2023年5月18日 厚生労働委員会質疑(生活衛生法等機能強化法案審議)「国民の命を守る社会保障としての水道事業発展を求めます」

〈質疑〉
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。水道業務の移管について質問します。代読お願いします。

「生活衛生等関係行政の機能強化のための法律案」により、厚生労働省水道課の業務を環境省、国土交通省に移管し、厚生労働省から水道課が消滅するとされています。これまで、水道行政の基盤強化として、各省それぞれの役割と合理化が進められてきたなかで、厚生労働省になぜ最後まで水道課が置かれているのか、いま一度考える必要があります。水道により供給される水は、感染症予防をはじめ、上水道・下水道・食品衛生など、生活衛生と社会保障の基礎であり、上水道の維持・管理は24時間365日、とりもなおさず人間による労働により担われています。
第197国会の水道法の一部改正時、参議院厚生労働委員会による「附帯決議」には、水道基盤強化を図るために、水道事業に携わる人材の確保、技術の継承及び労働環境の改善が必要であることに鑑み、地方公共団体がこれらを実現するために必要な支援を行うこと。海外の再公営化事例の検証を含めて総合的な施策を講ずること。中山間部、過疎地域や人口減少の著しい地域等の自然的・社会的条件の厳しい地域を抱える地方公共団体や、経営基盤が脆弱な小規模の水道事業者に十分配慮して、必要な技術的・財政的援助を行うこととあります。とりわけ、労働環境の改善や雇用対策は、都道府県や市町村まかせではなく、国が責任をもち、実施する必要があります。

これまで、水道行政並びに水道事業では、労働者の人材育成・職業訓練事業、雇用の安定・確保に関わる雇用対策、そして、専門人材研修として、どのような対策がされてきたのでしょうか。また、水道事業という公共事業で働く民間の水道労働者に、正当な給与や安定した代金は支払われているのでしょうか。公共事業における給与等の確保を含め、水道行政、水道事業に係る雇用対策は厚生労働省が中心となり進めるべきと考えますが、大臣の考えをお聞かせください。

○国務大臣(加藤勝信君)
まず、我が国の水道、これまでもありますように約98%という高い普及率を達成しているところであります。そして、安全で安価に、生活に不可欠な水の供給がなされております。こうした状況を達成するにあたって、水道施設の整備、また現状において維持管理などにあたっておられる水道事業者、また、施設整備をはじめ円滑な給水等の任にあたっておられるまさにそこで働く方々の多大なるご尽力に対し、改めて敬意を表したいというふうに思います。現在、水道事業者においては、事業を担う職員数の減少、職員の高齢化、技術の継承等が課題となっているものと認識しており、我が国の水道事業を持続可能なものとするためには、必要な人材の確保・育成に取り組んでいくことが重要と考えております。

厚労省としては、専門人材を確保・育成するため、国立保健医療科学院における水道工学や水質試験に関する研修の実施、都道府県が行う研修事業や技術者派遣などに対する財政支援、水道技術管理者に対する研修の実施などに必要な予算を確保して取り組んできたところであります。また、広域連携を通じた経営基盤の強化は人材の確保にも資するものであります。また、官民連携も知識や技術力を有する人材の確保に資するものと考えており、厚労省としては、広域連携、官民連携を推進するための取組も進めてまいりました。

今般、水道整備・管理行政の移管が行われることにともない、このような取組も国土交通省、また環境省に移管することとなりますが、厚労省としては、移管当初からこれらの事務が適切に行われるよう、国交省、環境省と緊密に連携し、必要な知見を引き継ぐ流れの中において、先ほど申し上げましたように、必要な人材の確保・育成に引き続き取り組んでいきたいと考えております。

○天畠大輔君
水道労働者の雇用対策が抜け落ちています。代読お願いします。

日本国内の雇用対策をリードする厚生労働省に水道課が置かれてきました。その意義は、安定的な水の供給と、それを担う水道労働者の安定雇用こそ、水道行政の要であるからです。また、水道行政の所管を厚生労働省が手放す前に、日本の水道生活史として総括し、後世に継承する必要があるとも考えます。具体的には、生活改善運動など戦後の地方における水道事業や村落の共同井戸、簡易水道についての日本の歴史、それらの運動に携わった人々の苦労や労働の姿です。かつての地域改善運動などを通し、地域住民の力で自主的に水道をひく運動が起こり、国の補助金がない時代から、村落の共有財産である森林の木材を売ったり、土地を寄附したり、住民自らが水道設備を造る労務に従事するなどして、簡易水道などを整備してきた村落があります。

資料をご覧ください。井戸からの水くみという児童労働から解放された当時のこどもたちの姿を、京都府内の小学校教諭が次のように回想されています。抜粋して読み上げます。「子ども達は水を引くことに参加し、自然の恩恵から疎外されてきたことを体験し、親と共に苦しんできたのである。そのような歴史の歩みの中で、地域の親たちの取り組みは、地域の悲願である“誰もが同じように幸せに暮らせる社会”、“皆が力をあわせたら何でもできる”ということを、まちづくりとして継承する心意気が足跡として感じられる」とあります。
このように、各地の水道にはそれぞれに尊い人々の歴史や営みがあり、日本において水道とは、国や公から与えられた単なるインフラや、感染症予防、生活環境資源にとどまるものではないということがわかります。

今回の移管案により、水質、環境保全は環境省、水道管、水道施設の老朽化などへの対応は国土交通省と、各省庁が専門的な知見をより生かしやすくなることは期待されます。その一方で、機能強化という合理化のもとで、住民自身の自助や公助により支えられてきた水道資源の礎が、根こそぎ刈り取られるのではないかと危惧します。
ここで大臣に伺います。水道資源や水循環に関わる公助や住民による自助など、地域支援については、厚生労働省としてはどのような関わりを今後工夫されるおつもりなのでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君)
今、これまでも過疎地などにおける小規模な水道事業においては、比較的規模の大きな浄水場から管路でつないで水を供給する方法ではなく、また小規模な水源浄水施設を設けて水を供給する方法が有効な場合もあるなど、地域の実情に応じた対応が行うことが重要だと認識をし、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業者を対象に財政支援も行ってきたところであります。
また、この法案においては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象施設に水道を加えることとしており、これにより、現在、水道施設の災害復旧事業費の国庫補助は、予算補助として、災害の規模等に応じて補助率2分の1以上の範囲で行っているのに対し、本法案が改正された後は、法律補助として、地方公共団体の財政能力に応じ補助率3分の2以上の範囲で財政支援を行うこととなり、災害対応の強化にもつながるものと考えております。
今回の移管で現場レベルにおける水道事業のあり方が変わるものではありませんが、厚労省としては、今般の業務移管を円滑に行い、移管当初から国土交通省において水道設備の整備などを進めることができるよう、緊密に連携し、また、今いろいろお話がありました地方における課題、取組なども含めて、必要な知見をしっかりと引き継いでいきたいと考えております。

○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。

○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。

○天畠大輔君
過疎地などの水道事業への支援は、引き続き厚生労働省でやり切るべきです。大臣、いかがですか。

○国務大臣(加藤勝信君)
水道事業全般については基本的には国交省に移管するということでございますんで、これまで厚労省がやってまいりました事業も基本的に国交省において実施をしていただくということになり、その点に関して、先ほど、いろいろこれまでの経緯等もあること、そしてその背景、こういったことについてもしっかり継承して、円滑な移管、そしてその後においても国交省においてそうした対応がしっかり取っていただけるように、我々も努力していきたいと考えております。

○天畠大輔君
代読します。
現在、飲料水、生活用水、農業用水は、河川、湖、海、山の地下水などから処理され、安全に供給されています。海につながる川の上流や山林の水源地などに注目すると、それらの保全はそこに暮らす地域の住民の方々により担われています。水源林や水源地域の住民の高齢化、過疎化、限界集落化により、水源地の維持管理に関わる自治や関係性の疲弊は今後ますます進んでいくことが予測されます。水源林の環境の保全、水源地域の活性化や後継者育成に関わる総合的な福祉、そして水環境の好循環施策が必要だと考えます。

そこで、農林水産省に伺います。地域の森林組合などが水源地への理解を深め、水源林の維持管理や森林の整備を行う際、どのような支援施策や振興施策があるか、簡潔にお答えください。

○政府参考人(森重樹君)
お答え申し上げます。
委員ご指摘のとおり、森林は良質な水の安定供給に資する水源涵養機能や国土の保全等の公益的機能を有してございまして、これを持続的に発揮させていくためには森林の適切な整備、管理が不可欠でございます。また、これらを進めるにあたりましては、森林整備に対する直接的な支援のほか、山村の人口や担い手となる林業従事者の育成等が極めて重要であると考えてございます。
このため、農林水産省におきましては、森林整備事業によりまして、森林所有者や森林組合等が行う間伐等の森林施業に対し、国と都道府県をあわせ、その費用の約7割を補助しているほか、森林の有する多面的機能の発揮に向け、地域住民等による森林の保全管理活動等の取組、また、緑の雇用事業等によります林業への新規就業やその中における人材育成、多様な方々が森林・林業に関わる林福連携などの取組の推進といった施策を講じているところでございます。引き続き、こうした取組を通じて、水源林等の森林の適切な整備、保全や山村地域の振興を図ってまいる考えでございます。

○天畠大輔君
林福連携の推進を期待します。代読お願いします。

水源林や水源地域の住民自治と地域福祉に十分配慮した技術的・財政的援助が求められます。また、障がい者の就労モデルとして林業・農林水産業と福祉の連携も各地で行われており、今後ますます林福連携による水源林の保全などが包括的な循環型社会政策として打ち出されることが重要です。
農福連携や林福連携が様々に模索される今日において、水源林にもつながる水道事業の所管が厚生労働省からなくなるということは、共生社会を目指す厚生労働行政の後退と言わざるを得ません。現在ある水循環政策本部の厚生労働省の事務については、今後どの担当部局が担当され、大臣を補佐し、その役割を果たしていかれるのでしょうか。

○政府参考人(佐々木昌弘君)
お答えいたします。
この水循環政策本部は、水循環基本法に基づいて、これ厚生労働大臣を含め全ての国務大臣が本部員となっており、この法案において水循環政策本部の本部員の構成を変更するものではございません。
一方で、その実務を担う点につきましては、水道整備・管理行政を移管した後の厚生労働省の役割やまたその担当部局、現在の私のところですが、それをどうするかは今後具体的に更に詰めて検討、調整をしたいと考えております。

○天畠大輔君
代読します。
水にかかわる労働者の尊厳を守る厚生労働省の役割をきちんと果たしてください。

次に、2023年現在の日本における水道普及率は98.2%と大臣からも答弁がありました。しかし、普及していない地域を置き去りにしてはなりません。日本において、住む場所にかかわらず誰もが平等に安全な水を享受することを保障する営みは、社会保障の基盤そのものです。その役割は、厚生労働省、国土交通省、農林水産省、環境省、都道府県や市町村と地域住民などにより担われてきました。

かつては、地域の生活改善を求める人々の切実な願いの中から民設民営の簡易水道や水道制度が誕生し、市町村による公設公営の水道事業が整備され、現在その多くが公設民営化されています。最終的な給水責任は地方公共団体にあるとされていますが、厚生労働省がその任務を解くという段階で、今後、地方公共団体の給水責任を総合的にバックアップする省庁が明確ではありません。
大臣に伺います。給水責任へのバックアップ体制、どこがその責任を果たしていかれるのでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君)
水道法においては、水道事業者は、給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当な理由がない限りこれを拒んではならないとされるとともに、災害等のやむを得ない場合を除き、給水を受ける者に対して常時水を供給しなければならないとされております。
厚労省としては、水道事業者が利用者に対する給水を継続することができるよう水道事業の基盤強化を図るため、広域連携の推進、適切な資産管理の推進、官民連携の推進等の取組を進めるとともに、先ほども申し上げた経営条件が厳しい水道事業者の施設整備費や災害復旧の事業費に対する財政支援などにも取り組んできたところでございます。
こうした取組も含めて、本法案により社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備・管理行政が移管されるわけでありますから、国交省において層の厚い地方支分部局を活用し、下水道等の他の社会資本と一体的に水道施設の整備や下水、失礼、整備や災害対応に取り組むことが可能となると考えております。そういった意味で、今回、これまで厚労省が担ってきた役割、そしてそれを国交省において担っていただくことになるものと承知をしております。

○天畠大輔君
代読します。
2018年12月の水道法の一部改正と今回の移管により水道事業の民営化が促進されることは、疑う余地もありません。フランスでは、民営化された水道事業により、水道料金の値上げなど生活課題が人々を直撃し、再公営化が図られています。「井戸を掘った人、水道をひいた人」の思いや世界の教訓に学び、社会保障から水道事業を捉えるという原点を確認する必要性を感じます。
大臣に伺います。持続可能な水道事業の公営実施について、国としてどのようなビジョンをお持ちですか。相対的貧困率がG7中でワースト2位という「貧困からの脱出」が遂げられていない日本において、水道事業の公営実施を死守する心づもりはあるのでしょうか、お答えください。

○国務大臣(加藤勝信君)
まず、水道法では、水道事業は原則として市町村が経営するものとされており、本法案は、今回提出した法案は、この規定を変更するものではありません。
厚生労働省から今般の業務移管を円滑に行い、移管当初から国交省において今申し上げた水道法に基づく運用が適切に行われるよう、移行前から国交省と緊密に連携し、必要な知見を引き継いでまいりたいと思いますが、しかし他方で、先ほどから申し上げておりますように、水道事業の基盤強化を図っていくためには広域連携、適切な資産管理の推進と併せ、官民連携の推進、こういったことも取り組む必要があるということで、これまでも厚労省としてはそうした取組を進めてきたところでございます。

○委員長(山田宏君)
速記を止めてください。

○委員長(山田宏君)
速記を起こしてください。

○天畠大輔君
大臣、フランスなどの例に見習い、水道事業の再公営化を進めるべきではないですか。

○国務大臣(加藤勝信君)
フランスにもそういう事例があることは承知しておりますが、先ほど宮城県でのコンセッションの話もさせていただきました。それぞれの地域地域の状況に応じて対応というのは異なっていくんだろうと思いますけれども、ただ大事なことは、先ほどから申し上げておりますように、この水道事業を持続可能な形でしっかり経営し、そして地域に住んでいる方々に対して安全で安心な水を安価な形で提供していくということでありますので、それに向けて必要な努力をしっかり払っていく、そして国としてはそれを支援をしていくことが必要だと考えております。

○天畠大輔君
代読します。
2003年、今から20年前の「第5回水道ビジョン検討会」によると、第三者委託に期待される効果として、「コストの削減」が最も多く、次いで「技術者の確保」「施設の維持管理強化」「水質管理体制の強化」「危機管理対応の強化」と続いていることが報告されています。水道事業の運営にとってコストの確保、技術者の確保が難題であったことが分かります。地方公共団体のコスト削減を目的とした第三者委託は、受託事業者にとってはコストの圧迫、つまり労働者の給与抑制という痛みを伴うものです。
365日24時間の水道労働を公務として保障することにより、水質管理や危機管理対応はより安定し、整備されるのではないでしょうか。この20年間で、これらの課題への対策、特に「コストの削減」「技術者の確保」を図る対策として、厚生労働省はどのような対策を講じてきたのでしょうか。さらに、水道行政の移管後、国土交通省、環境省としてどのような取組を継承、発展させていかれるおつもりでしょうか。厚労省、国交省、環境省の順に簡潔にお答えください。

○政府参考人(佐々木昌弘君)
お答えいたします。
ご指摘のとおり、20年前、平成15年6月に水道ビジョン検討会が設置されて、先ほど委員ご指摘のような内容のものが平成16年6月に最終的には水道ビジョンとして公表されました。厚生労働省はそれに基づいて進めましたし、さらに平成25年には新水道ビジョンを策定したところです。この中でも、安全な水の供給、強靱な水道の実現、水道の持続性の確保、これを理念としました。これに対して平成30年の法改正に至るところでございます。

具体的に申し上げますと、広域連携の推進につきましては、先ほどの平成30年の水道法改正において都道府県が水道事業者の広域的な連携を推進することについて、これは努力義務規定ではございますが、それを設けました。これによって都道府県、先ほども現在46と申し上げましたけれども、そのプランの設置状況が、これで進めてきたと。
適切な資産管理について申し上げます。これについても、平成30年の法改正において、水道事業者が水道施設を良好な状態に保つための施設の維持、修繕又は施設の計画的な更新、こういったものに対しての適切な資産管理を推進するための規定を設けました。
最後ですが、官民連携でございますけれども、民間企業が有する技術や経営ノウハウ等を活用するため、これは官民連携推進協議会というものを立ち上げて、現在開催しております。これによってそうしたノウハウが行き渡るようなそういった取組をこれまで進めてきたところでございます。

○政府参考人(松原誠君)
お答えいたします。
今ほどの厚生労働省からのご答弁のとおり、厚生労働省におかれましては、広域連携、官民連携などに取り組まれ、水道事業の基盤強化を図られてきたものと認識をしております。水道事業におきましても、人口減少等による使用料収入の減少、職員減少による執行体制の脆弱化等の課題に対応するため、国土交通省におきましては、広域化、共同化など、下水道事業の持続性を確保するための施策を講じてまいりました。

国土交通省といたしましては、厚生労働省から水道事業の課題を引き継ぐとともに、これまで下水道事業で取り組んでまいりました知見も活用して、水道整備・管理行政のパフォーマンスの一層の向上が図られるようしっかりと取り組んでまいります。

○政府参考人(針田哲君)
お答えいたします。
今般の水道行政の移管において、環境省は、水道水質基準の策定を始め、水質、環境に、あっ、水質、衛生に係る事務を所掌することとなります。ご指摘の技術者の確保の課題につきましては、環境省の所掌することとなる事務の範囲においては、水道水質検査に係る人材の確保、育成等が挙げられます。具体的には、水道水質検査は、現行の水道法では、水道事業者等のほか、厚生労働大臣の登録を受けた水質検査機関が実施しておりますが、水質検査機関の登録更新や水質検査機関に対する研修の適切な実施を通じて、水質検査に必要な人材の確保、育成に努め、安全、安心な水道水の供給に努めてまいります。

○天畠大輔君
倉林議員も指摘されていましたが、水道事業の再公営化を、また、社会保障としての水道事業の基盤強化を改めて強く求めます。質疑を終わります。

〈反対討論〉
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。反対討論を行います。代読お願いします。

私は「生活衛生等関係行政の機能強化のための法律案」に対し、反対の立場から討論を行います。

はじめに、24時間365日水道事業に携わる労働者の皆様に心から敬意を表します。全国的にも水道労働者の育成や確保に関わる対策は急務であり、国内の雇用対策をリードする厚生労働省が水道労働にかかわる万全の雇用対策を尽くすことなく、水道課の移管を進めることは、到底認めることができません。官民連携による水道事業の広域化や合理化が図られる中で、公設民営、民間委託により、「コスト削減」という名のもとに、労働者への給与抑制がなされていることが危惧されます。特に、非正規の水道労働者の雇用の不安定化は許されません。

また、本法案は、2018年の水道法改正時、参議院厚生労働委員会における「附帯決議」にある、中山間部、過疎地域や人口減少の著しい地域等の自然的・社会的条件の厳しい地域を抱える地方公共団体、経営基盤が脆弱な小規模の水道事業者への十分な配慮、海外の再公営化事例の検証を含めた総合的な施策を講ずるための約束が果たされたものとは言えません。

さらに、今回の水道行政の移管により、水道事業の民営化が促進されることは疑う余地もありません。フランスでは、民営化された水道事業により、水道料金の値上げなど、生活課題が人々を直撃し、再公営化が図られています。日本において水道とは、国や公から一方的に与えられた単なるインフラにとどまるものではありません。かつての地域改善運動などを通し、国による補助金がない時代から地域住民の力で自主的に水道をひく運動が起こり、地域住民自らが水道設備をつくる労務に従事するなどして簡易水道を整備するなど、各地の水道には、それぞれに尊い人々の歴史や営みがあります。

かつての井戸を掘った人、水道をひいた人の思いや世界の教訓に学び、社会保障の観点から、水道事業を捉えるという姿勢が本法案には欠けています。よって、本法案は否決とするべきです。住む場所にかかわらず、誰もが平等に安全な水と食品を享受することを保障する営みは、社会保障の基盤そのものです。社会保障の基盤強化なくして水道事業、生活衛生の発展は成し遂げられないことを申し上げ、私の反対討論とします。