優生保護法被害兵庫訴訟の大阪高裁判決への上告に抗議する記者会見に同席(2023年4月5日)

きょう5日、国は優生保護法被害兵庫訴訟の大阪高裁判決(2023年3月23日)に対し、上告しました。3月30日の国会質疑でも触れたように、3月23日の大阪高裁判決は、現時点で全ての被害者に対し救済の道を開く、画期的なものでした。そこで、きょう夕刻に開かれた抗議の記者会見に木村英子議員と同席し、メディアの方々に訴えました。

まず、優生保護法被害全国弁護団が今日発した声明をご紹介します。

2 0 2 3年4月5日
声明
一優生保護法被害兵庫訴訟大阪高裁判決に対する
国の上告受理申立てに、強く抗議する一
優生保護法被害全国弁護団
優生保護法被害兵庫弁護団
本日、国は、本年3月23日、優生保護法被害に対する国の責任を断罪
し、控訴人らに対する損害賠償を認めた大阪高等裁判所の判決に対し、
不当にも、上告受理申立てを行った。
連の優生保護法違憲国賠訴訟は、昨年2月の大阪高裁判決以降、本件
大阪高裁判決まで、7件もの被害者勝訴の判決が相次いでおり(うち4件
が高裁判決)、優生保護法被害者に対して、国に賠償責任を認める司法判断
は、すでに確定的なものとなっている。
各地の判決はすべからく、優生保護法被害に対して除斥期間を適用する
ことは「著しく正義・公平の理念に反する」とし、その理由として、優生
保護法の立法目的が非人道的かつ差別的であり、憲法違反が明白であるこ
と、被害者の権利侵害の深刻性、そして50年もの長きにわたり国が加害
行為を継続してきたという責任の重大性等をあげている。
優生保護法問題は、日本国憲法下において他に類をみない、国が重大な
責任を負う間題である。本件大阪高裁判決は、「憲法違反の立法を行い、被
害者の憲法上の権利を違法に侵害した国が、私人間を規律する民法の除斥
期間の適用により賠償(補償)責任を免れることは、そもそも個人の尊厳
を基本原理とする日本国憲法が容認していない」とまで述べている。
にもかかわらず、国が、判決間の些末な差異をあげつらい、他の事案へ
の波及が心配だなどという理由で解決を先延ばしにすることは、根拠が全
くないだけでなく、高齢の被害者を、それこそ非人道的かつ理不尽に苦し
め続けるものにほかならない。
私たちは、国のこのような姿勢に対し、最大限の抗議を行うものである。
本件大阪高裁判決の原告5名のうち2名はすでに他界している。被害者
が高齢化する中、もはや解決には一刻の猶予もない。
国は、ただちに政治解決に向けて舵を切るべきである。
内閣総理大臣が速やかに被害者と面談し、謝罪を行うべきである。
国会は、被害者に対する謝罪決議を行うべきである。
政府と国会が一丸となって、被害者の人生被害にみあう補償をはじめ、
優生保護法問題の解決に向けて、早急に取り組むべきである。
以上

天畠の訴え全文は以下の通りです。

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あ、か、さ、た、な話法)被害者が裁判で勝っても、この国は動かないのか。代読お願いします。

代読)代読します。れいわ新選組の参議院議員、天畠大輔です。

旧優生保護法による不妊手術、人工妊娠中絶は、明らかに国による人権侵害です。それなのに十分な謝罪や補償をせず、国は被害者に裁判を起こさせて、原告が勝訴してもなお上訴を続け、動かない。一人の障がい当事者として、憤りと悔しさでいっぱいです。

さて、優生保護法問題は、高齢の障害者の、かわいそうな人たちだけに関すること、と思っている人はたくさんいるだろうと思います。でも、それは違います。すべての人に関わることなのです。

旧優生保護法による手術の運用は、かなりずさんでした。あとから検査を受けたら遺伝性の障がいではなかった人、素行(そこう)が悪いなどとして施設に入れられた人なども、強制的に不妊手術を受けさせられた事実があります。

私たちは、旧優生保護法のようなお墨付きをひとたび手にした結果、「厄介だな」「近くにいてほしくないな」「面倒くさいな」と思われている人達に、取り返しのつかない人生被害を与えてしまいました。暴力の範囲を、自分たちの手で、広げていったのです。

「現在の日本社会ではそんなことは起こらない」と、だれが自信を持って言えるでしょうか。

忘れられた歴史は繰り返します。ですから、旧優生保護法の誤りを、国が率先して正す姿勢を示さなければなりません。政府が上訴をやめ、旧優生保護法が違憲だったと認め、十分な謝罪をすること。国会も謝罪し、立法によって十分な被害救済と再発防止の方策を講じること。これらは全部、被害を受けた人たちだけでなく、未来の私たち全員のために必要なことなのです。

あ、か、さ、た、な話法)メディアの皆さんも力を貸してください。よろしくお願いいたします。

左から、記者会見する原告の北さん(仮名)、全国弁護団代表の新里宏二弁護士、優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)共同代表の藤井克徳氏
左から、記者会見する原告の北さん(仮名)、全国弁護団代表の新里宏二弁護士、優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会(優生連)共同代表の藤井克徳氏
記者会見にのぞむ天畠(左)と木村英子議員(右)
記者会見にのぞむ天畠(左)と木村英子議員(右)
あ、か、さ、た、な話法で発言する天畠
あ、か、さ、た、な話法で発言する天畠