2025年5月20日 厚生労働委員会質疑「テーマいろいろいきます!筋痛性脳脊髄炎についてもっと知ってください!後発医薬品の使用促進に異議あり!」
〇天畠大輔君
代読します。れいわ新選組の天畠大輔です。
初めに、筋痛性脳脊髄炎、通称ME、慢性疲労症候群、通称CFSについて伺います。ME/CFSは、免疫障害、自律神経系機能障害、認知機能障害、神経機能障害、睡眠障害等を引き起こし、全身に及ぶ機能障害によって患者のQOLを著しく低下させる重篤な疾患です。2014年の厚生労働省の実態調査において、3割の方が寝たきりに近く、ほとんどの方が職を失うという深刻な実態が明らかになっています。昨今ではコロナ罹患後の後遺症として苦しんでおられる方もおります。
まず、厚労省に確認ですが、WHOがこの病気を神経系疾患と分類されていることは認識しているでしょうか。簡潔にお答えください。
〇政府参考人(森川善樹君)
お尋ねのME/CFSにつきましては、WHOが定める「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」第11回改訂分類において「神経系の疾患」の章に分類されていると承知しております。
〇天畠大輔君
代読します。ME/CFSは、ウイルス感染を契機に発症する疾患であること、そして神経系あるいは免疫系の全身の機能に異常が生じる複雑な疾患であること、以上2点に対する厚労省の認識を簡潔にお答えください。
〇政府参考人(大坪寛子君)
お答え申し上げます。筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群は、強い倦怠感に加え多様な神経機能の異常を特徴とする症候群でありまして、過去の研究から神経系または免疫系の機能の異常が疑われていること、また、ウイルスに感染後に発症したとする事例の報告があることは承知をしておりますが、病態はいまだ未解明でありまして、客観的診断基準も確立していないところでございます。厚生労働省では、引き続き研究を続けているところでございます。
〇委員長(柘植芳文君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
研究の進み方が遅過ぎます。通告なしですが、研究に対する年間の予算はどのぐらいですか。大体で構いませんので、厚労省よりお答えください。
〇政府参考人(大坪寛子君)
お答え申し上げます。この疾患に関しましては平成3年から研究を断続的に続けているところでございます。昨今で言いますと、令和4年度、令和6年度までの研究予算では、例えばバイオマーカーの研究に必要な予算といたしまして約1800万。
また、AMEDの方でも今研究を続けているところでありまして、令和6年度はAMEDとの差分で570万となっておりますが、おおむね1000万前後で経過をしているところでございます。
〇委員長(柘植芳文君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
ありがとうございます。ただ、その予算額が適正なのか、疑問が残ります。代読お願いします。
時間の関係で質問3は飛ばします。
厚労省は、2014年に、ME/CFS患者の実態調査を行っています。報告書によれば、急性発症の患者の発症に関与したと考えられる要因は、105名のうち78名が発熱や感染症と答えています。
コロナ後遺症との関係については、WHOや全米アカデミーズがコロナ後遺症の定義を発表し、日本でも厚労省から診療の手引が発行されています。ME/CFSの診断基準については、2003年よりカナダで診断基準は確立し、それを基にした研究も世界的に行われており、各国でガイドラインが存在しています。
しかし、日本では、検査では異常が測りにくいなど診断の難しさを理由に、国から診断基準の積極的な情報発信がされていません。そのため、専門医も少なく、適切な診断や治療を受けられないまま重症化し、孤立無援状態になっている患者さんがいます。
ウイルス感染との関係を含め、病態が解明されていない、客観的診断基準が確立されていないという政府の立場は研究の遅れを感じ、危機感を抱きます。また、神経免疫の専門家を中心とした研究も必要です。研究の体制や予算の確保を含め、引き続き追及します。
次に、後発医薬品の使用促進施策について伺います。政府は後発品の数量シェア80%を目指して施策を進めてきたわけですが、それが患者の権利、言わば選択肢の保障を妨げている側面があると考えます。
令和6年度診療報酬改定によって、患者が後発品よりも先発品を希望する場合は、価格差の4分の1を特別料金として負担することになりました。つまり、患者の自己負担が増える仕組みです。
医療費の3割負担の原則を崩す制度だという指摘はもちろんのこと、患者の選択の権利を侵害する制度であると考えます。患者さんが安全にというだけではなく、納得して安心して薬を飲むうえで選択できるということは重要です。
保険医協会は「先発医薬品と後発医薬品は、物質特許が切れていても製剤特許や製法特許が残っているため、主成分が同じであっても同一物として扱うのは困難である」と指摘しています。医師の判断も一律とは限りませんから、患者が開かれた情報の中で最終的に選択できる余地は残すべきではないでしょうか。
さらに、政府は、後発品の使用促進のため、後発品を処方する医師や使用率の高い調剤薬局に対して診療報酬上の加算を付けています。このようなインセンティブがある中で、医師が患者さんの状態や希望に応じた適切な判断が常にできるでしょうか。また、現行の仕組みは、医学的知見では測れない個別の患者の事情を考慮する余地が全くないことも問題です。
医師である櫻井充参議院議員は、厚生労働委員会において「患者さんは同じ薬をずっと飲み続けたい。なぜなら薬の名前を覚えている以上に薬の形とか色とかを覚えている患者さんの方が圧倒的に多い」と患者側の声を代弁しています。
実は私の場合も、後発品ができても先発品を処方し続けてもらっています。私は重度の肢体不自由に加え、視覚障がい・発話障がいもあるため、介助者による服薬管理のサポートが欠かせません。服薬している薬の種類は多く、ただでさえ介助者と情報共有し的確な服薬介助の指示をするのはとても大変です。介助者は、薬を名前だけではなく、薬の包装や色、形もセットで覚えています。先発品から後発品に変わると、私が飲みたい薬が見つからない、誤った薬を飲んでしまった等のトラブルが生じるため、基本的に先発品を使い続けています。
先発品と後発品の違いについては様々な情報、意見がある中で、また患者が先発品を希望する理由にも様々な事情がある中で、患者側の選択の余地を奪う制度となっています。患者の選択の権利を保障するためにも自己負担を増やす仕組みは撤廃すべきと考えますが、大臣の見解いかがでしょうか。
〇国務大臣(福岡資麿君)
長期収載品の選定療養化につきましては、令和6年度の診療報酬改定において、医療保険制度の持続可能性を確保するとともに、医薬品のイノベーションを推進する観点から実施したものでございます。
選定療養の仕組みであります以上、患者さんの選択に委ねられるものに限って対象とするものでございまして、具体的には、患者さんが長期収載品を希望する場合については選定療養の対象となる一方で、患者さんからの相談も踏まえながら、医師がその専門的な知見に基づき長期収載品を使用する医療上の必要性があると認める場合などについては選定療養の対象となることはございません。つまり、こういった場合では特別の料金をご負担いただく必要はなく、これまでどおり保険給付の対象となるということでございます。
長期収載品の選定療養化につきましては、昨年10月の施行から約半年が経過したところでございまして、今申し上げましたような制度の趣旨であったり必要な方への配慮を併せて行っていることも踏まえれば撤廃する必要はないと考えておりますが、引き続き、患者さんにとって必要な医療が欠けることのないように努めてまいりたいと思います。
〇委員長(柘植芳文君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
患者の選択肢は医学的知見だけでは保障できません。代読お願いします。
医師と患者の関係性はそもそもが非対称的です。医師の判断のみで先発品を希望する患者にペナルティーを与える制度は、患者の選択の権利を侵害するため廃止すべきと重ねて申し上げます。
そして、更に差別的な仕組みとなっているのが生活保護受給者に対して後発品の利用を原則とするルールです。具体的には、生活保護法34条3項において「原則として後発品によりその給付を行うものとする」という規定ぶりになっています。そもそもこの規定については、社会保障審議会においても「医療アクセスの平等を踏み越える運用であり、慎重であるべき」と委員から懸念を示す声がありました。
そして、各団体からも様々な指摘がされました。生活保護問題対策全国会議は「生活保護受給者の差別なく医療を受ける権利を侵害している点で、法の下の平等を定める憲法14条、25条及び社会権規約12条に違反する」と主張しています。
また、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいは「後発品を広く一般に利用の促進をすることと、被保護者の保護の決定・変更の権限を有する福祉事務所ないし現業員が被保護者に対して『原則』として使用を求めることは、その強制性において大きく異なるものである」と述べています。これは大変重要な指摘だと思います。
実際に生活保護受給者の方からは「後発品を原則とされるのは“普通の方と別の扱い”ということになり、ひどく尊厳が傷つけられる思いがする、この国に生きていてはいけないのかとすら思ってしまうという声も私の耳に届いています。
生活保護法34条3項の規定は医療へのアクセスの平等の観点から明らかな差別と考えますが、厚労省の見解はいかがでしょうか。
〇国務大臣(福岡資麿君)
生活保護法第34条第3項は、生活保護受給者について、医師等が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認める場合、原則として後発医薬品により給付を行う旨を定めたものでございます。
これは、限られた医療資源を有効活用するための重要な施策として医療全体で後発医薬品の使用促進に取り組んできた中、生活保護受給者は、通常、医療機関等での窓口負担が発生せず、後発医薬品を選択する動機付けが働きにくいため、その使用を原則化したものでございます。
この規定に関しましては、医師等が医学的知見に基づき先発医薬品の使用が必要と認める場合であったり、後発医薬品の在庫がない場合には先発医薬品による医療の給付を行うこととし、必要な医療が確保されるように運用していることから、必要な医療へのアクセスを阻害するような不当な差別には当たらないというふうに考えております。
〇委員長(柘植芳文君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
大臣、必要な医療とは誰が決めるのですか。
〇国務大臣(福岡資麿君)
先ほど申しました規定につきましては、医師等が医学的知見に基づき先発医薬品の必要が、必要と認める場合であったり、後発医薬品の在庫がない場合には先発医薬品による医療の給付を行うこととし、必要な医療が確保されるように運用しているということを申し上げたところでございます。
〇委員長(柘植芳文君)
天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
〇天畠大輔君
確認ですが、生活保護の患者さんに選択の権利はないのですか、大臣。
〇国務大臣(福岡資麿君)
先ほど申しましたように、医師等が医学的知見に基づき先発医薬品の使用が必要と認める場合等におきましては先発医薬品による医療の給付を行うこととし、必要な医療が確保されるように運用をさせていただいているということでございます。それによって必要な医療へのアクセスを行っているということでございます。
〇天畠大輔君
患者の選択肢のない差別的な仕組みは撤廃すべきと申し上げ、質疑を終わります。