2023年3月3日 予算委員会質疑「旧優生保護法の過ちを繰り返さないために」

○天畠大輔君 
れいわ新選組の天畠大輔です。

代読お願いします。
旧優生保護法を憲法違反とし、賠償金を支払うよう国に命じる判決が4件相次いでいます。
この流れを受け、十分な謝罪や被害救済、再発防止といった全面解決が必要です。
さて、私は旧優生保護法を議員立法で成立させた立法府の一員として、全面解決実現に重大な責任を負っています。
一方で、行政も全面解決に向けた検討を今すぐにでも始められるはずです。
まず、厚労大臣、旧優生保護法下で具体的にどのような被害があったのか、また法の成立背景を教えてください。

○国務大臣(加藤勝信君) 
旧優生保護法に基づき、あるいは旧優生保護法の存在を背景として、多くの方々が、特定の疾病や障がいを有することなどを理由に、生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたものと承知をしております。
また、旧優生保護法には、優生手術及び、優生手術というのは生殖を不能にする手術でありますが、及び人工妊娠中絶が規定されているところであります。
このうち、遺伝性疾患等を理由とした優生手術については、昭和24年から平成8年までに約2万5000件、また、人工妊娠中絶については約5.9万件実施されたものと承知をしております。
旧優生保護法については、昭和23年に議員立法により制定されており、発議者から、提案理由として、人口増加と食糧不足を背景として、優生の見地から、不良分子の出生を防止し、母性保護の立場からもある程度の人工妊娠中絶を認め、人口の自然増加を抑制する必要があるとの説明がなされたものと承知をしております。

○天畠大輔君
代読します。
被害は、過去の出来事でも古い話でもありません。強制不妊手術を受けたと周囲に明らかにしたことで、家族関係が破綻したり、職場にいられなくなった方もいます。被害者の苦悩は生涯消えず、今もなお傷は深まるばかりです。
しかし、現在も続くこれらの権利侵害を個別に解決したり、被害者の方の名誉回復に向けた支援の仕組みはありません。
加藤大臣、こういった仕組みをつくるべきではないですか。

○国務大臣(加藤勝信君) 
まず、この旧優生保護法においては、この法律に基づき、また、この法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障がいを理由に生殖を不能にする手術を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けられたことについて、政府として真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げる次第であります。
こうした方々に対しては、平成31年に超党派の議員連盟による法律案がまとめられ、国会における全会一致により、一時金を支給するための法律が定められました。その上で、優生保護法一時金については、令和4年6月に超党派の優生保護下における強制不妊手術について考える議員連盟が開催され、厚生労働省から一時金の支給状況について報告を行うとともに、今後の対応の在り方についてお願いをしているところであります。
政府としても、国会の議論に可能な限り協力をさせていただくとともに、一時金を円滑かつまず確実に支給することでその責務を果たしてまいりたいというふうに考えております。
また、相談窓口を、そうした皆さんに対して、相談窓口等を記載したリーフレットや特製サイトを作成し、障がい関係団体の皆さんには周知の協力のお願いもさせていただいているところでございます。
また、相談窓口においては、対象者の心情を理解した上で、安心して相談いただけるような体制を整え、相談に来られた方は、家族が支給対象となり得るか等の相談に丁寧に対応することとしているところであります。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
回復支援の仕組みについては検討はしないのですか。大臣、お答えください。

○国務大臣(加藤勝信君) 
まず、人権侵害等に関する個別の被害救済等の相談に対しては、必要に応じ、法務局、地方法務局の人権相談所や司法、法テラス等を紹介することとしております。
また、旧優生保護法に基づき優生手術を受けた方々などや弁護士団とは、担当部局が個別に面会をさせていただき、当事者方々の状況をお伺いし、適宜対応させていただいているところでございます。
引き続き、これらの取組により、対象者等の方々へこうした取組を進めていきたいと考えております。

○天畠大輔君 
代読します。
被害救済や回復支援の仕組みをつくるに当たっては、ハンセン病問題対策協議会のように、被害当事者や弁護団との継続的な協議が必要です。是非検討してください。

続いて、再発防止の観点から法務大臣に伺います。
国は、人権教育・啓発に関する基本計画を定めています。しかし、この中の人権課題として、旧優生保護法下で不妊手術や人工妊娠中絶を受けた人々といった項目はありません。なぜでしょうか。
国が行った深刻な権利侵害を後世に偽りなく伝え、二度と繰り返さないために、まずは基本計画に入れるべきではないでしょうか。
また、基本計画の改定の前にも、旧優生保護法をめぐる問題の啓発や被害相談、回復支援などに取り組むべきではないでしょうか。
お答えください。

○国務大臣(齋藤健君) 
旧優生保護法に基づき、あるいはその存在を背景として不妊手術等が行われた問題について、法務大臣としてもこのような事態が二度と繰り返されてはならないと考えています。そのためには、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合う共生社会を実現する必要があります。
それに向けた人権教育、啓発につきましては、お尋ねの基本計画の総論部分に掲げられた基本理念や推進方策が妥当する上、各論部分にも、疾病や障害を有する者に対する偏見、差別に関し、各府省が施策を行うべきことなどが記載されており、現行の基本計画でも読み込めるものと認識しています。
したがって、現時点において基本計画の変更が必要であるとは考えておりませんが、法務省としても、旧優生保護法の問題について、基本計画を踏まえたより効果的な啓発活動として具体的にどのような取組が適切であるか、関係府省とも連携しつつ、更に検討を深めてまいりたいと考えています。
また、旧優生保護法のような事態を二度と繰り返すことのないよう、様々な人権課題について今後とも各種人権啓発活動や人権相談にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。

○天畠大輔君 
基本計画の最後に、必要に応じて見直しを行うと書いてあります。今がそのときです。検討を求めます。代読お願いします。

内閣府に伺います。
旧優生保護法下の不妊手術や人工妊娠中絶は性と生殖の権利の侵害です。被害救済や権利擁護、再発防止などを含め、例えば第6次男女共同参画基本計画に盛り込むなど、この課題にどう取り組むか、現時点の認識をお聞かせください。

○国務大臣(小倉將信君) 
お答えをいたします。
優生手術や優生思想による課題への対応は、内閣府男女共同参画局の所管ではございませんが、今後策定する第6次男女共同参画基本計画に盛り込むべきではないかとの委員のご指摘については、第6次男女共同参画基本計画を作成する過程で何ができるか検討してまいりたいと考えております。
障がいがあることなどに加え、女性であることで更に複合的な困難な状況に置かれている場合があることに留意をし、このような人々についての正しい理解を深め、社会全体が多様性を尊重する環境づくりを進めることが必要であると認識しております。
男女共同参画担当大臣としては、男女共同参画社会の実現に向けて取組を進めることにより、男女にとどまらず、障がいがあることなども含め、幅広く多様な人々を包摂し、全ての人が幸福を感じられるインクルーシブな社会の実現につなげていきたいと考えております。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
是非進めてください。代読お願いします。

代読します。記載もされない権利侵害は忘れ去られていきます。だからこそ、各省庁の連携を深めるなど、政府として包括的に対応するよう総理から指示を出してください。いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 
ご指摘のように、取組を進めるに当たって各省庁の連携が重要であるというご指摘、そのとおりだと思います。関係省庁連携して取り組む、こうした姿勢について私の方からも徹底させたいと思います。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
忘れられた差別の歴史は繰り返されます。総理、全面解決に向けて全ての優生手術裁判への上訴を取り下げ、静岡判決への控訴をしないでください。いかがですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 
優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障がいを理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身的に多大な苦痛を受けられてこられたことについて、政府として真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げます。このような事態が二度と繰り返されてはならないと考えています。
こうした基本的な考え方に基づいて、この政府としての様々な対応についても考えていきたいと思います。具体的な対応については、各省庁において今申し上げた考え方に基づいて適切に対応していきたいと考えます。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
被害者の声に耳を傾ける意思はありますか、2択でお答えください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 
もちろん、被害者の方々、大変な苦しみを経験された方々の声には丁寧に耳を傾けていかなければならないと考えます。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
被害者の方と面会はされないのですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君)
被害者の皆さんの声は大事にしなければならない、先ほど申し上げたとおりです。
具体的にお会いするということになりますと、どなたにどういった形でお会いするか、これを考えなければなりません。この適切な方法を検討したいと思います。

○委員長(末松信介君) 
天畠君が発言の準備をしておりますので、しばらくお待ちください。

○天畠大輔君 
引き続き、質疑で追及します。終わります。