプの中小規模の訪問介護事業所もあります。
国は、サービス付き高齢者向け住宅と中小規模の訪問介護を一緒くたにして利益率のデータを示しています。中小規模事業所の実態よりも高い利益率が出るのが明白です。また、訪問介護事業所の4割は赤字という事実も、政府は無視しています。

そして、厚労省は基本報酬を引き下げても、処遇改善加算を拡充することで減額分を補えるかのように述べています。本当にそうでしょうか。
資料1をご覧ください。NPO法人グレースケア機構代表の柳本文貴氏が、今回の報酬改定によるご自身の事業所収入を試算しております。処遇改善加算は増収になりますが、基本報酬の減収を補うほどではなく、結果として新しい処遇改善加算を取得したとしても、収入総額では減収となってしまいます。このように既に加算を取得している事業所は減収となる可能性が高いのです。

また、資料2のとおり訪問介護の事業所で処遇改善加算を取得できていない事業所は約1割、さらに、特定処遇改善加算になると約3割が取得できておりません。基本報酬の引下げは、人材不足にあえぎ、事務負担を負えない小規模の事業所は撤退せよ、と宣告しているようなものです。そもそもヘルパーの給与アップにだけ使える処遇改善加算だけでは、事業所が負担しているコスト、たとえば採用や研修などの人材育成に掛かるコストなどはカバーされません。事業所が人材を育て、派遣する際の調整にかかるコストの大きさが軽んじられています。たとえば、喀たん吸引や経管栄養などの研修も受けにくくなり、高齢者でも重度の人の暮らしの選択がほぼできなくなってしまうことに強い危機感を抱きます。

以上の理由から、基本報酬の引下げは、事業所運営にマイナスの影響を与えると考えますが、大臣はその影響の大きさを認識していますか。

○国務大臣(武見敬三君) 
私どもは、この訪問介護については、介護のほかのサービスと比べて、介護の他のサービスと比べても給与費の割合が高く、それから人手が確保できなければ経営の維持拡大が特に難しい事業であるという認識はきちんと持っております。その意味で、まず訪問介護員の処遇改善を行い、人材の確保、定着を図っていくことが訪問介護員の方の暮らしの安定はもとより、訪問介護事業所の安定的な運営のためにも重要だというふうに考えました。
このため、今般の介護報酬改定において基本方針の見直しを行いつつも、他のサービスと比べて高い加算率を設定した処遇改善加算について、申請様式の大幅な簡素化、オンラインを用いた個別相談対応などを通じてその早期取得をしっかりと支援してまいりたいと思います。その上で、介護報酬改定に限らず、昨今の状況を踏まえた介護事業所に対する支援としては、令和5年度の補正予算で既にこの物価高騰への対応として重点支援地方交付金を追加し、介護分野の重点的な活用を推奨しているほか、ICTなどを活用した生産性向上の推進による現場の負担軽減、職場環境の改善を行う場合や、小規模事業所を含む事業所グループが協働して職員募集などを行う場合への補助などの措置を講じておりまして、こうした支援が確実に現場に行き届くよう、周知徹底、努めてまいりたいというふうに思います。
また、最後に、この介護サービス事業所の利用者に対して必要なサービスが安定的、継続的に提供されるように、今般の介護報酬改定の影響等については、介護事業経営実態調査を始め各種調査などを通じてこの状況の把握を確実に行い、今般の影響を適切に検証してまいりたいと思います。

○天畠大輔君 
代読します。
現場の悲鳴が聞こえないのでしょうか。後から調査するのでは遅過ぎます。このままでは「住み慣れた地域で必要なサービスが受けられる体制」は弱体化します。弱い立場の人が身近にいない、そんな社会は、障がい者も高齢者の方もどんな人も住みにくい社会です。倉林委員も指摘されていましたが、報酬引下げは撤回しませんか。撤回するかしないかだけ、大臣からお答えください。

○国務大臣(武見敬三君) 
大変申し訳ありませんが、撤回はできません。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
先ほど田村委員も指摘されていたように、訪問介護の質が下がりかねません。私自身が介護を受ける身として、この点、非常に懸念しています。重ねて基本報酬引下げの撤回を求めます。大臣、いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 
私どもとしては、実際に介護の質というものを下げずに、こうした加算措置をより強化し、そしてその取得をよりしやすくさせるということを通じて質の向上をしっかりと図るという方針はきちんと守っていきたいと思います。そうした考え方に基づいて、現状で、残念ながら、ご指摘の点、撤回はできません。

○天畠大輔君 
次に行きます。
重度障がい者が地域で生きていくために欠かせない重度訪問介護を中心に、障害福祉サービスの報酬改定について質問します。
まず、今回の報酬改定において、就学、就労時のヘルパー利用を制限する告示523号に関してまったく議論がなかったことは非常に残念です。
通告しておりませんが、武見大臣に伺います。大臣は所信表明演説で、障がい者の雇用機会の拡大を図ると言われました。しかし、重度障がい者の就労を置き去りにしているとしか思えません。

資料3と4をご覧ください。大臣は、今年2月の東洋経済の記事はご覧になられたでしょうか。重度障がい者が就労できない今の制度は、「障害者介護の死角」「重度障害者の就労を阻もうとする厚生労働省の愚」と経済誌からも批判される始末です。
障がい者の社会参加を進めるためにも、ヘルパー制度の利用制限を撤廃してほしいと、私は大臣室で直接訴えました。そのことを真摯に受け止めていらっしゃいますか。今すぐに議論を始めるべきではないですか。大臣、お答えください。

○国務大臣(武見敬三君) 
まず、重度身障者を含めて、障がい者が本人の希望や能力に沿った就労を実現することが重要だというふうに考えます。
そしてさらに、重度障がい者の就労中の介助などの支援といったようなことについても、障害者雇用促進法に基づく事業主の合理的配慮との関係があり、それから、個人の経済活動に関する支援を公費で負担すべきかなどの課題がある中で、障害者雇用納付金制度に基づく助成金であるとか、あるいは自治体への補助事業によって、こうした雇用、福祉が連携しながら、重度障がい者の皆さんのこの日常生活及び社会生活を支援する考え方を取っているわけでございます。

これらの事業を円滑に実施できるように、自治体等への働きかけや周知を行うことなどにより、関係機関の連携による重度障がい者の皆さんに対する就労支援というものを進めるという考え方でございます。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
告示改正は大臣の決断で今すぐにでもできます。大臣、いかがですか。

○国務大臣(武見敬三君) 
大変申し訳ございませんが、その告示の内容について今撤回をすることはできません。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
残念です。
先ほどおっしゃっていた補助事業とは就労支援特別事業のことだと存じますが、その制度の具体的な課題はご存じですか。大臣、お答えください。

○政府参考人(辺見聡君) 
まず、事実関係でございますので、ご説明をさせていただきたいと思います。
この事業につきましては、自治体に対しての補助事業でございますので、申請を受けて対応することとなります。一方で、その申請する自治体については現在増加傾向にあるところでございますが、令和4年度において申請書類の簡素化を図る、また令和5年度において市町村が定める計画においてニーズの把握等をしていただく、こうしたことを重ねながら自治体からの申請を増加する働きかけを行っているところでございます。

○天畠大輔君 
今のを受けて、大臣のご見解をお願いします。

○国務大臣(武見敬三君) 
この重度障がい者の就労中の介助等に関して、これを実際に義務化された福祉という枠組みの中で実施するということになりますと、実際に今の政策、制度設計、これ全部つくり変えることになります。これを福祉で実施して、全てこの福祉で対応するという考え方で私どもは持っておりませんので、やはり、この障害者雇用促進法に基づく事業主の合理的配慮というのがあるということであるとか、個人の経済活動に関する支援を公費で負担すべきかなどの課題がある中で、実際にできる範囲というものを活用をして、実際に、障害者雇用納付金制度に基づく助成金であるとか自治体への補助事業により雇用、福祉が連携しながらこの重度障がい者の日常生活や社会生活を支援するという考え方で対応していきたいというふうに思います。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
大臣は課題を理解されていません。やはり告示改正しかありません。代読お願いします。

私も、実際に就労支援特別事業を利用する当事者や雇用する事業所にその課題を伺いました。この事業は、雇用主への補助金給付である雇用施策と生活介助のための福祉施策を組み合わせた複雑な制度です。介助サービスに対する請求先が2か所になるため、本人、雇用主、ヘルパー派遣事業所の3者に重い事務負担があるのです。さらに、介助費用の一部は雇用主が負担します。この構造が変わらない限り、事業の改善をしても介助が必要な障がい者の雇用は進みません。
また、制度が始まって3年以上がたちますが、昨年10月末時点で、1800ある全国の自治体のうち77しか導入していません。このままの制度では、介助付就労が全国一律に実現するまでに私は寿命を迎えてしまいます。
つまり、この特別事業は、重度障がい者と健常者が平等に働く権利保障のための制度になっていません。大臣には告示523号の早期改正を強く求めまして、次に行きます。

私が委員になってから一貫して訴えています入院時のヘルパー派遣について、一歩前進がありました。今回の報酬改定により、障害支援区分4・5の方も入院時に重度訪問介護を利用できるようになります。また、障がい者が入院する際の医療機関とヘルパー派遣事業所の連携についても改定があったようですが、厚労省からその仕組みを簡潔にお答えください。

○政府参考人(辺見聡君) 
重度の障がいがあって特別なコミュニケーション支援を必要とする方が医療機関に入院中に安心して治療を受けることができるようにするためには、障がい者の日常生活支援を行っている重度訪問介護事業所側と医療機関側の双方の職員との間で入院前に本人の障がい特性や介護方法などを共有し、入院中の支援の方法、連携方法について確認を行うことが重要でございます。

このため、今回の障害福祉サービス等報酬改定におきましては、重度訪問介護利用者が介助者の付添いにより入院することが決まった際、重度訪問介護事業所と受入れを行う医療機関が先ほど申し上げたような本人の支援方法等に関して入院前に事前調整を行った場合について新たに評価をすることとしたところでございます。

○天畠大輔君
代読します。
あくまでも、入院の決定後に、事業所と医療機関側が入院前に行うカンファレンスに対する評価ですね。事業所と医療機関の連携を強化する上で一定の評価はできますが、障がい当事者の立場に立ちますと、介助者の付添いが病院に認められるまでの交渉が一番のハードルなんです。
ましてや、入院時は具合が悪く、交渉は難しいことが多いです。当事者が「入院中も介助者の付添いが必要なんだ」というニーズをよく理解している事業所が、医療機関側に説明するなどの働きかけが極めて重要です。
実際、入院の決定前に当事者、事業所、医療機関の3者が話合いを持ち、事業所の立場からも当事者のニーズを説明することで医療機関側の理解につながったという事例も聞いております。
医療機関側の理解を更に促進するためにも、入院決定前の事業所の貢献も評価すべきと考えますが、武見大臣の見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(武見敬三君) 
今、局長の方から説明をしたとおり、実際に入院をすることになった場合には事前の準備に関わる協議もその適用対象となるという形を初めてこれ整えたわけでございます。こうしたその入院前のその本人の障がいの特性や介護方法などを共有して入院中の支援の連携方法について確認を行うことは大変重要であって、この令和6年度の報酬改定において、こうした事前調整を今申し上げたような形で、初めて新たに評価することになりました。加えて、医療機関に対しては、こうした方々が入院される場合、本人の状態を熟知した重度訪問介護従業者の付添いの受入れは可能であることもこれ周知をし、そしてそのための協力を促しているところでもございます。
厚生労働省においては、医療機関への周知を行い、今回の報酬改定の活用を促進するとともに、今後も当事者の方や現場の事業者の方などの声をしっかりとお聞きしながら、入院中の介助者の付添いの受入れが進むように努めてまいりたいと思います。

○委員長(比嘉奈津美君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。時間が来ておりますので、おまとめください。

○天畠大輔君 
正面から答えてもらえず残念ですが、引き続き改善を求めます。代読お願いします。

まとめます。
また、厚労省は入院時にヘルパー派遣が必要な障がい者の状態像、事例を示す予定だと聞いておりますが、安易な例示によって、市町村の窓口や医療機関が厚労省の例示に当てはまる人は付添いを認めて、当てはまらない人は認めないというような形式的な判断を行う懸念がありますので、こちらについても患者本人の支援ニーズをきちんと聞き取って判断するように、市町村の窓口や医療機関への周知徹底を強く求めたいと思います。
質疑を終わります。

〈配付資料〉