2024年12月17日 予算委員会(集中審議)「郵便投票このままでいいの?」
○天畠大輔君
れいわ新選組の天畠大輔です。代読お願いします。
総理は、投票所に行けず、郵便投票もできず、参政権を奪われている障がい者の存在を御存じでしょうか。パネル1をご覧ください。
戦後の「郵便等による不在者投票制度」は、創設から一時廃止、そして復活という経過をたどってきました。国は「不正投票」を理由に、昭和27年に郵便投票制度を廃止しました。しかし、投票所に行くのが難しい人々の投票機会の拡大と不正投票の発生を相関関係として捉える考え方そのものが間違っています。昭和49年に郵便投票制度は復活したものの、その対象者は現在も、一部の障がい者や高齢者などに限られています。お手元の資料2と3は、対象外の障害等級、要介護度の状態像を示しています。
さて、2021年、岡山市に住む障害等級4級の女性が、今の郵便投票要件は憲法違反であるとして、国に損害賠償を求めました。4級は対象外ですが、彼女は現実には投票所へ行けていません。自宅から投票所までの往復1.5キロは山を周回するデコボコ道で、徒歩の移動が難しい、福祉タクシーを1回使うだけでひと月の生活保護費の大半を失う、そんな環境です。
障がいの重さ、つまり投票所に行く困難さは、医学的な基準だけでなく、本人を取り巻く社会や環境が関係するということです。
パネル4をご覧ください。
日本障害者協議会は、医学的な障害判定とその人の置かれた環境からもたらされる障害にはズレがある、その点に留意して郵便投票制度を見直すべきと言っています。これは、障害者権利条約に基づき国連が日本に出した意見を基にしています。
総理、そして国会議員の皆さんには、この視点を持って郵便投票を議論してほしいのです。
パネルの5をご覧ください。
この視点は「障害の社会モデル」と言われています。障害は、個人の心身機能の障害だけでなく、社会環境が相まってつくり出されるという考え方です。たとえば、階段しかない場合には車椅子の人は1人で2階には上がれませんが、エレベーターがあれば上がれます。この場合、階段という社会的障壁により車椅子の人に障害が生じていると考えられます。
パネル六を御覧ください。
郵便投票の対象の線引きも階段と同じです。参政権という極めて重要な分野で、政府が障がい者に対する社会的障壁をつくってしまっています。総理、この社会的障壁をなくすため、政府も国会も郵便投票の大幅な対象拡大に取り組むべきではないでしょうか。端的にお答えください。
○内閣総理大臣(石破茂君)
選挙権は、誰でもこれを的確に行使できる環境を整えていかなければなりません。これは憲法に基づく国民にとっての重要な権利であるという認識を持っておるところでございます。
今、天畠議員のご質問にありましたように、郵便投票も昭和27年に一旦廃止をいたしましたのは、第3者による投票なぞという不正が横行いたしましたので一旦廃止をいたしました。その後、対象を限定をいたしまして、昭和49年から再び導入されたということでございます。
ご質問の趣旨は郵便等投票の対象者の拡大ということかと存じますが、選挙の公正を確保するという観点も踏まえまして、まさしく選挙の投票方法をどうするかという話でございますから、各党各会派においてご議論をいただきたいと思っていますが、政府といたしましては、議員立法によりこの対象者が拡大されました場合には、投票にご不便を感じておられる選挙人にこうした制度を積極的に活用いただけますよう、こういう制度になりましたということを積極的に広報いたしてまいります。そして、それが本当に的確にご利用いただけるような環境の整備に努めてまいりたいと思っております。
投票権が極めて重要な権利でございますので、それが何人にも実現するように、今後とも、議員の提案を踏まえまして、あるいは議員の御協議を踏まえまして、政府として対応いたしてまいります。
○天畠大輔君
社会モデル視点の必要性は総理にご理解いただけたと受け取ってよろしいでしょうか。
○委員長(櫻井充君)
時間が来ておりますので、簡潔にご答弁をお願いします。
○内閣総理大臣(石破茂君)
政府として、投票が確実に行われますよう、議員間のお話合いの結論を尊重しながら、努力をいたしてまいります。
○天畠大輔君
まとめます。代読します。障がい者の政治参加は後回しなのですね。議員各位にも議論を呼びかけ、質疑を終わります。